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お客様がやって来た

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 お客様がやって来た・・・
と言って良いのかしら?

 どうしてが、ヴェルセット伯爵家の新居の応接室にいるの?

 ハンナも侍女頭も家令も、みんな私よりは皇帝陛下や皇妃様を知っているから平気そうだけど、平気じゃないわ!

 ハデス様も呆れた様子ではあるけど、以前みたいに文句を言ったりはしない。

 もう他国の令息ではなく、エレメンタル帝国の貴族だものね。

 主君にそんなことは言えないわよね。

 でも!
私はまだ他国の令嬢だもの!

 心の中では言いたいわ!
皇帝陛下や皇妃様がに遊びに来ないで!

「綺麗に出来上がったな」

「本当に。なんだか癒される雰囲気だわ」

「・・・お力になっていただき、ありがとうございます」

 屋敷を建てるにあたって、皇帝陛下にはとても力になっていただいたから、ハデス様の言葉に合わせて私も頭を下げる。

 感謝はしているわ、当然。

 ただ、お見えになるなら先触れをせめて前日には出して欲しいの。

 一時間前じゃ、おもてなしの準備も整わないじゃない!

「悪いな、夫人。あ、いや夫人じゃないか。俺たちが出かけるとなると良からぬことを考えるヤツもいないわけではないからな。公務ならともかく、仰々しく護衛も連れて動けん。どうしても急になるんだ」

 それって、これからも急にやって来るということ?

 焼き菓子は、すぐ間に合うようにしておかなきゃ。

「危ない真似をするなよ。いや、しないでください。護衛の方々が大変でしょう」

の話し方でいい。他の貴族の前ではそういうわけにもいかないが、俺や皇妃の前では今までの話し方でいてくれ。俺にとってお前はなんだ」

「・・・分かった」

 歳の離れた友人なのね。
皇帝陛下は確か四十歳だったはず。

 一番上の王子殿下が、ハデス様と同い年だとお聞きしたわ。

 お子様は五人いて、全員が王子殿下。
順に二十一歳、十九歳、十七歳、十五歳、十三歳だとお聞きしたわ。

 末の十三歳の王子殿下は、マクラーレン王国の王太女になられる侯爵家のご令嬢の婚約者になられた。

 優秀なご令嬢だけど、王族としての教育を受けなくてはならないから、その年齢になったのだそう。

 それはそうよね。
王太子妃教育ですら五年かかったもの。

 女王となられるのなら、もっと厳しい教育だと思う。

 末子とはいえ、王族しかも帝国の王族である第五王子殿下がお支えくださるのだとは思うけど、大変だと思うわ。

 マクラーレン王国の国王陛下も王妃様もお優しい方だから、厳しくも優しく手を差し伸べてくださると思うけど。

 頑張って欲しいわ。
 
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