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女王陛下の雷が落ちました。

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「ええい!ウダウダと煩い!コンラッド公爵っ!家を取り潰されたくなければ、すぐにそこの二人を放り出せ!騎士が足りなければ、王家の騎士を貸してやる!」

 元婚約者様の様子に、女王陛下が雷を落とした。

「はっ、はいっ!」

 その雷に、コンラッド公爵様は公爵家の騎士たちを外から呼び寄せ、王家の騎士たちの手を借りて元婚約者様とファンティーヌ様を会場から連れ出した。

 連れ出される前に喚き出した二人に、騎士たちは猿轡を噛ませたものだから、連れ出される様子は犯罪者だったわ。

 ちなみに、公爵夫人は息子の非常識さに倒れられてしまって、馬車でお待ちだったわ。

 ざわざわとした会場に、女王陛下の声が響く。

「せっかくの卒業パーティーを騒がせた。ゆっくりと楽しんで欲しい。すまないが、メルキオール殿たちはこちらへ。この後の話をしたい」

「はい」

 元々、女王陛下たちとはお話する予定だった。

 婚約の解消の手続きは済んでいるけど、後始末があったから。

 心配そうに私を見つめる友人たちに手を振って、お姉様とシリルと共に卒業パーティーが行われていた会場から、応接室へと移動する。

 女王陛下に王配殿下、王太女殿下のビアンカ様、婚約者のアドルファス様。お姉様に私とシリルの七名が座った時点で、アドルファス様と女王陛下が謝罪された。

「本当に愚弟が迷惑をかけました。申し訳ありません」

「あのような者との婚約を決めた我が国の王として、謝罪する。申し訳なかった」

 私はお姉様に視線を向けた。

 お姉様は今回、お父様お母様の代わりにアルトナー王国に訪れている。

 婚約は家と家の契約。
つまりは、謝罪を受け取るかの決定権はお姉様にある。

「女王陛下にコンラッド公爵令息様の謝罪は受け取りますわ。王太女殿下の婚約者の家が没落するようなことも望みません。ですが、罰なしというわけにはまいりません」

「分かっている。妹君からの提案で、次期公爵は親戚筋から取ることになった。その令嬢には後継としての教育がされていないのでな、教育を終えるまでの三年間は公爵夫妻は引き継ぎのために残るが、引き続きが終われば領地に向かうことになっている」

「それで結構ですわ」

「次に、この婚約を勧めた王家としての謝罪だが」

 女王陛下がそこまでおっしゃったところで、私は小さく手を挙げた。

「何か希望があるか?」

「はい。この婚約を勧めた王配殿下には、女王陛下がキツい灸を据えてくださるということで、罰としていただきたいのです」

 大切な友人の、ベリンダ様のお姉様が継がれる国だもの。
 国が傾くようなことにはしたくないわ。



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