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それぞれのその後②

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 元レグディア男爵は、亡くなったルノール公爵令息の侍従の家族の方に、彼個人の資産の一部をお悔やみとして差し出したと聞いた。

 真面目で、本当に優しい方なのだろう。だから、夫人の嘘に騙されてしまった。

 夫人もこの方が夫であることに関しては、不満はなかったのだろう。

 ただ、欲を抑えきれなかった。

 男爵となら、裕福でなくても幸せな一生を送れたはずなのに。

 キティさんに関しても、実の母親に騙されていたところはあるけど、闇組織のして来たことは許されることではない。

 侍従の方が亡くなったこともだけど、二組の婚約がなくなったことにも責任がある。

 結局、ソルティア侯爵家とブッセ伯爵家、フォレスコム伯爵家とターナー伯爵家の婚約は白紙撤回となった。

 婚約の解消を望んでいたアグネス様はともかく、ドロシー様は関係改善を望んでいたから残念な結果となった。

 薬を使われていて、本人たちの意思ではなかったのかもしれない。

 だけど、ソルティア侯爵もアグネス様もブッセ伯爵令息を受け入れられないと結論付け、ブッセ伯爵夫妻もそれを受け入れた。

 一方のフォレスコム伯爵家は、ターナー伯爵家側から「息子は後継の座から外すので」と婚約の解消を告げられたそうだ。

 もちろん、ターナー伯爵家有責で。

 最終的に、ご両親はドロシー様の意思に任せることにし、ドロシー様がそれを受け入れた形になった。

 ちなみに、二人の令息は現在も治療中だ。

 洗脳系の魔法や薬は、後遺症が残りやすい。

 しかも彼らは、完全に溺れるまで数回使用されていたので、薬が抜けるまでには相当な時間がかかるそうだ。

 適齢期のご令嬢の婚約が、白紙撤回になった。

 お二人の新たな婚約者に関しては、お母様とお姉様にお願いした。

 もちろん、婚約者を紹介するのではなく、候補の方々とのお見合いの席を設けてもらったのだ。

 あいにく、メルキオール帝国に戻ったばかりの私ではそんな伝手はないが、その点お母様とお姉様ならきっと良い方々を紹介してくれると判断して。

 え?私?
私は・・・シリルと向き合わなければならない。

 この件が片付いたら、婚約するという約束だったもの。

 シリルは危険にも関わらず、ちゃんとキティさんの気を惹いて、闇組織を摘発してくれた。

 現在は、闇組織の他のメンバーを連れてマキシミリオン王国に戻っているけど、国王陛下たちへの報告が済んだらやって来ると思う。

「それで、好感触の方はいらして?」

「私は、ラッテ伯爵家のレジェス様に次にお会いするお約束をしていただきましたわ」

「私はあの・・・北の辺境伯様のご子息のフィート様をご紹介していただきました」

 え?フィート様って、ルーファスお兄様のご友人の?


 


 
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