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子爵令嬢と名乗る②

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 その時点では、ファンティーヌ様のことも『問題なし』とされていたらしい。

 まぁ、あの二人がおかしく?なったのは、一緒に住み始めてかららしいから、調査のことで伯母様を責めるつもりはない。

 私はルーベンス子爵令嬢を名乗っていたけど、ルーベンス子爵家には領地もない。

 ただ彼らが調べた時にバレないように、伯母様が仮で作った子爵家だ。

 そもそも、婚約者様と良好な関係を築き実際に嫁ぐ時になったら、本当の身分を明かす予定だった。

 さすがに嘘の家名のままでは、婚姻証明書に名前が書けないわ。

 でも、婚約初期から暗雲が立ちこめて・・・

 でも、アルトナー王国では婚約の解消は一年たたないと出来ない。

 そんな私に伯母様が依頼して来たのは、王家管轄の領地での新規事業の手伝い。

 第三王女殿下、つまりビアンカ王太女殿下とベリンダ様の一番下の妹姫ね、彼女に実践経験を積ませたいから手を貸してやって欲しいって。

 伯母様曰く、婚約の解消を領地経営の実践勉強になるし、婚約を解消するとしても新規事業の経験はに役立つからって。

 あれこれ言い訳のように言われたけど、まぁ一年はアルトナー王国にいなきゃいけないから了承した。

 で、第三王女殿下のビビアン様と新たな事業立ち上げとかしてるうちに、令嬢では相手にしてもらえないこととか出て来たのよね。

 別に、メルキオール帝国の皇女だって名乗れば良いんだけど、どこからか婚約者様に漏れたら、せっかく婚約解消できそうなのにして貰えなくなりそうだしで、伯母様に相談したら・・・

 何故か子爵になっちゃったのよ。

 そりゃ領地もない子爵家だけど。
名前だけの子爵家だけど。

 伯母様、適当過ぎない?

 子爵令嬢と名乗ったのは、婚約者様が身分差別をする人かどうか知りたかったのもあるんだけど、いくらなんでも子爵家当主って。

 そう言ったら、子爵として実績を積んで、メルキオール帝国で婚約者が見つからなかったり、嫌になった時はアルトナー王国に住めば良いと言われた。

 その時は子爵から伯爵に陞爵し、領地も与えるからって。

 伯母様ってば、最初からそのつもりだったのね?

 姪の私を、娘たちが住むアルトナー王国に住まわせたいのね。

 支えてもらいたいとか思ってるんだわ。

 全く。伯母様らしいわね。

「伯母様は、私にアルトナー王国に住んで欲しかったんだと思うわ。だから、わざわざお父様と賭けをして婚約を取り付け、そしてそれが危うそうと感じたから、事業立ち上げを勧めて令嬢から子爵にした。確かめてはないけど、当たりだと思うわ。もしかしたら何か言って来るかもね」

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