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愚かな行為の先〜ハデス視点〜

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「という風にジュエルには話しているが、結局はどうするのか聞いても?」

 ジュエルが眠った後に、皇帝陛下の元を訪れた。

 俺が来ることを理解っていたのか、陛下の護衛はすんなりと執務室へ通してくれた。

 肘をついた両手の上に顎を乗せた陛下が、顎でソファーを示す。

 何だか疲れ果てているな。

 面倒事を持って来られないうちに、早めに退散した方が良さそうだ。

「ロロナに媚薬を飲ませ、ジュエル嬢を襲う予定だった男たちを向かわせた」

「それは・・・まぁ、自業自得か」

「死ぬ前に自分がやろうとしたことはどんなことなのか、理解らせてやろうと思ってな。その様子を前侯爵夫妻には見せる」

 媚薬で持て余した体を、男たちに襲われる。
 媚薬が効いているからといって意識ははっきりしているから、泣き喚くだろうな。

 孫のその姿を見て、前侯爵夫妻は何を思うのだろうか。

 だが俺は、可哀想だとは思わない。
それをにしようとしていたのだから。

 自分のしたことの報いを受けるのは当然だからだ。

「弟はどうなる?」

「ラディシュ侯爵家、降爵するから子爵だが、それを継ぐ気はないそうだ。侯爵家を継ぐために幼い頃から厳しい教育を施され、自由気ままに甘やかされた姉のせいで、それが全て泡と消えたんだ。無理もない。ラディシュ子爵家は親戚に任せたいそうだ」

「まぁ、名は親戚の名に変えた方がいいだろうな」

「継ぎたい者がいなければ、領地は近くの他の貴族家に割り振ろうと思う。それで、ラディシュ子息だが、リディアと暮らすそうだ」

 ああ。皇妃様と妹様は公爵家の出だからな。
 だが、兄君が公爵家を継いでいるはずだが。

「公爵家に入るのか?」

「いや、一時的に身を寄せるだけだ。どうするかはリディアたちに任せてある。伯爵家か子爵家あたりを継ぎたいなら、手頃なのを準備すれば良いしな」

「そうか。で、侯爵は?」

「労働施設行きだ」

 まぁ、妥当だな。

 犯罪を犯した侯爵令嬢は当然だが、令嬢に媚薬を渡した前侯爵夫妻の罪も重い。

 労働施設行きということは、侯爵は直接的な罪は犯していないということだ。

 ただ、見ていただけだという言い訳は効かない。

 両親と娘の暴走をが侯爵にはあったのだから。

「そう、か。まぁ妥当だな」

 とりあえず聞きたいことは聞けた。
処刑と侯爵の労働施設行き、あとはラディシュ侯爵の嫡男の今後についてはジュエルに話しても大丈夫だろう。

 俺が立ちあがろうとすると、陛下に目で止められた。

「ジュエル嬢と結婚するのだろう?今回の件で爵位をやれる。どうする?」

「・・・ジュエルと相談させて欲しい」

 俺は平民のままの方が気楽だが、ジュエルは伯爵令嬢だ。

 だけど、ジュエルのためだと勝手に受けたら、怒られそうだ。
 
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