3 / 45
転生王女の考察2
しおりを挟む
あの日から、私は毎週、父様の執務室を訪れていた。
最初は、日参していたのだけど、さすがに執務の邪魔だと言われて、ムカッとしたけどそれもそうかと納得したので、1週間に1度に変更した。
私を溺愛するお兄様たちには・・・ちょっと引く反応をされた。
脅されているのかとか、何か弱みを握られたのかとか。
いや、仮にも親ですよ?もちろん私も、子供を虐待する親とか前世でニュースで見たし、貴族世界だとそういうこともあるんだって知識としては知ったけど。
父様、ホントわかりにくい愛情を持ってるからなぁ。
もちろん、私が望んで行っていると伝えた。そして、めっちゃ引かれた。酷い。
というわけで、私は現在、黙々と書類と向き合っている父様がいる執務室で、ソファーに腰掛けて魔法書と格闘している。
格闘理由はー
文字が読めないのだ。
サフィロス王国の文字は、所謂アルファベットと同じで、26の文字からなる。
なのでサフィロスの公用語なら、異世界の私でも読めたのだが、魔法書の文字は文字というより模様で、最初開いた時、私は固まってしまった。
そんな私に、父様は象形文字というのはわかるかと聞いてきた。
確かに、蔦や羽を模しているような文字だ。父様に紙とペンを借り、公用字に変換する。
転生して、この羽ペンに悪戦苦闘した。とにかく、使いづらい。しょっちゅうインクをつけなければならないし、掠れる、引っかかる。ボールペンに慣れた私には使いづらくて仕方なかった。
ボールペンとまでは言わないけど、何かいい筆記用具ないかしら。
まぁ、それはともかく、私は何とか魔法書と向き合っていた。書き写した文字と照らし合わせながらだから、時間はかかるし、とにかく疲れる。
2時間ほど魔法書と睨めっこしたところで、ふぅと息をついた。ずっと下を向いてるから首が凝る。
「茶でも飲んだらどうだ」
不意にかけられた父様の言葉に、顔を上げると、目の前に紅茶が置かれていた。あれ?いつのまに。
礼を言ってカップを持ち上げる。
喉を潤すそれは、もうすっかり冷めていて、どうやら私が夢中になっている間に入れられていたようだ。
冷めた紅茶を飲ますなんてと、使用人たちは顔を青ざめるだろうが、喉が乾いていた私には、一気に飲み干せるこの温度がちょうどいい。
この世界、冷蔵庫なんてものはないから、飲み物は基本、熱いか常温かなのだ。キンキンに冷えたビールとか懐かしいわ。いや、飲めないけどね。11歳だし。
この国の成人は15歳だから、その年になればアルコールを口にすることはできるけど、この世界にビールはないわ。果実酒とかよね。
そして、王族である私達は温かいまま料理を口にすることもない。毒味がチェックしてからだから、どうしても冷めてしまうのだ。
料理って、温かいだけで美味しいものなのに。
呪い対策も重要だけど、この辺りも何とか改善できないものかと考えている。
幸い、私は王女だ。父様さえ納得させることができれば、何とかできる気がする。
とりあえずは、料理かしらね。
食って大切だものね。
最初は、日参していたのだけど、さすがに執務の邪魔だと言われて、ムカッとしたけどそれもそうかと納得したので、1週間に1度に変更した。
私を溺愛するお兄様たちには・・・ちょっと引く反応をされた。
脅されているのかとか、何か弱みを握られたのかとか。
いや、仮にも親ですよ?もちろん私も、子供を虐待する親とか前世でニュースで見たし、貴族世界だとそういうこともあるんだって知識としては知ったけど。
父様、ホントわかりにくい愛情を持ってるからなぁ。
もちろん、私が望んで行っていると伝えた。そして、めっちゃ引かれた。酷い。
というわけで、私は現在、黙々と書類と向き合っている父様がいる執務室で、ソファーに腰掛けて魔法書と格闘している。
格闘理由はー
文字が読めないのだ。
サフィロス王国の文字は、所謂アルファベットと同じで、26の文字からなる。
なのでサフィロスの公用語なら、異世界の私でも読めたのだが、魔法書の文字は文字というより模様で、最初開いた時、私は固まってしまった。
そんな私に、父様は象形文字というのはわかるかと聞いてきた。
確かに、蔦や羽を模しているような文字だ。父様に紙とペンを借り、公用字に変換する。
転生して、この羽ペンに悪戦苦闘した。とにかく、使いづらい。しょっちゅうインクをつけなければならないし、掠れる、引っかかる。ボールペンに慣れた私には使いづらくて仕方なかった。
ボールペンとまでは言わないけど、何かいい筆記用具ないかしら。
まぁ、それはともかく、私は何とか魔法書と向き合っていた。書き写した文字と照らし合わせながらだから、時間はかかるし、とにかく疲れる。
2時間ほど魔法書と睨めっこしたところで、ふぅと息をついた。ずっと下を向いてるから首が凝る。
「茶でも飲んだらどうだ」
不意にかけられた父様の言葉に、顔を上げると、目の前に紅茶が置かれていた。あれ?いつのまに。
礼を言ってカップを持ち上げる。
喉を潤すそれは、もうすっかり冷めていて、どうやら私が夢中になっている間に入れられていたようだ。
冷めた紅茶を飲ますなんてと、使用人たちは顔を青ざめるだろうが、喉が乾いていた私には、一気に飲み干せるこの温度がちょうどいい。
この世界、冷蔵庫なんてものはないから、飲み物は基本、熱いか常温かなのだ。キンキンに冷えたビールとか懐かしいわ。いや、飲めないけどね。11歳だし。
この国の成人は15歳だから、その年になればアルコールを口にすることはできるけど、この世界にビールはないわ。果実酒とかよね。
そして、王族である私達は温かいまま料理を口にすることもない。毒味がチェックしてからだから、どうしても冷めてしまうのだ。
料理って、温かいだけで美味しいものなのに。
呪い対策も重要だけど、この辺りも何とか改善できないものかと考えている。
幸い、私は王女だ。父様さえ納得させることができれば、何とかできる気がする。
とりあえずは、料理かしらね。
食って大切だものね。
11
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと
暁
恋愛
陽も沈み始めた森の中。
獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。
それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。
何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。
※
・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。
・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。
【完結】拾った娘に英才教育!
青村砂希
恋愛
主人公のおじさんは、ある日、女子高生を拾いました。
おじさんは、同居することになったその子に、大学への進学を提案します。
そして、おじさん指導のもと、その子の受験勉強が始まりました。
実に紳士的なおじさんです。
しかし、実はおじさん、変態さんでした。
拾った娘を大切に育てて、どうするつもりでしょう。
会社では、若手の社員からも相手にされないポンコツおじさんです。
そんなおじさんのまわりに、何故か優秀な社員が集まってきました。
チキンで ヘタレで ザンネンな おじさんです。
どうか おじさんを 応援してあげて下さい。
サクサク読んで頂けると思います。
是非、お付き合い下さい。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる