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侯爵家への断罪

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「も、申し訳ございませんっ!」

 ラムズベルト侯爵様はその場に座り込み、床に頭を擦り付ける勢いで謝罪されたけど・・・

 謝罪で終わらせられる段階は過ぎていると思うわ。

 オルコット男爵令息と接触した時点で気付いて、皇帝陛下に知らせていたならちゃんとの役目を果たしていると認められたのに。

監視の目を緩めた?子供も出来、大丈夫だったから、もう平気だとでも思ったか?もしそうだとしても、何故こちらに確かめなかった?あの多額の報酬は監視を続けることの報酬だと伝えたはずだ」

 二十二年前、ラムズベルト侯爵家の領地が、災害で壊滅的になったそうなの。

 王家は、ラムズベルト侯爵に夫人を娶り監視することを条件に、相当なお金を出したらしいわ。

「誠に・・・申し訳ございません!」  

「ラムズベルト侯爵家は、二階級降爵で子爵に。領地は半分没収。侯爵令嬢はこの件には関わっていないものとし、不問とする」

 二階級降爵ね。
厳しいと言えば厳しいけど、王族に嘘を吐いて婚約を壊そうとしたのだもの。仕方ないわ。

 取り潰しでないだけマシだと思わないと。

「陛下・・・妻は・・・」

「前回の時に本人と両親には伝えた。『次はない』と。証言者が破落戸だからと異議を申し立ててきたが、俺はアレは真実だと今も思っている。不問にしたのは、皇妃のことを思ってだ。問題を長引かせて、負担をかけたくなかった。今回は、確実に裁かせてもらう。恩赦はない」

「・・・かしこまりました」

 どういう経緯でも、結婚して子供も生まれているから、多分ラムズベルト侯爵様には多少なりとも情が生まれたのね。

 それなら、余計にちゃんと監視しておけば良かったのに。

 かわいそうなのは、ご令嬢だと思うわ。

 本人がサリュ殿下の婚約者になりたいと願っていたかどうかは知らないけど、侯爵令嬢から子爵令嬢になり、しかもお母様が犯罪者として裁かれるなんて。

 新たな婚約も多分決まらないから、修道院に行った方がマシと思えるかもしれないわ。

 あとで、ご令嬢がどんな方かマリアンヌ様にでも聞いてみましょう。

 マトモな方なら、他国にでも良い方がいないか探して差し上げたいし。

「夫人に悟られるわけにはいかんから、ことが済むまでラムズベルト子爵には王宮にて滞在してもらう。子爵を客室に案内し、ラムズベルト侯爵家へ公務にて一週間ほど帰れないと知らせを送れ」

「「はっ」」

 側仕えの方が即座に動き、ラムズベルト侯爵・・・子爵様を謁見室から連れて行った。

 残されたサングリア子爵夫妻の表情は、複雑そうだわ。
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