上 下
165 / 215

ラディシュ侯爵家のその後

しおりを挟む
 今日はリディア様とリディア様のご子息であるディスト様が王宮に訪れている。

 ロロナ様の二歳年下のディスト様は、とても厳しく育てられたおかげか、祖父母や父親、そして姉の愚行をとても軽蔑されていた。

 私と初めて会った時も、深々と謝罪されたわ。

 ディスト様に非はない。
むしろ被害者よね。一生懸命勉強してラディシュ侯爵家を継ぐべく頑張っていたのに、姉たちの愚行のせいで継ぐ家がなくなってしまったんだもの。

 ラディシュ侯爵家は、結局親族の誰も継がないことが決まり、お取り潰しになった。

 皇妃様の妹様であるリディア様は、離縁、弟様のディスト様もリディア様の連れ子として実家の公爵家に籍を移していたということで、無罪となった。

 もちろん、お二人を無罪とするために皇帝陛下が計らった結果よ。

 リディア様実家の公爵家が持っていた子爵位を貰って、リディア様は女子爵、ディスト様は次期子爵となった。

 ちなみにロロナ様は、娼館勤めとなったそうだ。

 犯罪者たちが働く採石場にある娼館。

 そこは脱走が出来ない仕組みになっていて、休みだからといって、採石場外に出ることは叶わないし、賃金も与えられない。

 働いた対価は寝床であり食事なのだそう。

 仕方ないわ。
私にしようとしたことだもの。

 元ラディシュ侯爵は、労働施設というところへ行かされたそうだ。

 犯罪者施設と違い、ある程度の自由はあるそうだけど、爵位は剥奪されて平民となったので、会うことはないだろうとハデス様はおっしゃっていた。

 当然、しばらくは監視も付くそうだし。

 ロロナ様の祖父母は、ロロナ様が送られた採石場に送られたそうだ。

 孫が娼館勤めになるのを、どんな思いで見るのだろう。

 だけど、彼らがロロナ様に手を貸したりしなければ、いえキチンと止めていたらそんなことにはならなかった。

 皇帝陛下が警戒してくださっていたから私はたまたま無事だったけれど、もしそうでなかったとしたらと思うとゾッとするわ。

 マクラーレン王国の国王陛下たちは、元王太子殿下の件で私に負い目がある。

 せっかくの末弟殿下の婚約が、白紙になってしまうところだった。

 それに、我がリビエラ伯爵家も、それからローゼン王国の王家も・・・

 決してラディシュ侯爵家を許さないでしょう。

 だから未遂に終わったからといって、何もなかったとは出来ないわ。

 ハデス様は、私が気にするかもとロロナ様の件は内緒にしていたけれど、皇妃様やリディア様からお伺いした。

 私はこれから、エレメンタル帝国の伯爵家の夫人になるのだもの。

 守られてばかりではいけないわ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

[完結]「私が婚約者だったはずなのに」愛する人が別の人と婚約するとしたら〜恋する二人を切り裂く政略結婚の行方は〜

日向はび
恋愛
王子グレンの婚約者候補であったはずのルーラ。互いに想いあう二人だったが、政略結婚によりグレンは隣国の王女と結婚することになる。そしてルーラもまた別の人と婚約することに……。「将来僕のお嫁さんになって」そんな約束を記憶の奥にしまいこんで、二人は国のために自らの心を犠牲にしようとしていた。ある日、隣国の王女に関する重大な秘密を知ってしまったルーラは、一人真実を解明するために動き出す。「国のためと言いながら、本当はグレン様を取られたくなだけなのかもしれないの」「国のためと言いながら、彼女を俺のものにしたくて抗っているみたいだ」 二人は再び手を取り合うことができるのか……。 全23話で完結(すでに完結済みで投稿しています)

(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!

青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。 すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。 「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」 「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」 なぜ、お姉様の名前がでてくるの? なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。 ※タグの追加や変更あるかもしれません。 ※因果応報的ざまぁのはず。 ※作者独自の世界のゆるふわ設定。 ※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。 ※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ
恋愛
 いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。 「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」 「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」  ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。  ──対して。  傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

処理中です...