拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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友人たちとの語らい。

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「カロリーナ様!グレース様!お久しぶりですわ」

 久しぶりの、友人たちとのお茶会。

 コンラッド公爵家の後継になることが決まったカロリーナ様は、ジェネシス侯爵家からコンラッド公爵家へと養子縁組が成された。

 公爵家を継ぐための後継教育を頑張っているらしく、カロリーナ様もみんなとお茶会をするのは久しぶりだと言っていた。

「グレース様が嫁がれる前に、こうして皆様で会えて良かったですわ」

 グレース・ブライアン様は、アルトナー王国のブライアン公爵家のご令嬢。

 三ヶ月後には婚約者である、アルトナー王国のもうひとつの公爵家、ニトリル公爵家の嫡男の方に嫁ぐことが決まっていた。

 私たちより五歳年上のニトリル公爵令息様は、グレース様のことをとても溺愛なさっているのだそう。

 ちなみに、カロリーナ様の婚約者は、クリスプ伯爵家の三男の方。

 元々は、ジェネシス侯爵家が持っていた子爵位を継ぐ予定だったのだけど、カロリーナ様がコンラッド公爵家を継ぐことになったので、彼も公爵領の領地経営や女公爵の夫としての勉強に追われているそう。

 それでも、この二人は相思相愛だから、大変でもお互い手を取り合って頑張れているみたい。

「グレース様は、結婚式の準備にお忙しいのではなくて?」

「公爵家同士の婚姻ですから、お招きする方が多いのですけど、お母様やニトリル公爵夫人様が先導して準備してくださっているので、大丈夫ですわ。ウェディングドレスも、エル様が随分前から準備してくださっていて・・・」

「まぁ!グレース様を溺愛なさっている公爵令息様が準備なさったドレスなら、きっとグレース様にとてもお似合いになるのでしょうね。拝見するのが楽しみですわ」

 アルトナー王国のウェディングドレスは、真っ白が主流だ。

 その分、レースや刺繍、形で他と差をつけている。

 公爵家同士の婚姻だし、きっと豪華なウェディングドレスだと思う。

 グレース様は大人っぽいし、スタイルも良いから、真っ白なウェディングドレスに身を包んだらきっと女神のようでしょうね。

 ちなみにエル様とは、グレース様の婚約者であるニトリル公爵令息、エルフレッド・ニトリル様のことだ。

 愛称で呼ばれるくらい、仲がよろしいのね。良かったわ。

「カロリーナ様は、公爵家を継いでからの婚姻になりますの?」

「はい。私が継げは、コンラッド公爵ご夫妻は領地に退かれることが決まっていますから。そういえば、クロエ様はご存知ですか?クライヴとファンティーヌの現在を」

 あら?元婚約者様とその従妹様の現在?
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