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セレスティーナ9歳①

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 セレスティーナになって二年。
貧乏男爵令嬢であった私も、公爵令嬢としての生活に慣れた。

 何しろ、両親はもちろん公爵家の使用人全員がセレスティーナを溺愛しているのだもの。

 彼らの期待を裏切れないじゃない。

 王宮の図書室に行くのは、一旦お断りした。

 自分の直感を信じるわけじゃないけど、やっぱり王族に会いたくないって気持ちが強くて、めまいを起こして倒れてしまったのだ。

 当然のことながら、お母様が大変心配して、でもって使用人たちも口を揃えて、王宮には行かない方が良いと思われます!と言ったのだ。

 わざわざ頼んでくれたお父様には申し訳なかったけど、めまいを起こすほど嫌だと思うのがとても怖かった。

 お父様もお母様も気にしなくて良いと言ってくれて、王妃様にもお断りしてくださった。

 王家には王子殿下が二人いらっしゃるそうで、お父様は「きっと可愛いセレと婚約させたいんじゃないかな」と言っていた。

 それを聞いて、背筋が冷たくなった。

 何故だか分からないけど、私は王子様が嫌いらしい。

 セレスティーナは王子様と会ったことないみたいなのに、どうして?

 セレスとしてだって王子様なんて会う機会もない・・・

 そこまで考えて、頭がズキン!と痛む。

 王族と会う機会なんて・・・

「セレス。愛らしいその目も頬も唇も、全て私のものだ。誰にも渡さない」

 頭の中に聞こえて来た声に、体が震える。

 緑色の髪と瞳。
整った美貌が見下ろしている。

「だ・・・れ、なの?いや・・・」

 眠るとそんな夢を見て、私は眠ることが怖くて眠れなくなった。

 心配したお母様が、夜一緒に眠ってくれた。

 それでも夜中に夢を見て目を覚ますことが多くて。

 夢の中のことだから、はっきりと覚えているわけじゃない。

 でも緑色の髪と瞳は、現王家の色と同じ。

 高位貴族は髪色と瞳の色が、その家によって明確に違っていて。

 セレスやリウスは下位貴族だったから、リウスは焦茶だったし、セレスも珍しいピンク色だった。

 でも、セレスティーナは紫色で、それはお母様が紫色の髪と瞳で、お父様が紫色の瞳をされているから。

 アマランス公爵家は、代々紫色の瞳を継いでいるらしい。

 同じように、セントフォーリア王国王族は緑色の瞳を継いでいるそうだ。

 文献で読んだだけで、実際王族と会った記憶はないし、同じように緑の瞳を持つ高位貴族も過去にはいたとあった。

 ただ、王族の血が入っている貴族だったから、緑色の瞳は王族の血の証なのかもしれない。

 なら、あの私を見下ろしていた瞳。
あれは、誰なの?

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