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前向きに
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結局、王太子殿下にもルイス様にもルージュ様にも会えないまま、ローゼン王国に帰国することになった。
それは国王陛下や公爵閣下たちの意向だった。
会えば必ず三人とも謝罪を口にするだろう。
だけど、その謝罪を受け入れてはならないと国王陛下から言われた。
彼らには、心から反省させなければならない。彼らはそういう立場にあるのだから、と。
国王陛下にそうおっしゃられたら、私には反論出来なかった。
マクラーレン王国にはマクラーレン王国のやり方がある。
「お父様たちもジュエルに会えるのを楽しみにしているわよ、きっと」
「そうですね。私もみんなと会えるのは楽しみです」
帰って落ち着いたら、婚約者も探さないといけないわ。
シリウス殿下のことは、気にしないことにした。
みんなはシリウス殿下は、私に執着しているって言うけれど、婚約していたのに他の方と懇意になられたのはシリウス殿下だもの。
私への想いは、結局その程度だったのよ。
それに、もしまだ私に執着していたとしても、男性機能を失ったシリウス殿下が私を実質的に妻にすることは出来ない。
ローゼン王国では、不貞はもちろん愛妾すら認められていない。
婚約者以外にそういう行為をされれば、その男と結婚するか、もしくは修道院に行くしかない。
そしてローゼン王国の修道院は、一度入ると出れないと言われている。
だからこそ、お父様たちは私にマクラーレン王国に行くことを勧めた。
シリウス殿下と婚約解消するために、私が修道院に入ろうと考えていたから。
結果として、国王陛下がシリウス殿下の婿入りを決められて、その上シリウス殿下の男性としての機能も剥奪した。
だから、ローゼン王国に帰っても大丈夫だと思う。
問題があるようなら、お父様たちが戻って来るなとおっしゃるだろうし。
ルージュ様とご挨拶もできずに、帰国することになったのは残念だけど、やむ得ないわね。
ルイス様のことは別に嫌いじゃないけど、ずっとあの王太子殿下にいい様に使われるのは嫌だわ。
それに、それと引き換えにしても!と思うほど、ルイス様に恋愛感情を抱いていないもの。
王太子殿下の横槍がなければ、時間をかければ好きになったかもしれないけど、仮定の話をしても仕方ないものね。
ローゼン王国に帰って落ち着いたら、社交をしなくちゃ。
お姉様の結婚式に、婚約者のいらっしゃらない方がおいでになるかしら?
短い間だったけど、マクラーレン王国に行って良かったわ。
公爵閣下のお言葉で、私前向きになれたもの。
それは国王陛下や公爵閣下たちの意向だった。
会えば必ず三人とも謝罪を口にするだろう。
だけど、その謝罪を受け入れてはならないと国王陛下から言われた。
彼らには、心から反省させなければならない。彼らはそういう立場にあるのだから、と。
国王陛下にそうおっしゃられたら、私には反論出来なかった。
マクラーレン王国にはマクラーレン王国のやり方がある。
「お父様たちもジュエルに会えるのを楽しみにしているわよ、きっと」
「そうですね。私もみんなと会えるのは楽しみです」
帰って落ち着いたら、婚約者も探さないといけないわ。
シリウス殿下のことは、気にしないことにした。
みんなはシリウス殿下は、私に執着しているって言うけれど、婚約していたのに他の方と懇意になられたのはシリウス殿下だもの。
私への想いは、結局その程度だったのよ。
それに、もしまだ私に執着していたとしても、男性機能を失ったシリウス殿下が私を実質的に妻にすることは出来ない。
ローゼン王国では、不貞はもちろん愛妾すら認められていない。
婚約者以外にそういう行為をされれば、その男と結婚するか、もしくは修道院に行くしかない。
そしてローゼン王国の修道院は、一度入ると出れないと言われている。
だからこそ、お父様たちは私にマクラーレン王国に行くことを勧めた。
シリウス殿下と婚約解消するために、私が修道院に入ろうと考えていたから。
結果として、国王陛下がシリウス殿下の婿入りを決められて、その上シリウス殿下の男性としての機能も剥奪した。
だから、ローゼン王国に帰っても大丈夫だと思う。
問題があるようなら、お父様たちが戻って来るなとおっしゃるだろうし。
ルージュ様とご挨拶もできずに、帰国することになったのは残念だけど、やむ得ないわね。
ルイス様のことは別に嫌いじゃないけど、ずっとあの王太子殿下にいい様に使われるのは嫌だわ。
それに、それと引き換えにしても!と思うほど、ルイス様に恋愛感情を抱いていないもの。
王太子殿下の横槍がなければ、時間をかければ好きになったかもしれないけど、仮定の話をしても仕方ないものね。
ローゼン王国に帰って落ち着いたら、社交をしなくちゃ。
お姉様の結婚式に、婚約者のいらっしゃらない方がおいでになるかしら?
短い間だったけど、マクラーレン王国に行って良かったわ。
公爵閣下のお言葉で、私前向きになれたもの。
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