拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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対策と条件。

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「それで、闇組織の方は把握できましたの?」

 少なくとも、二人の伯爵令息を犠牲にして泳がせていたのだから、ある程度の把握はできているのよね?

 私の質問に、お父様とお義兄様は苦虫を噛み潰したようなお顔をされた。

「ほとんどは把握出来たが、親玉だけが姿を現さない。現在の住処も分かっているが、そこにもいないんだ」

「でも、統率は取れているのでしょう?」

 首領がいなければ、そういう荒くれ者は好き勝手しがちだけど、その傾向もないらしい。

 さすがというのも変だけど、各国を股にかけている闇組織よね。

「その男爵令嬢から追跡できないの?」

「薬を受け取った後は、ほとんど接触がない。おそらく手紙などで指示が出ているのだろうが、さすがに個人の手紙の中身を見るわけにはいかない。差出人は控えてあるが、ブッセ伯爵令息とターナー伯爵令息からばかりだった」

 うーん。
確かに彼女に指示を出すのは、首領である必要はないのよね。

 でも、構成員と首領を繋ぐ役目の人間がいるはずなんだけど。

「おかしいわね。上が目を光らせておかないと、統率が取れないと思うのだけど」

「上層部というか幹部には、いつも逃げられるのでしょう?捕まえてもトカゲの尻尾切りで、上まで届かないって聞いたわ」

 この闇組織は各国を股にかけてるから、当然各国が躍起になって捕まえようとしている。

 たまたま、アルトナー王国には出てなかったけど。

 でも、お母様たちのおっしゃる通りよね。

 何かあればトカゲの尻尾切りで切り捨てられるのに、下っ端たちは幹部が目を光らせていなくても統率が取れるものかしら。

「その、レグディア男爵令嬢に会って見ましょうか」

 私がそう言うと、お母様とお姉様が「どうするつもり?」と聞いて来られた。

「私はこの一年、メルキオール帝国にいませんでしたから、そのご令嬢と面識もありません。せっかくですし、実際に見てみたいですわ。そうですね、シリルにも協力していただきましょう?シリルの容姿なら、きっと接触してくるでしょうし」

 シリルは、マキシミリオン王国の第三王子。

 今は国に帰っているけど、協力をお願いすれば国王陛下たちもお力を貸してくださるはず。

「シリルを餌にするつもりか」

「お義兄様は反対ですの?」

「・・・クロエ嬢の願いなら、アレは喜んでやって来るだろう。父上も闇組織には頭を悩ませているから、手を貸してくれるだろうし、母上はクロエ嬢のことを大好きだから、シリルの尻を叩いてでも来させるだろうな。だけど、なんらかの条件を出して来ると思うよ」

 でしょうね。
条件は、私との婚約かしら。
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