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お祝いにならない?

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「これでどうかな?」

 お姉様の結婚式の直前に、プレゼントの宝石が仕上がって来た。

 ルーク様には金色のシトリンのカフス。お姉様には、エメラルドのネックレス。

 お父様にはルビーのタイピン。お母様にはグレーのダイヤモンドのネックレス。

 どれも大粒ではないけれど、綺麗なカッティングで、輝いている。

「素敵・・・」

「良かった、気に入ってもらえて。トライデント卿もリビエラ嬢も喜ぶね」

「慰謝料でお祝いって最初は迷ったんです。それを見るたびに嫌な気持ちにならないかなって。旅行に行ってもらった方がいいかな、とか悩んで。でも、ウェルズ様にエレメンタル帝国産の宝石を見せていただいて、こんな機会でもなければ手に入れることは難しいかなって考え直して。それに、両親もお姉様たちも気にされる方々ではありませんし」

 娘(妹)の婚約解消の慰謝料で買った品ということは、お祝いには相応しくないと思う。

 でも、エレメンタル帝国産の宝石は高額で、とてもじゃないけど慰謝料でなければ買える金額じゃなかった。

 旅行も考えたけど・・・よくよく考えたら、お父様たちもお姉様たちも「これ、慰謝料だったのよね」なんて気にする方じゃなかったわ。

 普通に、私からの気持ちとして受け取って、大切にしてくれる方々だもの。

 それなら、せっかくウェルズ様とお知り合いになれたんだから、この機会にお願いして手に入れたかったのよね。

 こういうタイミングだったのも、縁だと思うし。
 
「ははっ。確かに、リビエラ嬢は金の出所なんか気にしそうにないな。彼女にとって大切なのは、君からの贈り物ということだけだからな」

 ウェルズ様はそう言って笑われたけど、確かにその通りなのよね。

 ただ、私のために使えば良かったのにとはおっしゃると思うけど。

 ああ。今回、殿下が私に手をあげようとしたことでも、謝罪されるでしょうね。

 そしたら、気晴らしにエレメンタル帝国に旅行にでも行こうかしら?

「ウェルズ様。改めて、ありがとうございました。私、両親にも姉にも本当に感謝しているんです。家族がいたから、婚約解消も乗り越えられましたし、マクラーレン王国での出来事にも心が折れることはありませんでした。私が笑って過ごせるのは家族のおかげなんです。だから、どうしても喜んでもらえる贈り物をしたくて。ウェルズ様にエレメンタル帝国産の宝石を見せていただいた時に、これを贈りたいって思ったんです。だから、本当にありがとうございました」
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