上 下
161 / 215

勘違いも甚だしい

しおりを挟む
 私が不貞をしているのを目撃する役目の三人の令嬢、媚薬が効いているハデス様の元へはしたない姿で現れたロロナ様は捕らえられ、皇城の貴族牢に放り込まれた。

 当然のことながら、ロロナ様の祖父母の家にも王宮騎士が向かい、彼らとラディシュ侯爵も捕らえられた。

 何が起きたのか分からず、ロロナ様やラディシュ侯爵とその両親は喚き散らしているらしい。

 ちなみに目撃者役の三人は、マズいことになったのは理解しているようで、自分たちはロロナ様に脅されて仕方なくだの、そう言うように言われただけでロロナ様が何をしようとしていたのかは知らなかったとか、言い訳ばかりしていた。

 すぐに断罪するのかと思ったのだけど、皇城に戻るとゆっくり休むように言われた。

「すぐに問い詰めるのかと思いましたわ」

「一週間ほど、放置しておくらしい。その間に、ラディシュ侯爵家の当主交代や諸々の手続きをするそうだ。まぁ他にも陛下は考えているらしいが、俺たちが知る必要はないそうだ」

「そう、ですか。帝国には帝国のやり方がありますものね。少し、疲れました」

「お茶でもと思ったが、部屋で休むか?」

 そうだわ。
城に戻ったら口直しに、美味しい紅茶を飲みたいって思っていたのよ。

「美味しい紅茶が飲みたいですわ」

「ああ。あの薬・・・効果は素晴らしいがあの味だけはいただけないな」

「・・・人が口にしてはいけないような味ですが、確かに効能はすごいですね」

 二度と飲みたくないわ。
でも万が一のために、味はもう少し改良するべきだと思う。

「俺の部屋でいいか?」

「ええ」

 ハデス様のお部屋で、あの侍女に紅茶を淹れてもらう。

「ありがとう。そばにいてくれたから怖くなかったわ」

「いいえ、お役に立てて良かったです」

 皇帝陛下直属の騎士や侍女の方々は、護衛としてトップクラスの能力のある方ばかりだ。

「しかし、ラディシュ侯爵のご両親は愚かなことをなさいましたわね」

「ああ。甘やかした結果が、孫を死なせることになった。何をしても許されるとでも思ったのか、それともただの阿呆なのかは知らないが。自分たちの行いのせいてラディシュ侯爵家は理解すればいいが」

「降爵ですか」

「ああ。おそらく、二階級降爵で子爵になるだろう。ただ、それも誰か親戚が継げばだ。継ぐ人間がいなければ取り潰しとなる」

 親戚の方も、訳ありの爵位を望んで継ごうとしないかもしれないわね。

 領民のことは、王家が手を尽くすでしょうし。

 しかし、皇妃様の妹様が嫁だからって、自分たちが偉くなったような気にでもなったのかしらね。

 そんなの、なんの免罪符にもならないのに。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生悪役令嬢の考察。

saito
恋愛
転生悪役令嬢とは何なのかを考える転生悪役令嬢。 ご感想頂けるととても励みになります。

隣の芝は青く見える、というけれど

瀬織董李
恋愛
よくある婚約破棄物。 王立学園の卒業パーティーで、突然婚約破棄を宣言されたカルラ。 婚約者の腕にぶらさがっているのは異母妹のルーチェだった。 意気揚々と破棄を告げる婚約者だったが、彼は気付いていなかった。この騒ぎが仕組まれていたことに…… 途中から視点が変わります。 モノローグ多め。スカッと……できるかなぁ?(汗) 9/17 HOTランキング5位に入りました。目を疑いましたw ありがとうございます(ぺこり) 9/23完結です。ありがとうございました

【完結】母になります。

たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。 この子、わたしの子供なの? 旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら? ふふっ、でも、可愛いわよね? わたしとお友達にならない? 事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。 ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ! だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~

遠雷
恋愛
「フローラ、すまない……。エミリーは戦地でずっと俺を支えてくれたんだ。俺はそんな彼女を愛してしまった......」 戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。 周囲の者達も一様に、エリオットと共に数多の死地を抜け聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを称え、安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラを庇う者はごく僅かだった。 「……わかりました、旦那様」 反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。 その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。

美春と亜樹

巴月のん
恋愛
付き合っていた二人の攻防による復縁話 美春は先輩である亜樹と付き合っていたが、度重なる浮気に限界を感じて別れた。 しかし、別れてから積極的になった彼に対して複雑な思いを抱く。 なろうにも出していた話を少し修正したものです。

婚約破棄!? ならわかっているよね?

Giovenassi
恋愛
突然の理不尽な婚約破棄などゆるされるわけがないっ!

処理中です...