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転生王女の考察2

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 あの日から、私は毎週、父様の執務室を訪れていた。

 最初は、日参していたのだけど、さすがに執務の邪魔だと言われて、ムカッとしたけどそれもそうかと納得したので、1週間に1度に変更した。

 私を溺愛するお兄様たちには・・・ちょっと引く反応をされた。
 脅されているのかとか、何か弱みを握られたのかとか。
 いや、仮にも親ですよ?もちろん私も、子供を虐待する親とか前世でニュースで見たし、貴族世界だとそういうこともあるんだって知識としては知ったけど。
 父様、ホントわかりにくい愛情を持ってるからなぁ。

 もちろん、私が望んで行っていると伝えた。そして、めっちゃ引かれた。酷い。

 というわけで、私は現在、黙々と書類と向き合っている父様がいる執務室で、ソファーに腰掛けて魔法書と格闘している。

 格闘理由はー
文字が読めないのだ。

 サフィロス王国の文字は、所謂アルファベットと同じで、26の文字からなる。
 なのでサフィロスの公用語なら、異世界の私でも読めたのだが、魔法書の文字は文字というより模様で、最初開いた時、私は固まってしまった。

 そんな私に、父様は象形文字というのはわかるかと聞いてきた。
 確かに、蔦や羽を模しているような文字だ。父様に紙とペンを借り、公用字に変換する。

 転生して、この羽ペンに悪戦苦闘した。とにかく、使いづらい。しょっちゅうインクをつけなければならないし、掠れる、引っかかる。ボールペンに慣れた私には使いづらくて仕方なかった。
 ボールペンとまでは言わないけど、何かいい筆記用具ないかしら。

 まぁ、それはともかく、私は何とか魔法書と向き合っていた。書き写した文字と照らし合わせながらだから、時間はかかるし、とにかく疲れる。

 2時間ほど魔法書と睨めっこしたところで、ふぅと息をついた。ずっと下を向いてるから首が凝る。

「茶でも飲んだらどうだ」

 不意にかけられた父様の言葉に、顔を上げると、目の前に紅茶が置かれていた。あれ?いつのまに。
 礼を言ってカップを持ち上げる。
喉を潤すそれは、もうすっかり冷めていて、どうやら私が夢中になっている間に入れられていたようだ。
 冷めた紅茶を飲ますなんてと、使用人たちは顔を青ざめるだろうが、喉が乾いていた私には、一気に飲み干せるこの温度がちょうどいい。

 この世界、冷蔵庫なんてものはないから、飲み物は基本、熱いか常温かなのだ。キンキンに冷えたビールとか懐かしいわ。いや、飲めないけどね。11歳だし。
 この国の成人は15歳だから、その年になればアルコールを口にすることはできるけど、この世界にビールはないわ。果実酒とかよね。
 そして、王族である私達は温かいまま料理を口にすることもない。毒味がチェックしてからだから、どうしても冷めてしまうのだ。
 料理って、温かいだけで美味しいものなのに。

 呪い対策も重要だけど、この辺りも何とか改善できないものかと考えている。
 幸い、私は王女だ。父様さえ納得させることができれば、何とかできる気がする。

 とりあえずは、料理かしらね。
食って大切だものね。
 
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