拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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捕らえたのは。

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「キティ・ラマダ?改めてお伺いします。貴女のお名前は?」

 首領の名前がキティだったことで、魔法師の方が改めて尋問した。

 まさか、彼女が首領?まさかね。

「・・・キティ・・・」

「お名前は?」

「キティ・・・レグ・・・ゔぅっ・・・ゔゔゔっ・・・キティ・ラマダ」

 レグディアと言いかけて、痛みに呻いて体を捩り、そして名乗ったのは闇組織の首領の名前だった。

 えええええ。
首領自ら、潜入していたというの?

 でも確かにそれなら、首領からの指示がなくても不思議はないわ。

 本人が思うように動けば良いだけだもの。

「では、貴女が組織の首領なのですね?」

「うぐっ・・・くっ!そっそうよ!くっ!今まで尻尾は掴ませなかったのにっ!」

 まぁ確かに、こんな若いご令嬢が組織の首領だとは誰も思わないだろうし、きっと彼女はある意味優秀で、判断力に優れていたのでしょうね。

 尻尾を掴まれると思ったら、上手く逃げていたのでしょう。

 違う面で優秀さを出していたなら、それこそ公爵家とも縁付けたかもしれないのに。

「貴女がた組織の目的は?」

「目的?ハッ。そんなの決まってるでしょ。たんまり報酬を得ることよ。だから公爵家の息子を狙ったのに、あんなに警戒されるなんて!でも、やっと分かったわ!魔道具を使ってたのね!」

 もう取り繕う必要がないと判断したのか、レグディア男爵令嬢・・・いえ、キティ・ラマダさんは開き直ったように話し出した。

 お金目当てということ?
いえ、まぁ、闇組織の運営にはお金がかかるとシリルたちが話してたけど、まさか本当にそれだけが目的だったの?

 でも、メルキオール帝国に害なそうと思っているなら、ルノール公爵令息ではなく、ルーファスお兄様を狙うかしら。

「お金の為?本当に?そのためだけに公爵令息に近付いたと?」

「そうよ。お偉いお貴族様たちを、悔しがらせたかったのに!男爵家の小娘に入れ込んで、金を貢いだ息子を切り捨てる。家から追い出した後に、薬を使われてたことを知って、お偉いお貴族様は泣き喚くのよ。一旦家から追い出したら、元通りには出来ないものね。今まで上手くいってたのに!ママを傷付けたこの国の貴族を、無茶苦茶にしてやれるはずだったのに!」

「傷付けたとはどういうことですか?」

「ママとパパは、愛し合っていたのに!それをママから、パパを捕らえようとしたのよ!パパはこの国から逃げるしかなかった。パパを失ったママは、泣く泣く男爵家に嫁いだのよ!パパはママを取り戻すために組織を立ち上げた。全部全部、この国の貴族が悪いのよ!」

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