上 下
38 / 130

まだまだ準備と打ち合わせ。

しおりを挟む
 魔道具の使い方は全員に周知した。

 後はレグディア男爵令嬢への対処の仕方。

 そこでルノール公爵令息を招いた。

「レグディア男爵令嬢とのことをお伺いしたいのです。どのように接触して、どのような対応をされたのか」

「あれは、ある商会のパーティーでした。そこの令息は僕より二歳年上ですが、魔道具の仕入れでその商会のお世話になっていたので、僕も参加していたのです。そこに、レグディア男爵令嬢も参加していました。知人たちと話していると、突然後ろからぶつかられて、それがレグディア男爵令嬢でした。その目に涙を浮かべて、僕に手を貸してくれないかと頼んで来ました」

「そう。商会のパーティーで。どなたの紹介だったのかご存知?」

「確認して来ました。どうやら、彼女は母親である男爵夫人が娘の婚約者を探したいと男爵に頼んで、男爵の知り合いの伝手で商会のパーティーに参加したそうです」

 そう。
男爵がから、商会のパーティーだったのね。

 元々の貴族でもない養い子。
貴族のしがらみを考えると、同じ男爵家か商会に嫁がせるのがベストよね。

 ルノール公爵令息が参加していたのは、たまたまだったということね。

「で、本当に突き飛ばされたのかい?」

「さあ?その後のことを考えると、僕の身分を知って、知り合うためにわざと転んだのではないでしょうか。どうでもいいので、周囲に聞きもしませんでしたが」

「それで、彼女はどうしたのかしら?」

「一応、経緯は何にしろ目の前で床に座り込んでいたので、手を貸しました。礼を述べて彼女は一旦その場から離れました。ああ。その時に足を挫いたみたいだと言うので、僕の侍従に手を貸すように言いました」

「ルノール様の侍従の方?」

 そういえば、ルノール公爵令息様の侍従の方に薬を飲ませて、公爵令息にも薬を飲ませようとしたと言っていたわね。

「僕の侍従は伯爵家の三男で、僕と同い年なのです。で、その侍従がしばらくして戻って来て、僕に果実水の入ったグラスを差し出そうとしました。すでにご存知だとは思いますが、僕は他人から差し出されたものは、一切口にしません。パーティーなどでも、一旦侍従が口にしない限り、それを差し出したのが皇帝陛下だとしてもです。まぁ現在は、新たな魔道具を身につけていますから、口にすることはできますが。話が逸れましたが、その侍従とは魔法契約をしております。僕を害する行動をする場合、彼に激痛が走るという契約です。そして、彼は僕にグラスを渡す前に激痛でその場に倒れました」

しおりを挟む
感想 369

あなたにおすすめの小説

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

【完結】都合のいい女ではありませんので

風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。 わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。 サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。 「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」 レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。 オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。 親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。 ※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

処理中です...