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過去②
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リウス・コパーは子爵家の嫡男だ。
焦茶色の短い髪と瞳をした、優しげな風貌の少年である。
彼にはとても大切な幼馴染がいた。
コパー子爵領と隣り合わせの、カメリア男爵家のご令嬢セレスだ。
ふわふわしたピンク色の髪と、同色の瞳をした、とても可愛らしいセレスのことが、リウスはとても大好きだった。
幼い頃から共に過ごし、お互いの両親も、それから本人たちも、王立学園を卒業すればふたりは結婚するものだと思っていた。
学園に入る前に婚約することにしたのは、リウスの希望だ。
「セレスは超絶可愛いから、他の男が寄ってきたら困る」
その言いように、お互いの両親は苦笑し、セレスは顔を真っ赤にした。
確かにセレスは可愛いが、リウスの心配は惚れた欲目だと、セレス本人はもちろんお互いの両親も思った。
でもセレスもリウスのことが大好きだったから、その婚約を喜んで受けることにした。
セントフォーリア王国の学園は、身分によってクラス分けされる。
両親から聞いた話によると、過去に男爵令嬢が王族である王子をたらしこんだらしい。
王族に嫁げるのは、公爵家、侯爵家、辺境伯家まで。
婚姻できるのは、爵位が二つ下までと決まっていた。
セントフォーリア王国での辺境伯家は、公爵と侯爵の間という扱いだったから、王族に嫁ぐ権利があった。
しかし、男爵令嬢はあり得ない。
男爵家から嫁げるのは伯爵家まで。
それは身分差がどうこうではなく、下位貴族の交流と高位貴族の交流とでは差があるからだ。
身に纏うドレスひとつとっても値段が違う。
交流する相手も、他国の高位貴族や王族で、その国の言語やマナーを理解しておかなければならない。
個人の能力で、他国の言語を理解できる下位貴族の令嬢もいるだろう。
だがドレスや宝飾品を揃えるのもだが、元々の友人たちなどの関係にしても、爵位は二つ下までが妥当だとされたのだ。
それなのにその時の王子は、こともあろうに婚約者である公爵令嬢より、男爵令嬢を率先した。
国王陛下が愚かでなかったため、王子は王籍からすぐに廃籍。男爵家へ強制的に送られることになった。
二度と同じ過ちが起きないようにと、それ以降の王立学園ではクラス分けは爵位別とされた。
学園内では爵位は問わず、平等扱いという他国でよくあったしきたりも排除され、学園内であっても社交界と同じ振る舞いを、と決められた。
リウスはあまり武術は得意でなく、騎士職には就けなさそうだったが、幸いにも文官として勤めるには向いていた。
セレスも騎士として危ない目にあうよりも、給与が安くても文官の方がいいと言ってくれていた。
焦茶色の短い髪と瞳をした、優しげな風貌の少年である。
彼にはとても大切な幼馴染がいた。
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その言いように、お互いの両親は苦笑し、セレスは顔を真っ赤にした。
確かにセレスは可愛いが、リウスの心配は惚れた欲目だと、セレス本人はもちろんお互いの両親も思った。
でもセレスもリウスのことが大好きだったから、その婚約を喜んで受けることにした。
セントフォーリア王国の学園は、身分によってクラス分けされる。
両親から聞いた話によると、過去に男爵令嬢が王族である王子をたらしこんだらしい。
王族に嫁げるのは、公爵家、侯爵家、辺境伯家まで。
婚姻できるのは、爵位が二つ下までと決まっていた。
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しかし、男爵令嬢はあり得ない。
男爵家から嫁げるのは伯爵家まで。
それは身分差がどうこうではなく、下位貴族の交流と高位貴族の交流とでは差があるからだ。
身に纏うドレスひとつとっても値段が違う。
交流する相手も、他国の高位貴族や王族で、その国の言語やマナーを理解しておかなければならない。
個人の能力で、他国の言語を理解できる下位貴族の令嬢もいるだろう。
だがドレスや宝飾品を揃えるのもだが、元々の友人たちなどの関係にしても、爵位は二つ下までが妥当だとされたのだ。
それなのにその時の王子は、こともあろうに婚約者である公爵令嬢より、男爵令嬢を率先した。
国王陛下が愚かでなかったため、王子は王籍からすぐに廃籍。男爵家へ強制的に送られることになった。
二度と同じ過ちが起きないようにと、それ以降の王立学園ではクラス分けは爵位別とされた。
学園内では爵位は問わず、平等扱いという他国でよくあったしきたりも排除され、学園内であっても社交界と同じ振る舞いを、と決められた。
リウスはあまり武術は得意でなく、騎士職には就けなさそうだったが、幸いにも文官として勤めるには向いていた。
セレスも騎士として危ない目にあうよりも、給与が安くても文官の方がいいと言ってくれていた。
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