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セレスティーナ10歳(13)

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 結論から言うと、セントフォーリア王国はなくなった。

 セントフォーリアという国名が地図から消えたの。

 国王陛下、王妃殿下、そしてエルム殿下は毒杯を賜った。

 エルム殿下の愚行を諌めるどころか、腕を斬り飛ばしたことに文句を言ったんだもの、仕方ないわよね。

 国王陛下は、王妃殿下やエルム殿下をちゃんと叱るべきだった。

 私に「妃に」なんて馬鹿なことを言った時点で。

 せめて、腕を斬られた後ででも、ユリウス様に謝罪するべきだったのよ。

 なのに「子供の言ったことなのに」とか「他国のこの場に剣を持ち込むなんて」とか言う王妃殿下を御することが出来なかった。

 貴族の中でも「十歳の子供の言ったことなのに」という人もいた。

 そうね。
言っただけなら、腕を斬られることもなかったと思うわ。

 問題は、私に手を伸ばしたこと。
私はユリウス様に抱きしめられていたの。

 その私に手を伸ばしたことで、ユリウス様に危害を加えようとしたと判断されたのよ。

 剣も何も武器を持ってなかった?

 たとえポカリと殴っただけだとしても、それは国際問題になるってこと、わかっていないの?

 もし本当に手を出していたなら、首と胴が離れていたでしょうね。

 国王陛下は、妻と息子の愚行の責任を取られた。

 王妃殿下とエルム殿下は嫌いだけど、国王陛下はきっと良い方だったのだと思う。

 国はなくなったけど、そこに住む人がいなくなるわけじゃない。

 セントフォーリア王国は、隣国のラタニア王国に吸収される形となった。

 ハイドランジア帝国の友好国であるラタニア王国。

 王族のいなくなったセントフォーリアの国民は、ラタニア王国の統治下になる。

 貴族は一応、そのままの爵位と領地を持ったままとなった。

 今後、ラタニア王家が篩にかけることになる、らしい。

 それはそうよね。
領土が増えた分、統治する人間は必要だから領地を取り上げたりはしないけど、公爵や侯爵がセントフォーリア流のやり方を主張したら、ラタニア王国の元々の貴族と揉めるもの。

 ちなみにお父様は爵位を返上した。
領地はラタニア王家の王領になる。

 自分が見れないなら、王家の管轄下の方が領民が苦しむことがないという、お父様の判断は正しいと思う。

 お父様とお母様は、私と一緒にハイドランジア帝国へ移住して下さることになった。

 ユリウス様が、帝国の侯爵位を与えて下さったから。

 私は帝国で、これから侯爵令嬢として暮らすことになる。

 お父様とお母様、それからと。

 毒杯を賜わらなかった唯一の王族、ジョエル様はアマランス侯爵家の養子となったの。

 王家の証の緑色の髪と瞳を持っていたエルム殿下と違い、国王陛下譲りの金色の髪と青い瞳のジョエル様。

 責任を取られることを決断された国王陛下を思い、お父様が養子に取ると陛下に告げた。

 陛下は安心して、礼を言って毒杯を賜ったそうよ。

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