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どんな罰を《アルビナ視点》
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風の精霊たちから、ルーナを傷つける人間たちが、ガラティア王国に入ったと知らせがあった。
シンと2人で上空からその様子を眺める。
愚かな人間。精霊の愛し子であるルーナを、この精霊たちが住まうガラティアで傷つけようなんて。
『あれがルーナを殺したヤツか』
眼下には、ソルと同じくらいの歳の金髪の子供と、10人ほどの男たちが王都に入ろうとしている。
シンの言う、ルーナを殺したヤツって、あの子供よね?
そして、あの子供がルーナを攫おうとしているってことよね?
ソルは反対したけど、やっぱりあんな人間は、殺してしまった方が早いのに。
『ねー、シン。アレ、殺しちゃわない?』
『ダメだよ、アルビナ。アイツは苦しめて苦しめて、そして、ルーナが幸せなのを見せつけてからでないと殺さない』
シンはジッと、その子供を睨みつけている。
そっか。そうだよね。ルーナは、何度も殺されたのだものね。
やっと、ガラティアに来て、シンと契約できて・・・
シンはずっと、ルーナのことを心配してた。助けたいのに、契約していないから駆けつけることもできなくて、苦しんでた。
ルーナが命を落とすたびに、何度も何度も、シンは時間を巻き戻して、次こそはルーナを助けたいと願ってた。
そうだよね。
あっさり簡単に殺したりしないよね。
だけど、ルーナに近づけさせるわけにはいかない。
精霊たちに王都には入れないように、迷いの森へ誘導させている。
彼らが王都だと見ているのは、迷いの森だ。王都のすぐ側にある森で、普段は誰も迷うようなことのない、普通の森だ。
だけど、時にはガラティア王国に害のある者たちが王都にやって来ようとする。
精霊は、魔力を持たない者や悪意の強い者には敏感だから、そんな者たちがやってきたら、森へと迷い込ませるのだ。
魔力のある者ならば、その幻惑は見破ることが出来るし、契約している精霊が助けたりする。
でも、眼下の人間は全員魔力を持っていない。目の前の森が王都に見えていることだろう。
『迷いの森でどのくらいいさせるの?』
『ルーナの父親が、あの子供の父親の罪を暴くまでかな。そんなにかからないとソルの父親は言ってた』
『力尽きないかしら?呆気なく死んだらつまんないわ』
王族だと言ってたし、彷徨ったら呆気なく死にそうだわ。
『ソルはアイツらはすぐに、ルーナを攫おうとするはずだって言ってた。明日にはソルから指示が来るから、それくらいは大丈夫だろ』
そうね。モーリス王国から来たんだから、食料や水も持ってきてるでしょうしね。
いつまで経っても学園寮に着けない幻の中で、せいぜい迷えばいいわ。
シンと2人で上空からその様子を眺める。
愚かな人間。精霊の愛し子であるルーナを、この精霊たちが住まうガラティアで傷つけようなんて。
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シンの言う、ルーナを殺したヤツって、あの子供よね?
そして、あの子供がルーナを攫おうとしているってことよね?
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『ねー、シン。アレ、殺しちゃわない?』
『ダメだよ、アルビナ。アイツは苦しめて苦しめて、そして、ルーナが幸せなのを見せつけてからでないと殺さない』
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そっか。そうだよね。ルーナは、何度も殺されたのだものね。
やっと、ガラティアに来て、シンと契約できて・・・
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ルーナが命を落とすたびに、何度も何度も、シンは時間を巻き戻して、次こそはルーナを助けたいと願ってた。
そうだよね。
あっさり簡単に殺したりしないよね。
だけど、ルーナに近づけさせるわけにはいかない。
精霊たちに王都には入れないように、迷いの森へ誘導させている。
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だけど、時にはガラティア王国に害のある者たちが王都にやって来ようとする。
精霊は、魔力を持たない者や悪意の強い者には敏感だから、そんな者たちがやってきたら、森へと迷い込ませるのだ。
魔力のある者ならば、その幻惑は見破ることが出来るし、契約している精霊が助けたりする。
でも、眼下の人間は全員魔力を持っていない。目の前の森が王都に見えていることだろう。
『迷いの森でどのくらいいさせるの?』
『ルーナの父親が、あの子供の父親の罪を暴くまでかな。そんなにかからないとソルの父親は言ってた』
『力尽きないかしら?呆気なく死んだらつまんないわ』
王族だと言ってたし、彷徨ったら呆気なく死にそうだわ。
『ソルはアイツらはすぐに、ルーナを攫おうとするはずだって言ってた。明日にはソルから指示が来るから、それくらいは大丈夫だろ』
そうね。モーリス王国から来たんだから、食料や水も持ってきてるでしょうしね。
いつまで経っても学園寮に着けない幻の中で、せいぜい迷えばいいわ。
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