上 下
57 / 130

予想通りの発想。

しおりを挟む
「お二人とも、申し訳ないのですが、私はマキシミリオン王国に留学する予定ですの」

 だから、メルキオール帝国で一緒に過ごせる時間は、シリルが戻ってくるまでだと伝えた。

「「ええーっ!なら、私たちもマキシミリオン王国に・・・」」

「私の場合は、シリル殿下と婚約したから留学という形を取ったのです。他国の王立学園に編入なんて、マキシミリオン王国にどんな礼をするつもりですか?それに、ビビアン様に関しては編入できません。マキシミリオンの王立学園は十六歳が入学年齢ですから」

「そ、そんなぁ・・・」

 そもそもビビアン様は、アルトナー王国で学園に通わなければならない。

 学園の卒業を以て、成人と認められるのだから。

 その点でいうなら、ベリンダ様はもう卒業されて成人と認められたから問題はないけど、自国で婚約者を決めてビアンカ王太女殿下をお支えするべきでは?

「何かアチラに利があれば、殿下にお願いしてくれる?」

「・・・そうですね。それでシリルとマキシミリオン王国の国王陛下が頷いて下されば」

「分かりましたわ。ビビアンを連れて戻らねばなりませんから、一旦アルトナーに戻り、アチラからマキシミリオン王国に手紙を出しますわ。ですが・・・数日くらいはこちらでお世話になっても?」

「もちろんですわ。私も戻ったばかりで行きたいお店などもありますから、ご一緒しましょう」

 他国のことを勉強して来て欲しいと言ってくれたスタッフのためにも、ビビアン様にはメルキオール帝国の帝都を案内しなくては。

「クロエお姉様・・・」

「ビビアン様、私を慕ってくださるお気持ちは嬉しいです。ですが、学園には通わないと、成人と認めてもらえません。試験を全てトップでクリアできれば、特例として認めていただくことも出来るでしょう。ですが、王族のビビアン様がそれをするべきではないことはご理解されますね?」

 成績が優秀であることはもちろんだが、よほどのことがない限り欠席もしない方が良い。

 他の貴族たちの見本であるべきだと言うと、ビビアン様は神妙な顔で俯いた。

「ごめんなさい、クロエお姉様・・・お姉様がマキシミリオン王国に嫁いでしまわれたら、お会いする機会がなくなってしまうと思ったのです」

「シリル殿下と結婚したとしても、マキシミリオン王国に住むと決まったわけではありませんよ。それに、学園に通う三年間は結婚できませんし。マキシミリオン王国の成人は十八歳ですから」

 どこに住むのかは、シリルが十八歳になるまでにゆっくりと話し合う予定だから、今はどことは言えないわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った

mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。 学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい? 良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。 9話で完結

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

愛されなければお飾りなの?

まるまる⭐️
恋愛
 リベリアはお飾り王太子妃だ。  夫には学生時代から恋人がいた。それでも王家には私の実家の力が必要だったのだ。それなのに…。リベリアと婚姻を結ぶと直ぐ、般例を破ってまで彼女を側妃として迎え入れた。余程彼女を愛しているらしい。結婚前は2人を別れさせると約束した陛下は、私が嫁ぐとあっさりそれを認めた。親バカにも程がある。これではまるで詐欺だ。 そして、その彼が愛する側妃、ルルナレッタは伯爵令嬢。側妃どころか正妃にさえ立てる立場の彼女は今、夫の子を宿している。だから私は王宮の中では、愛する2人を引き裂いた邪魔者扱いだ。  ね? 絵に描いた様なお飾り王太子妃でしょう?   今のところは…だけどね。  結構テンプレ、設定ゆるゆるです。ん?と思う所は大きな心で受け止めて頂けると嬉しいです。

処理中です...