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卒業式目前です。

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 あれから別段何事もなく、卒業式まで一週間となった。

 婚約者様が相変わらず、婚約者の私に何の連絡もなく、ファンティーヌ様とイチャコラしているという通常運転状態。

 どうやら婚約者様は、卒業パーティーでも婚約者ではなくファンティーヌ様をエスコートするつもりらしい。

 アルトナー王国王立学園の卒業パーティーは、その日をもって成人と認められる日。

 なのでパーティーには正装をして、婚約者がいる者は婚約者に、いない者は家族にエスコートされて参加するのだけど・・・

 私をエスコートする気はないらしく、ドレスも宝飾品も送られてこなければ、エスコートのお誘いもない。

 まぁ期待もしていない。
というか、今さら送られて来るほうが困る。

 こっちは解消する日を、指折り数えて待ってるんだから。

 ちなみに私のドレスは、深紅に黒のレース付き、だ。

 私は黒髪だから、まぁどの色でもそれなりには合うんだけど、絶対に金色と青は着るつもりはない。

 妙な勘違いをされても困るしね。

 それに・・・

「卒業式はがエスコートを?」

 ベリンダ様の問いに、私は小首を傾げた。

「分かりませんわ。ドレスはお姉様経由で送られて来ましたの。卒業パーティーには上の姉夫婦が来るらしいのですけど」

「でも、を送られて来たくらいですし、エスコートなさるおつもりなのでは?」

「まぁ、卒業式を終えれば婚約は解消されますから、不貞にはなりませんけど、きっと鬼の首を取ったかのように不貞を突きつけて来そうで。面倒ごとはごめんですわ」

 まぁだから、エスコートされても問題はないけれど。

 多分・・・
来るわよね。

 私の婚約解消を待っていたのは、彼も同じだもの。

「コンラッド公爵令息は、青地に金色の刺繍のドレスと金とサファイアの宝飾品、ピンクの衣装を注文されたと聞きましたわ」

「ピンクの衣装・・・」

 カロリーナ様の言葉に、グレース様が絶句しているけど、目立つでしょうね、パーティーでは。

 チーフやシャツをピンクにするとか、他にも方法はあったでしょうに。

 基本、女性のドレスがピンクというのはあるけど、男性を全身ピンクのスーツにするというのは・・・

 ま、まぁいいわ。
本人が恥ずかしくないのなら、私には関係ないことだもの。

 しかし、本当に婚約者以外の女性と衣装を合わせるなんて、婚約者様はご自分の立場をご理解していないのね。

 卒業式を終えたら、私との婚約は解消されるから、実際問題として不貞にはならないけど、衣装を作った時点では婚約者がいる状態なのにね。

 ま、私も人のことは言えないから、そこは突っ込まないけどね。
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