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過去③

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 自分の身の丈にあった友人を作り、学業に精を出して卒業後に文官として勤められるように、そう思って学園に入学した。

 またセレスもリウスが文官として勤め出した時に、コパー子爵夫人として領地経営と子爵家の管理が出来るようにと、学業に精を出すと笑っていた。

 学園に入って一年目は何事もなく、二人の望み通りに良い友人もでき、平穏な日々が流れていた。

 それが一変したのは、二年に上がってすぐのこと。

 学業優秀なリウスが、生徒会執行部に抜擢されたのだ。

 生徒会執行部とは、学園生徒が学園での行事を取り仕切る会で、基本的に高位貴族が運営していた。

 それはそうだ。
いくら優秀でも下位貴族が高位貴族に意見することは、このセントフォーリア王国王立学園では不可能だからだ。

 だが、稀に成績優秀者で、文官を目指している下位貴族が書記として抜擢されることがあった。

 それにリウスが抜擢されたのだ。

 王立学園の生徒会執行部に入るということは、卒業後の地位は安定していると言ってもいい。

 王宮文官の中でも、重要なポストに就けるということだ。

 当然のことながら、リウスの両親であるコパー子爵夫妻も、セレスも、そしてリウス本人も喜んだ。

 騎士には向いていないため、出世は見込めないと思っていた。

 騎士ならば功績を上げれば上を目指せるが、文官にはそれがないからだ。

 別に身の丈に合わない高望みをするつもりはない。

 だが貧乏子爵だとしても、愛しいセレスに肩身の狭い思いをさせたくはなかった。

 それが生徒会執行部に抜擢され、文官としての地位も確約されれば、少しは楽をさせてやることが出来る。

 リウスはそう思った。

 執行部での仕事は、慣れないことでリウスも最初は苦労したが、高位貴族である他の執行部役員たちはリウスを馬鹿にしたり責めたりはしなかった。

 リウスが努力する人間で、素直で温厚な性格だったことも幸いしたのだろう。

 それに、リウスを推薦したのが生徒会会長である王太子の叔父、つまり王弟の学園長だったということもあり、リウスは執行部に受け入れられた。

 生徒会執行部は、会長が王太子殿下。副会長が、公爵家の嫡男と王太子殿下の婚約者の公爵令嬢。会計が侯爵令嬢。庶務が侯爵令息と辺境伯令息。

 そんな中に、唯一の下位貴族のリウスが書記として入った。

 最初はどうなることかと不安だったリウスだが、大きな問題もなくリウスは彼らに受け入れられた。

 さすが高位貴族。
驕ることなく、分け隔てないのだと感心したリウスだったが、それが間違いだったと気付くことになる。

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