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マズいことになった〜オルコット男爵子息視点〜

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 マズいことになった。

 メリッサ・サングリア子爵令嬢と、オルコット男爵家三男の俺はいわゆる幼馴染というやつだ。

 親同士が友人。
だから三男で継ぐ家のない俺は、いずれメリッサと婚約してサングリア子爵家を継ぐものだと思っていた。

 子爵家。
大したことがないと思うのに、メリッサは領地経営の勉強をしろだの、口煩い。

 面倒で聞き流していたら、メリッサが第二皇子であるサリュ殿下と婚約したと両親から聞いた。

 はぁ?
なに勝手に婚約してんだよ。

 もしかして王命で断れなかったってやつか?

 そう思って、父上にすぐにサングリア子爵家に婚約の申し込みをしてもらった。

 なのに、返ってきたのは断りの手紙で、しかもしばらくオルコット男爵家とは距離を置かせてもらうという。

 意味不明だ。
両親には何をしたのだと言われたが、何もしてねぇよ。

 メリッサ風情が生意気なんだよ!

 だけど、王族との婚約をひっくり返すのは難しい。

 サングリア子爵家が協力的なら、どうにかなったのに。

 このままじゃ、俺は平民になってしまう。

 焦っていた俺に、が妙案を授けてくれた。

 サリュ殿下に、俺とメリッサは想いあっていて、でも王家からの婚約打診に泣く泣く別れたのだと言えばいいと言われた。

 殿下はから、涙ながらに訴えたら大丈夫だと。

 不安だったが、メリッサにバレなければ大丈夫だろうとサリュ殿下に接触した。

 結果は大成功だ。

 サリュ殿下はメリッサと距離を置き始めた。

 これで、殿下から婚約解消されたメリッサは傷物。

 俺が結婚してサングリア子爵家を継いでやる。

 の思惑は分からないが、俺には問題ない。

 だから安心して、適当に遊びながら、サングリア子爵家からの婚約の打診を待つことにした。

 婚約したら、メリッサはちゃんと躾けないとな。

 俺を蔑ろにしたことの罰は与えないと。

 この時の俺は知らない。

 皇帝陛下が友人だという他国からやってきた元平民に、息子の恋路について相談していたことを。

 そして、その元平民の婚約者が、メリッサとサリュ殿下を会わせて、俺が吐いた嘘を二人が知ってしまったことを。

 皇帝陛下が俺に案を出したのことや、俺のことを調べて、断罪する準備をしていることを。

 この時の俺は知らない。
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