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コンフォート公爵家①

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「まぁ・・・」

 お父様からのお手紙には、元婚約者であるシリウス殿下が、その・・・男性としての機能を失われたと書かれていた。

 トライデント公爵様、ルーク様、ビリー様はどこか複雑そうな顔をされているけど、マーガレット様をはじめとする女性陣は当然というお顔だわ。

 エミリ・コンフォート公爵令嬢様とご結婚されるのに、お子を授かれないということよね?

 陛下はどうして、そんな罰になさったのかしら?

 私の疑問に答えてくれたのは、フレグランスお姉様だった。

「まずね、シリウス殿下がしたことはこのローゼン王国では許されないことなの。他国には、性に寛容な国もあるけどこの国は男女の触れ合いに関しても厳しいでしょう?王族だからと甘い罰を与えたら、反発を受けるわ」

「でも、ローゼン王国の王家のお子様はシリウス殿下だけですよね?」

「陛下に弟様がいらっしゃって、確かご令嬢がいるわ。その方を王太女にするのだと思うわ」

「え?では、シリウス殿下は・・・」

「コンフォート公爵家に婿入りね。この話が出たときに、コンフォート公爵は娘を王太子妃にしてくれればいい話ではないかとゴネたそうよ。それに、王妃様がシリウス殿下の廃籍を拒まれて。そこまで言うのならと、エミリ・コンフォート様に王太子妃教育をやらせてみたのですって」

 そうよね。
公爵令嬢なら、王妃様の望む後ろ盾としての身分は問題ないもの。

 でも、私が五年も受けた王太子妃教育を?

「三日で根を上げたわ。。淑女教育もギリギリというか、平民に毛が生えた程度。学園での成績も下から数えた方が早い。その上、本人がなんだかんだ言い訳ばかりで、やる気を感じられないという理由でね」

 王太子妃教育の先生方は、高位貴族の夫人。
 確かに厳しいけど、根気強く教えてくださる方々なのに・・・

「陛下がそれをコンフォート公爵に突きつけて、公爵家への婿入りを認めさせたの。でね、最初は子種を殺す薬を使う予定だったのよ。罰として、王家の血をコンフォート公爵家には入れないという形ね。あそこは、公爵が夫人との婚約前に使用人と関係を持っていたんだけど、上手く隠していたのよね。夫人がそのことを知ったのが結婚後で、離婚はしない代わりに、それ以来家庭内別居状態だそうよ。だから、後継もいないの。本来なら、引き取った庶子に婿を取って後継を作るしかなかったんだけどね」

 コンフォート公爵家には、引き取ったエミリ様以外に子供はいらっしゃらない。

 子供を授かれないシリウス殿下との婚姻が決定なら、公爵家はどうなるのかしら?
 
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