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転生王女の結末
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カリストロ皇国に飛んだ私は、メデューサの魔力を辿る。
カリストロ皇国国王と並んで、謁見の間で私と対峙したメデューサは妖艶に笑った。
「クリムゾン魔国宰相殿。先触れもなく、失礼では有りませんか?」
「我が魔王陛下のご寵姫に牙をむく愚か者が、この国におられるようでしてね。陛下は大層お怒りなのですよ」
私の言葉にメデューサがその目を見開いた。その、爬虫類の目に私は妙に嫌気が差す。
種族の違いによる容姿の差に、嫌悪感を持つことなどなかったのだが。
今は、その仮初めの妖艶なボディーも、白い肌も、赤く色づく唇も、汚らしく感じる。
これは・・・
あの幼くも大人な姫君に絆されてしまったのですかね・・・
「ご寵姫?」
「そうですよ。我がクリムゾン魔国の王妃となられるお方」
「・・・!!あの小娘がっ!?」
思い当たったのであろう。メデューサはその紫色の目を見開くと、一気に魔力を解放した。
謁見の間を埋め尽くす白銀の鱗の大蛇が、目の前に現れる。一気に真の姿に戻ったメデューサに、カリストロ皇国国王は押し潰されていた。
まぁ別に、国王が死のうと知ったことではない。メデューサが皇妃である時点で、この国の末路は決まっているのだから。
「あなたが姫君に呪いをかけた理由をお聞きしたいところですが、まぁ聞いたところで結末が変わるわけでも有りませんし」
「それはどうかしら」
メデューサは一気に私の体に巻きついた。長い大蛇がミシリと音を立てる。いや、音を立てたのは、私の骨だ。大蛇は体をくねらせながら、締める輪を小さくしていく。
「・・・っ」
「安心して?ちゃあんと丸呑みして、あなたの能力は引き継いであげる。そして、あの小娘を粉々に砕いた後は、陛下の妻として私が側にいて差し上げるわ」
「あなた・・・程度が、王妃になれ・・るとでも?」
「憎まれ口をまだきけるのね」
メデューサがさらに輪を縮め、私の唇から溢れ出た血がこぼれ落ち、床に赤い王冠を作ったー
その瞬間ー
あたりを白銀の光が照らし出し、メデューサの視界を奪う。
光が消えた目の前の光景に、メデューサはその紫の目を見開いた。
「な、なぜ・・・」
「むしろこちらがお聞きしたいですね。何故、私を殺せると思ったのですか?魔国の宰相ですよ?誰よりも陛下の側にいる私を、たかが、蛇の締め付け程度で?」
大体、第1形態のままなのに?
そう続けた私に、メデューサは恐怖を滲ませて逃げ出そうとする。
「逃げられると思っていることが不思議ですねぇ」
魔力を解放して、第2形態に姿を変える。額の中央から捻れた角が現れ、右腕が白銀の獣の毛に覆われた。
その右腕でメデューサの鱗に触れると、そのままその身に爪を立てる。
「ぎゃあああああああああ」
「やかましいですねぇ」
こぼすために自分で噛んだ傷口に残る血をペロリと舐めあげると、それをメデューサに向けて吐き出した。
「ぎ・・・グァァァァァ」
血が貼りついた鱗が焼けただれ、痛みにメデューサが身を捩る。捩ったことで、立てた爪がより深く身を抉っていく。
「ぎゃあああ・・・たす・・・助けて」
「うーん、なんか面倒になってきましたね」
魔力をさらに増して、手首まで蛇の身に埋める。手のひらに魔力を貯めていくと、メデューサの体が痙攣をおこし出す。
魔力の玉を体内に残して、腕を引く。
第1形態に戻り、背中を向ける。
助かったと思ったのか、メデューサから安堵の雰囲気を感じて、私は思わず笑ってしまう。
私が謁見の間の扉を閉めた瞬間、メデューサの体が弾けた轟音が響いたー
カリストロ皇国国王と並んで、謁見の間で私と対峙したメデューサは妖艶に笑った。
「クリムゾン魔国宰相殿。先触れもなく、失礼では有りませんか?」
「我が魔王陛下のご寵姫に牙をむく愚か者が、この国におられるようでしてね。陛下は大層お怒りなのですよ」
私の言葉にメデューサがその目を見開いた。その、爬虫類の目に私は妙に嫌気が差す。
種族の違いによる容姿の差に、嫌悪感を持つことなどなかったのだが。
今は、その仮初めの妖艶なボディーも、白い肌も、赤く色づく唇も、汚らしく感じる。
これは・・・
あの幼くも大人な姫君に絆されてしまったのですかね・・・
「ご寵姫?」
「そうですよ。我がクリムゾン魔国の王妃となられるお方」
「・・・!!あの小娘がっ!?」
思い当たったのであろう。メデューサはその紫色の目を見開くと、一気に魔力を解放した。
謁見の間を埋め尽くす白銀の鱗の大蛇が、目の前に現れる。一気に真の姿に戻ったメデューサに、カリストロ皇国国王は押し潰されていた。
まぁ別に、国王が死のうと知ったことではない。メデューサが皇妃である時点で、この国の末路は決まっているのだから。
「あなたが姫君に呪いをかけた理由をお聞きしたいところですが、まぁ聞いたところで結末が変わるわけでも有りませんし」
「それはどうかしら」
メデューサは一気に私の体に巻きついた。長い大蛇がミシリと音を立てる。いや、音を立てたのは、私の骨だ。大蛇は体をくねらせながら、締める輪を小さくしていく。
「・・・っ」
「安心して?ちゃあんと丸呑みして、あなたの能力は引き継いであげる。そして、あの小娘を粉々に砕いた後は、陛下の妻として私が側にいて差し上げるわ」
「あなた・・・程度が、王妃になれ・・るとでも?」
「憎まれ口をまだきけるのね」
メデューサがさらに輪を縮め、私の唇から溢れ出た血がこぼれ落ち、床に赤い王冠を作ったー
その瞬間ー
あたりを白銀の光が照らし出し、メデューサの視界を奪う。
光が消えた目の前の光景に、メデューサはその紫の目を見開いた。
「な、なぜ・・・」
「むしろこちらがお聞きしたいですね。何故、私を殺せると思ったのですか?魔国の宰相ですよ?誰よりも陛下の側にいる私を、たかが、蛇の締め付け程度で?」
大体、第1形態のままなのに?
そう続けた私に、メデューサは恐怖を滲ませて逃げ出そうとする。
「逃げられると思っていることが不思議ですねぇ」
魔力を解放して、第2形態に姿を変える。額の中央から捻れた角が現れ、右腕が白銀の獣の毛に覆われた。
その右腕でメデューサの鱗に触れると、そのままその身に爪を立てる。
「ぎゃあああああああああ」
「やかましいですねぇ」
こぼすために自分で噛んだ傷口に残る血をペロリと舐めあげると、それをメデューサに向けて吐き出した。
「ぎ・・・グァァァァァ」
血が貼りついた鱗が焼けただれ、痛みにメデューサが身を捩る。捩ったことで、立てた爪がより深く身を抉っていく。
「ぎゃあああ・・・たす・・・助けて」
「うーん、なんか面倒になってきましたね」
魔力をさらに増して、手首まで蛇の身に埋める。手のひらに魔力を貯めていくと、メデューサの体が痙攣をおこし出す。
魔力の玉を体内に残して、腕を引く。
第1形態に戻り、背中を向ける。
助かったと思ったのか、メデューサから安堵の雰囲気を感じて、私は思わず笑ってしまう。
私が謁見の間の扉を閉めた瞬間、メデューサの体が弾けた轟音が響いたー
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