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最終話③
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「セレス。疲れただろう?ほら、君の好きなチョコレートを持って来たよ」
ユリウス様が持って来てくれたのは、細かく砕いたナッツの入ったチョコレートだった。
この世界ではチョコレートは高級品で、いつでも食べれるわけではなかったけど、私の唯一の贅沢だった。
セレスの。
口の中でゆっくり溶かしながら、ユリウス様の顔を見上げる。
セレスティーナになってからも、チョコレートを食べたことはある。
お母様が、王宮からお土産に持って帰って来てくれたりしていた。
でもそこにナッツ入りはなかったから、お父様やお母様も私がそれを好きだとは知らない。
なのに、ユリウス様は「私の好きなチョコレート」だと言ってナッツ入りのチョコレートを持って来てくれた。
これは、単なる偶然?
それとも・・・
「ユリウス様は、甘いココアがお好きでしたよね」
リウスは、甘いココアが大好きだった。
いつもカフェでは私がココアを頼んで、リウスの頼んだ紅茶と交換してた。
私チョコレートは好きなんだけど、ココアはどうも苦手だったのよ。
「セレス。やっぱり、セレスなんだね?」
「・・・リウス、な、の?」
ずっと思ってた。
私がセレスティーナとして目覚めた時から。
舌を噛んで死んだ私がセレスティーナの中に目覚めたのなら、父様も母様も、そしてリウスもどこかで生まれ変わっていて欲しいって。
お父様とお母様のことは大好き。
セレスティーナはとても可愛い。だから、セレスティーナになれたことは嬉しい。
ユリウス様のことも、最初からどこか惹かれてた。
でも心のどこかで、セレスがリウス以外を好きになることに躊躇いがあった。
だってリウスは、私のせいで死んだようなものだから。
もちろん、殺したエルムンド殿下が悪いんだけど、私と婚約していなかったらリウスが殺されることはなかった。
大好きで、大切な大切な人だったのに。
「セレス、泣かないで?あの時約束した通り、ずっと一緒にいよう。年をとって君がおばあちゃんになっても、ずっと好きだよ」
「ユリウス様・・・リウス」
「あの時、君を守りきれずに僕は命を落とした。ずっと一緒にいると約束していたのに、その約束を守れなかった。だから、ユリウスとして生まれて、リウスとして生きた記憶を思い出した時から、僕はずっと君を探してた。今度こそ守り切るために。セレス、愛してる」
リウス。
私の大好きな人。
私はユリウス様に抱きついた。
リウスとは違う。髪も目も、顔も体つきも、全部違うのに、私を抱きしめてくれる腕は、あの頃のまま優しくて。
「ユリウス様、リウス。もう離れたりしないで」
「ああ。約束だ」
冷酷な皇帝陛下と呼ばれる私の最愛の人は、今日も私を甘やかす。
ずっと願っていた日々は、思っていたよりとても甘くて、私は愛する人の膝の上で今日も笑顔で過ごしている。
***fin***
ユリウス様が持って来てくれたのは、細かく砕いたナッツの入ったチョコレートだった。
この世界ではチョコレートは高級品で、いつでも食べれるわけではなかったけど、私の唯一の贅沢だった。
セレスの。
口の中でゆっくり溶かしながら、ユリウス様の顔を見上げる。
セレスティーナになってからも、チョコレートを食べたことはある。
お母様が、王宮からお土産に持って帰って来てくれたりしていた。
でもそこにナッツ入りはなかったから、お父様やお母様も私がそれを好きだとは知らない。
なのに、ユリウス様は「私の好きなチョコレート」だと言ってナッツ入りのチョコレートを持って来てくれた。
これは、単なる偶然?
それとも・・・
「ユリウス様は、甘いココアがお好きでしたよね」
リウスは、甘いココアが大好きだった。
いつもカフェでは私がココアを頼んで、リウスの頼んだ紅茶と交換してた。
私チョコレートは好きなんだけど、ココアはどうも苦手だったのよ。
「セレス。やっぱり、セレスなんだね?」
「・・・リウス、な、の?」
ずっと思ってた。
私がセレスティーナとして目覚めた時から。
舌を噛んで死んだ私がセレスティーナの中に目覚めたのなら、父様も母様も、そしてリウスもどこかで生まれ変わっていて欲しいって。
お父様とお母様のことは大好き。
セレスティーナはとても可愛い。だから、セレスティーナになれたことは嬉しい。
ユリウス様のことも、最初からどこか惹かれてた。
でも心のどこかで、セレスがリウス以外を好きになることに躊躇いがあった。
だってリウスは、私のせいで死んだようなものだから。
もちろん、殺したエルムンド殿下が悪いんだけど、私と婚約していなかったらリウスが殺されることはなかった。
大好きで、大切な大切な人だったのに。
「セレス、泣かないで?あの時約束した通り、ずっと一緒にいよう。年をとって君がおばあちゃんになっても、ずっと好きだよ」
「ユリウス様・・・リウス」
「あの時、君を守りきれずに僕は命を落とした。ずっと一緒にいると約束していたのに、その約束を守れなかった。だから、ユリウスとして生まれて、リウスとして生きた記憶を思い出した時から、僕はずっと君を探してた。今度こそ守り切るために。セレス、愛してる」
リウス。
私の大好きな人。
私はユリウス様に抱きついた。
リウスとは違う。髪も目も、顔も体つきも、全部違うのに、私を抱きしめてくれる腕は、あの頃のまま優しくて。
「ユリウス様、リウス。もう離れたりしないで」
「ああ。約束だ」
冷酷な皇帝陛下と呼ばれる私の最愛の人は、今日も私を甘やかす。
ずっと願っていた日々は、思っていたよりとても甘くて、私は愛する人の膝の上で今日も笑顔で過ごしている。
***fin***
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完結おめでとう㊗御座います!!
今度こそは二人共幸せになって欲しい!❀(*´▽`*)❀
二人して孫や曾孫に囲まれて穏やかに過ごして欲しいなぁ。(*´꒳`人)
最後までお付き合い頂きありがとうございます😊
そうですね。今度こそは幸せになれると思います。
公の場にいることが許されてる以上、己の言動に責任取るのは当たり前なのが特権階級の義務だろうに···取れないならそも公の場に出さなければいい。同調した貴族も危機感無さすぎるからそいつらは篩に落とされるだろうなぁ···
ところで国王に似てるとはいえとんでもない血を引いてるんだが弟の方の人格大丈夫かな?
そうですねぇ。まぁ、本当にあの愚かな血をばっちり引き継いでいるなら、お父様がちゃんと粛正するでしょう。
多分、育ちなんですよね。愚かな行為をしてもキチンと躾けられるかどうかという。
転生してるかわからないけどキモい。
ε-(´^`*)
人語を解さないし、最低限のルールも守れない。罰を与えられてもきっと理解せずに恨むんだろうなぁ。(;´Д`)
とりあえず言うと、転生ではなく普通に頭がおかしいだけです。エルムンドもおかしかったから、血ですかね。