拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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王女様がやって来た。

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 シリルがマキシミリオン王国に戻り、私の留学準備をしてくれていた頃・・・

 メルキオール帝国に、二人のお客様がやって来た。

「「クロエ(お姉様)!」」

 えーと、何故ここにベリンダ様とビビアン様がいらっしゃるの?

「前触れはどうなさったのですか?」

「叔父様宛にお手紙は出したわよ?」

「お父様?私、伺っておりませんが?」

 ジロリとお父様を見ると、お父様はブルブルと震えていた。

「ご、ごめん!シリルとの婚約で頭がいっぱいで、

「お父様は私のことをなのですね。だから、そんな大事なことを忘れてしまわれるのね」

「ちっ、違う!それは違う!クロエのことを嫌いなんて有り得ない!ごめん!ごめんよ、クロエ。何でもお願いをきくから、そんなことを言わないでくれ!」

 お父様ってば、本当に・・・扱いやすい人ね。

 皇帝陛下としては優秀な方なのに、家族には本当に甘くて。

 お母様がお父様のことを大好きな気持ち、すごく分かるわ。

「お願いはまた考えておきますわ。それで、ベリンダ様、ビビアン様、どうしてメルキオール帝国に?」

「「だって、クロエ(お姉様)ってば、婚約を解消したらすぐに国に帰ってしまわれたんですもの!しかも、マキシミリオン王国の王子殿下と婚約したら、あちらに行ってしまわれるかもしれないじゃないですか!だからお母様にお願いして、婚約者探しという名目でやって来ましたの!」」

 どうしましょう。
どこからつっこんだらいいのか、分からないわ。

 まず、私は婚約ありきでアルトナー王国に出向いていたんだから、婚約がなくなれば国に戻るのは当たり前よね?

 伯母様の本意が何にしろ、ね?

 それから、婚約者探しと言うけれど、自分の国で探せばと思うの。

 アルトナー王国の王家は三姫で、女王制だから、高位貴族のお家には子息が多い。

 それなのに、何故?

「アルトナー王国には、年齢の合うご子息がたくさんおいでになると思うのですけど」

「でも、ここでも良いでしょう?」

「それはかまいませんけど。それから、ビビアン様。事業はどうされましたか?後をお任せしたはずですが?」

 元々は、ビビアン様の経験のために始めた王家管轄領での新規事業。

 管轄領で採れる薬草を使って、化粧品事業を立ち上げた。

 ビビアン様が、そういうことに興味を持ってたから、同じやるのなら興味があることの方が良いと判断したのに、放り出して来たの?

「ちゃっ、ちゃんと信頼出来るスタッフたちにお願いして来ました!他国の流行とかを学んできてくださいって言ってくれて!」

 ビビアン様が学ぶのは経営自体だから、軌道に乗ったなら下の者に任せるのは自然だけど・・・




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