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お茶会開催

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 皇帝陛下、皇妃様の悩みの種である第二皇子殿下サリュ様。

 彼の真意は分からないけど、他国から令嬢を留学させたいのか、そのあたりの情報を得るためにサリュ殿下の婚約者と会うことになった。

 皇妃様主催で、名目は『ヴェルセット伯爵夫人(予定)のお披露目』である。

 エレメンタル帝国在住の、十三歳から二十五歳までの貴族令嬢は全員参加とされた。

 病床の場合は、医師と当主がその旨を皇妃様に伝えに来ることという、強制力。

 皇妃様は今回のお茶会で、サリュ殿下のことを本気で見極めるつもりなのね。

 大切な息子だろうけど、皇帝陛下と皇妃様はエレメンタル帝国全国民の父と母でもある。

 優先すべきは国民であるのよね。
それが王族であるということ。

 その点では、マクラーレン王国もローゼン王国も、甘いところはあったけど、ちゃんと最後は王として決断されたと思うわ。

 まさか私をダシに使われるとは思わなかったけど、ハデス様が皇帝陛下のお気に入りである限り、皇帝一家とはそれなりにお付き合いもあるだろうから憂いは絶っておくに限るから、仕方ないわね。

 とりあえず、十日後に開かれることとなったお茶会のために、私もドレスの準備をしなければならない。

 お茶会の場合は、昼間に庭園などで開かれるから、あまり豪華なドレスは相応しくない。

「婚礼準備に忙しいのに、ごめんなさい。ドレスはこちらで準備するわ。あと、参加者のリストは必要?」

「そうですね。当日にご紹介いただくつもりですが、前もって情報をいただけるのなら是非に」

 前もって知っているだけで、何か起きても対応できるもの。

 当日は素知らぬ顔で皇妃様から紹介していただけば良いのだし。

 突然エレメンタル帝国で伯爵となったヴェルセット伯爵家を、良しとしていない貴族もいるはずよ。

 これから社交をしていく中で、情報を制することは大事なことだわ。

「分かったわ。後でリストを届けさせるわね」

「ジュエル、大丈夫か?今回のお茶会はさすがに俺も一緒にというわけにはいかない」

「大丈夫ですわ、ハデス様。この先、社交をしていかなければならないのです。毎回、ハデス様にご助力いただくわけにはいきませんわ。それに、私これでも王太子妃教育を受けていますから、少々の嫌味くらい笑って流せますわ」

 ローゼン王国の王妃様の嫌味を思えば、何を言われても全然平気よ。

 あの頃はシリウス殿下のことを好きだったから、王妃様の嫌味がものすごく辛かった。

 あれに比べれば、見知らぬ令嬢の嫌味くらい可愛いものだわ。
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