拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
上 下
27 / 130

それぞれお仕置きを受けています。

しおりを挟む
「クロエが納得しているなら、もうしばらくお仕置きをしたら許してあげることにするわ」

 お母様はちゃんとお父様のことを好きでいてくださるのに、どうしてあんなに不安なのかしら。

 やっぱり『病気』ね。

「ところで、マキシミリオン王国の国王陛下がお父様の恋敵だというのは本当なのですか?」

「恋敵というか・・・確かに婚約の打診は来たわ。私たちは、アルトナーの学園で共に学んだのよ。卒業式直前に二人から婚約を申し込まれたわ。確かにマキシミリオンの国王陛下はあの頃から格好良くてお優しい素敵な方だったけど、彼には母国に幼馴染の公爵令嬢がいたの」

「幼馴染・・・ですか」

「ええ。別に彼は、二股をかけていたとかではないのよ。私に婚約を申し込んだのは『諦めるため』だと言ったの。私の気持ちが旦那様に向いていることを知っていて、振られても自分には幼馴染がいるから、遠慮なく振っていいと笑っていたわ」

 それは・・・
なんというか、お父様がマキシミリオンの国王陛下に敵わないと思っても無理ないわね。

 中身が素敵すぎだわ。

「確かに、お父様が劣等感を持っても仕方ありませんね」

「まぁ、あの人もまさか、マキシミリオン王国の王子二人が自分の娘に求婚するとは思わなかったんでしょうね。それに、シリル殿下は、お父様によく似てらっしゃるのよ。だから余計に受け入れにくかったのだと思うわ」

「そうなんですか?ならすごくモテたんじゃないですか?お母様も告白されて心が揺れたりしませんでした?」

「ふふふっ。シリル殿下の告白を聞き流したクロエにそんなことを言われるなんてね。私は旦那様のあの、不器用でしつこいくらいの愛情に絆されてしまったのよ」

 そう言いながらも、頬を赤らめるお母様は、少女のようで・・・なんだか私も女としてお母様に負けてる気がするわ。

「そうそう。クロエの元婚約者とそれにくっついていた男爵令嬢だけど」

「確か、アルトナー王国の、西区の街道整備の就労に就いたんですよね?」

「もう、何の役にも立たないというか、文句ばかりで大変らしいわよ」

「・・・でしょうね」

 遊んでばかりだった二人が、真面目に働くとは思っていないわ。

「当然、食事も減らされるから余計動かなくて、周囲から苦情が出てるらしいわ」

「詳しいですね。伯母様情報ですか?」

「ええ。お義兄様・・・王配殿下が監視役として西区に滞在しているらしいわ」

 は?王配殿下がなんで?

「お姉様からの『罰』らしいわ」

「ああ、なるほど」

 今回の婚約は、お父様と王配殿下が決めたものだから、お母様姉妹にそれぞれお仕置きを受けているということね。

しおりを挟む
感想 369

あなたにおすすめの小説

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

どうぞ、(誰にも真似できない)その愛を貫いてくださいませ(笑)

mios
恋愛
公爵令嬢の婚約者を捨て、男爵令嬢と大恋愛の末に結婚した第一王子。公爵家の後ろ盾がなくなって、王太子の地位を降ろされた第一王子。 念願の子に恵まれて、産まれた直後に齎された幼い王子様の訃報。 国中が悲しみに包まれた時、侯爵家に一報が。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

あなたには彼女がお似合いです

風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。 妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。 でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。 ずっとあなたが好きでした。 あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。 でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。 公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう? あなたのために婚約を破棄します。 だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。 たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに―― ※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

処理中です...