34 / 130
傾向と対策。
しおりを挟む
「で、どうなさるの?」
再び、お母様が問いかける。
お父様たちは、おそらくそのキティ様を泳がせているのよね?
後ろにいる闇組織を、一網打尽にしたいんだわ。
だけど、どうして高位貴族を狙わなかったのかしら。
「薬を使っているのなら、伯爵家ではなく公爵家や侯爵家を狙えたのでは?」
「実は、その娘がルノール公爵家の嫡男に接触した。その嫡男は用心深い性格でね。絶対に他人から受け取った物を口にしない。家族と魔法契約をしている侍従から受け取った物のみ口にするんだ。そのキティという娘は、その侍従に薬入りの飲み物を飲ませて、彼に薬を摂取させようとしたらしい。だが魔法契約により、薬物入りだと判明したんだ」
「魔法契約というと、マキシミリオン王国で発明された?」
この世界には魔法というものがある。
ただ使える人間は限られていて、アルトナー王国には一人もいなかったし、メルキオール帝国にも数えるほどしかいない。
マキシミリオン王国はそういう研究が進んでいて、魔法を使える魔法師という人間が多くいる。
メルキオール帝国にいる魔法を使える者は、このマキシミリオン王国からやって来た者たちだ。
へぇ。
ルノール公爵令息は、キチンとしている方なのね。
権力のある地位にあるということは、それだけ義務が生じるだけでなく危険も生じる。
毒を警戒して毒味役がいたり、銀の食器を使ったりするのは当たり前のこと。
当然、皇帝陛下であるお父様や皇帝妃であるお母様、お姉様もお義兄様も、そして私も、魔法を使った防御アイテムを身につけている。
これはものすごく高価で希少なものだから・・・さすがに貴族家には出回っていないのよね。
私たちは、ルーファスお義兄様の口利きで手に入れることができたけど。
ルノール公爵令息が使った魔法契約にしても、それを発動させる魔法師を呼んで契約を発動してもらうわけだから、中々に高価なのだけど、それだけ危機管理が出来ているということよね。
「その報告が上がったことで、マキシミリオン王国に頼んで、魔法契約を行える者を派遣してもらった。さすがに伯爵家までは無理だったが、公爵家侯爵家に関しては、当主と令息には契約を行った侍従を付けてある」
それは、さすがにお父様を責められないわね。
魔法契約を行うのは、決して安価ではない。
それを、全貴族家に施行しろというのは難しいもの。
でも、おかげで納得したわ。
ブッセ伯爵令息も、ターナー伯爵令息も、その違法薬物のせいでその男爵令嬢に傾倒したということね。
再び、お母様が問いかける。
お父様たちは、おそらくそのキティ様を泳がせているのよね?
後ろにいる闇組織を、一網打尽にしたいんだわ。
だけど、どうして高位貴族を狙わなかったのかしら。
「薬を使っているのなら、伯爵家ではなく公爵家や侯爵家を狙えたのでは?」
「実は、その娘がルノール公爵家の嫡男に接触した。その嫡男は用心深い性格でね。絶対に他人から受け取った物を口にしない。家族と魔法契約をしている侍従から受け取った物のみ口にするんだ。そのキティという娘は、その侍従に薬入りの飲み物を飲ませて、彼に薬を摂取させようとしたらしい。だが魔法契約により、薬物入りだと判明したんだ」
「魔法契約というと、マキシミリオン王国で発明された?」
この世界には魔法というものがある。
ただ使える人間は限られていて、アルトナー王国には一人もいなかったし、メルキオール帝国にも数えるほどしかいない。
マキシミリオン王国はそういう研究が進んでいて、魔法を使える魔法師という人間が多くいる。
メルキオール帝国にいる魔法を使える者は、このマキシミリオン王国からやって来た者たちだ。
へぇ。
ルノール公爵令息は、キチンとしている方なのね。
権力のある地位にあるということは、それだけ義務が生じるだけでなく危険も生じる。
毒を警戒して毒味役がいたり、銀の食器を使ったりするのは当たり前のこと。
当然、皇帝陛下であるお父様や皇帝妃であるお母様、お姉様もお義兄様も、そして私も、魔法を使った防御アイテムを身につけている。
これはものすごく高価で希少なものだから・・・さすがに貴族家には出回っていないのよね。
私たちは、ルーファスお義兄様の口利きで手に入れることができたけど。
ルノール公爵令息が使った魔法契約にしても、それを発動させる魔法師を呼んで契約を発動してもらうわけだから、中々に高価なのだけど、それだけ危機管理が出来ているということよね。
「その報告が上がったことで、マキシミリオン王国に頼んで、魔法契約を行える者を派遣してもらった。さすがに伯爵家までは無理だったが、公爵家侯爵家に関しては、当主と令息には契約を行った侍従を付けてある」
それは、さすがにお父様を責められないわね。
魔法契約を行うのは、決して安価ではない。
それを、全貴族家に施行しろというのは難しいもの。
でも、おかげで納得したわ。
ブッセ伯爵令息も、ターナー伯爵令息も、その違法薬物のせいでその男爵令嬢に傾倒したということね。
3,201
お気に入りに追加
5,685
あなたにおすすめの小説


王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります


願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った
mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。
学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい?
良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。
9話で完結
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる