魔王様は転生王女を溺愛したい

みおな

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転生王女の初デート2

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「まずは、どこへ行かれますの?」

 賑やかな街は、見ているだけでも楽しい。左右を見渡すと、時折きゃあと愛らしい悲鳴が聞こえる。

 あー、アルフレッド様は色気がダダ漏れですからね。可愛らしい少女も、綺麗なお姉さんも、瞳をハートマークにして、魔王陛下を見つめている。

 こんな人と手を繋いでいることが、少し気恥ずかしくなる。
 モゾモゾと身動ぎする私に、アルフレッド様がどうしたのと尋ねてきた。

「アルフレッド様が皆様の視線を集めていらっしゃるので、なんだか私が横にいるのが気恥ずかしくて・・・」

「愛しいローゼ、何を言ってるの。君の愛らしさに皆見惚れているんだよ」

 呆れたようにアルフレッド様がそう言うけれど、そんなことないから!周りの女性陣、あなたにメロメロ(←死語)だから。

 王宮のメイドや使用人たちは、人間の私にもとても良くしてくれてるけど、人間の私が万人に受け入れられるなどと自惚れてはいない。

「ローゼ、信じていないな?」

「アルフレッド様は私に甘すぎるのですわ。お城の皆様は良くして下さってますけど、それと私が見惚れられるのとは別ですわ」

 私の反論に、アルフレッド様は不服そうだ。
 まぁ私も、お兄様たちやお姉様の溺愛を受けてきたから、誉められるのには慣れている。だからといって、私って世界一可愛いなんて自惚れたりはしない。
 ローズマリーが自惚れ強い性格にならずに済んだのって、一重に中身が麻里だからよね。

「で、どちらに行きますの?」

 この類の話が堂々巡りになることは、経験上わかっている。さっさと話題変換するに限る。

「・・・とりあえず、ウエディングドレスの注文に行こうか」

「ええ。ご案内下さいませ」

 私は、アルフレッド様に、にっこりと微笑んだ。



 現在、私は着せ替え人形と化している。ゔゔっ、朝に引き続きマネキン状態だわ。

 広い部屋に散乱したドレスとアクセサリーたち。
 私は、デザイナーのミレーユさんと従業員の方々の手を借りて、ウエディングドレスを着ては、アルフレッド様の前にお披露目するを繰り返していた。

「ローゼは可愛らしいから、プリンセスラインか、清楚なAラインがいいだろう」

 まぁ!アルフレッド様はウエディングドレスのデザインも良く知っているのね!
 デザイナーのミレーユさんも、アルフレッド様の意見にうなづいている。

「姫様はとても可愛らしい方ですから、プリンセスラインも良くお似合いでしょうね。ですが、陛下の隣に並ばれ王妃になられるのですから、ここはシンプルな王道のAラインをオススメしますわ」

「そうか。ローゼ、どう?」

 アルフレッド様が私の意見を聞いてくれる。そうですね、プリンセスラインのドレスは常々着ているから、花嫁衣装は普段着ないタイプがいい気がするわ。

「私もこちらのAラインのドレスがいいと思いますわ」

「じゃあ、ミレーユ。それで頼もう」

「かしこまりました。姫様はお若いから、刺繍だけでなく石も散らしましょう。お任せ下さい。最高のドレスを仕上げて見せますわ」

 どうやら、豪華絢爛なドレスができそうです。楽しみですわ。


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