魔王様は転生王女を溺愛したい

みおな

文字の大きさ
上 下
34 / 45

転生王女の作戦結果

しおりを挟む
 結論から言うとー
ビビアン様はフレイ様と、友達以上恋人未満的な関係になった。

 フレイ様は婚約してもいいと言われたらしいけど、ビビアン様は政略結婚ではなく恋愛結婚をしたい、らしい。
 ビビアン様いわく、アルフレッド様のように、好きで仕方ないって思われたいそうだ。

 まぁ、なんにしろ幸せそうなのでよしとする。

 私は、諸々の疲れが出たのか、珍しく熱を出して昨日から部屋で静養中だ。
 だから、その報告をお見舞いに来てくれたビビアン様から、ベッドの中で聞いていた。

「よかったですわね、ビビアン様」

「ありがとうございます。ローズマリー様と魔王陛下のおかげですわ」

 ああ、本当に幸せそうで、よかった。アルフレッド様のように、溺愛するフレイ様というのは想像できないけど、別に目に見える溺愛でなくても、好きになってくれればいいんだものね。

 コンコン!

 小さなノックの後、ドアが開いてアルフレッド様が顔を見せる。
 夜着姿の私は、小さく悲鳴を上げてしまった。

「あ、アルフレッド様っ!淑女の寝室に入るなど、マナー違反ではありませんかっ」

「妻の夜着姿を夫が見たからと言って何がいけないの?」

「まだ妻ではないでしょう!」

 真っ赤になって反論する私に、アルフレッド様は気にするでもなく近づいてくる。
 ベッドの脇まで来ると、少し屈み気味に私の額にその手を当てた。
 ひんやりとしたその手に、赤く血の昇った顔の熱が引いていく。

「よかった。昨日よりは下がったみたいだね」

「はい・・・え?昨日?」

 なんだか不穏な事を聞いた気がするわ。昨日って言った?

「うん。昨日の夜に様子を見に来た時は、まだ熱が高かったから」

「み、ミナは・・・」

「うん?ああ。僕が見ているからって下がらせた」

 ね、寝顔を見られた!恥ずかしい!!

「み、未婚の女性の部屋に、夜に入るなんて破廉恥ですわっ」

「ハレンチ・・・?」

「ですから、そう言われると申し上げたでしょう」

 少し開いたままのドアの隙間から、フレイ様の声が聞こえた。

「ローズマリー様、申し訳ありません。我が君は、そのあたりの常識に欠けております。・・・ビビアン嬢、こちらでお茶などいかがですか?」

「は、はいっ!喜んで。ローズマリー様っ、また参りますわねっ。お体を労って下さいませ。では、陛下、失礼しますわ」

 フレイ様のお誘いに、ビビアン様はすぐに部屋を出て行ってしまい、部屋には私とアルフレッド様が取り残された。

「ローゼ、そんなに嫌だった?」

「・・・嫌というか、恥ずかしいです」

「可愛かったのに。とても愛らしくて、目が離せなかった」

 うっとりとした顔をして微笑むアルフレッド様に、顔に熱がこもっていく。
 再び、真っ赤になった私の頬を、アルフレッド様はその細く長い指で撫でる。

「可愛い、ローゼ。そんな顔を見せられたら、我慢できない」

 アルフレッド様は、私の後頭部に手を添えると、ゆっくりと私をベッドへと寝かせる。そして覆いかぶさるように唇を合わせてきた。
 何度も角度を変えながら繰り返される深い口づけに、私はその夜再び熱を出してしまったのであったー



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく……

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します

nanahi
恋愛
政略結婚により新興国クリューガーから因習漂う隣国に嫁いだ王女イーリス。王宮に上がったその日から「子爵上がりの王が作った新興国風情が」と揶揄される。さらに側妃の陰謀で王との夜も邪魔され続け、次第に身の危険を感じるようになる。 イーリスが邪険にされる理由は父が王と交わした婚姻の条件にあった。財政難で困窮している隣国の王は巨万の富を得たイーリスの父の財に目をつけ、婚姻を打診してきたのだ。資金援助と引き換えに父が提示した条件がこれだ。 「娘イーリスが王子を産んだ場合、その子を王太子とすること」 すでに二人の側妃の間にそれぞれ王子がいるにも関わらずだ。こうしてイーリスの輿入れは王宮に波乱をもたらすことになる。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

処理中です...