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両親の思い

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「あらあらあらあら」

 お姉様と約束した通り、お父様とお母様にエレメンタル帝国に行く許可を取ることにした。

 ちょうどお二人ともいらっしゃったから、こういう理由でエレメンタル帝国に行きたいのだとお話した。

 そしたら、お父様は苦虫を噛み潰したようなお顔をされ、お母様はとても楽しそうにニコニコとされた。

 なんて対照的なのかしら。

「お願いします。家族の許可がちゃんと取れたら、ウェルズ様が渡航なさる時に同行させてくださるそうなんです」

 マクラーレン王国と違って、エレメンタル帝国には知り合いがいない。

 それに、お姉様は結婚したばかりだから私のお守りについて来るわけにはいかない。

 今までずっと、家族に守られてばかりだったから、独り立ちしたいといっても無謀な真似はできない。

 それに・・・
このままウェルズ様と会えなくなるなんて、どうしても嫌だった。

 会ったばかりの人なのに・・・

 だけど我儘だと、お父様たちやウェルズ様にご迷惑だとわかっていても、もう少しそばにいたくて。

「はぁ。王家に嫁にやらんで済むと思ったら、今度はエレメンタル帝国か」

「マクラーレン王国よりいいじゃない。可愛いジュエルをさせられるのは我慢ならないもの。それに、初めてよ。ジュエルが誰かに執着するのは。殿下の時はあちらからの申し込みにジュエルが応じた形だったけど」

 確かにシリウス殿下から婚約を申し込まれたけど、私の髪色や瞳を褒めて下さったシリウス殿下のことは本当に好きだった。

 嬉しかったの。
だから頑張ったのに、やっぱり身分には勝てなかったんだって思って、もう頑張る気持ちがなくなったの。

 ウェルズ様に執着していると言われたけど、この気持ちがシリウス殿下に感じたものと同じかどうかは分からない。

 好意というだけなら、ルイス様にだって感じた。

 もし王太子殿下が関わって来なかったら、好きになったかもしれない。

 王太子殿下はともかく、ルージュ様やルイス様とはお友達でいたかったけど、あちらの国王陛下や公爵閣下に言われたから、謝罪を受け入れることも出来なかった。

 皆さん、お元気かしら?
ルイス様は婚約者が決まったかしら?

 そう思っても胸が痛まないということは、私の中でルイス様は特別な好きじゃなかったんだと思う。

「お父様・・・」

「仕方ない。フレグランスの言ったように、ちゃんと手紙はよこしなさい。あと、ウェルズ卿とちゃんとご挨拶をしておきたい。あちらのご希望の場所に出向くから、ご都合をお伺いしなさい」

「あ、ありがとうございます、お父様、お母様!」

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