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公務とお茶会。

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 メルキオール帝国に戻ったことで、皇女としての公務が再開することになった。

 メルキオール帝国では基本、高位貴族は家庭教師から学ぶから、学園には通わない。

 その分社交は、十歳を超えるとお茶会やパーティーなどの参加が可能になる。

 私も皇女として、幼い頃から家庭教師が付いていて、語学やマナーなどは学んでいた。

 だから他国のアルトナー王国でも、まぁ一般知識とはいえ問題なく成績を維持できた。

 そのことから考えると、元婚約者様って本気でどこかに常識を落として来られたのかしら?

 だって次男とはいえ、公爵家の子息だもの。

 ちゃんと教育されてたわよね?

「アルトナー王国の王太女殿下は、皇妃様に似てらっしゃいますの?」

 今日の公務は、公爵家主催のお茶会への参加だ。

 私に問いかけてきたのは、メルキオール帝国ハルジョン侯爵令嬢のエミリア様。

 エメラルドグリーンの髪と瞳をした、柔らかな雰囲気のご令嬢。

 でも、中身は勝ち気な方なのよね。

「ええ。背格好は同じくらいですわね。アルトナー王国女王陛下の方が、お母様よりは大人っぽく見えますかしら。うちのお母様は・・・ほら、お姉様と姉妹と言ってもおかしくない方ですから」

「とてもお若くお美しい方で、三姉妹のようですわね。知らない方なら、姉と言っても信じてしまわれるかと」

 私が苦笑まじりにそう答えると、エミリア様はそう言って笑われた。

 そうなのよね。
私やお姉様が年相応に容姿が変われば、お母様の方が『娘』みたいに見えるわ。

「アルトナーの王太女様も似てらっしゃいますの?」

「ビアンカ王太女殿下は、王配殿下似ですわね。中身は女王陛下似ですけど」

 銀髪に紫の瞳なのは、アルトナー王家の特徴だけど、それ以外は伯母様よりは王配殿下に似ている。

 ただし、中身の辛辣さは伯母様似だわ。

 妹のベリンダ様もだけど、生まれながらの王族だと思う。

 厳しくも正しい判断ができる人。

 伯母様よりも手強いかもしれないわ。伯母様は、少し短気なところがあるから。

 そう考えると、お母様が一番手強い方かもしれないわ。

 見た目は若くて可愛らしい容姿だし、物腰は柔らかいからみんな油断するもの。

「帝国では何か変わったことはありまして?」

「そうですわね・・・脳内に芥子の花が咲いているような小娘が現れましたわ」

「芥子の花・・・」

 元婚約者様やファンティーヌ様のような令嬢が、帝国にも?

「レグディア男爵家の庶子ですわ。夫人が甘やかした結果、脳内に花畑ができたようですの」

 


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