拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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傾向と対策。

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「で、どうなさるの?」

 再び、お母様が問いかける。

 お父様たちは、おそらくそのキティ様を泳がせているのよね?

 後ろにいる闇組織を、一網打尽にしたいんだわ。

 だけど、どうして高位貴族を狙わなかったのかしら。

「薬を使っているのなら、伯爵家ではなく公爵家や侯爵家を狙えたのでは?」

「実は、その娘がルノール公爵家の嫡男に接触した。その嫡男は用心深い性格でね。絶対に他人から受け取った物を口にしない。家族と魔法契約をしている侍従から受け取った物のみ口にするんだ。そのキティという娘は、その侍従に薬入りの飲み物を飲ませて、彼に薬を摂取させようとしたらしい。だが魔法契約により、薬物入りだと判明したんだ」

「魔法契約というと、マキシミリオン王国で発明された?」

 この世界には魔法というものがある。
 ただ使える人間は限られていて、アルトナー王国には一人もいなかったし、メルキオール帝国にも数えるほどしかいない。

 マキシミリオン王国はそういう研究が進んでいて、魔法を使える魔法師という人間が多くいる。

 メルキオール帝国にいる魔法を使える者は、このマキシミリオン王国からやって来た者たちだ。

 へぇ。
ルノール公爵令息は、している方なのね。

 権力のある地位にあるということは、それだけ義務が生じるだけでなく危険も生じる。

 毒を警戒して毒味役がいたり、銀の食器を使ったりするのは当たり前のこと。

 、皇帝陛下であるお父様や皇帝妃であるお母様、お姉様もお義兄様も、そして私も、魔法を使った防御アイテムを身につけている。

 これはものすごく高価で希少なものだから・・・さすがに貴族家には出回っていないのよね。

 私たちは、ルーファスお義兄様の口利きで手に入れることができたけど。

 ルノール公爵令息が使った魔法契約にしても、それを発動させる魔法師を呼んで契約を発動してもらうわけだから、中々に高価なのだけど、それだけ危機管理が出来ているということよね。

「その報告が上がったことで、マキシミリオン王国に頼んで、魔法契約を行える者を派遣してもらった。さすがに伯爵家までは無理だったが、公爵家侯爵家に関しては、当主と令息には契約を行った侍従を付けてある」

 それは、さすがにお父様を責められないわね。

 魔法契約を行うのは、決して安価ではない。

 それを、全貴族家に施行しろというのは難しいもの。

 でも、おかげで納得したわ。

 ブッセ伯爵令息も、ターナー伯爵令息も、その違法薬物のせいでその男爵令嬢に傾倒したということね。


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