逆行令嬢は何度でも繰り返す〜もう貴方との未来はいらない〜

みおな

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愚考《モーリス国王視点》

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 フィリップたちは、ガラティア王国にそろそろ着く頃だろう。
 事が順調に進んでいることに安堵して、息を吐いた。

 ヴァレリア公爵も、令嬢がガラティア王国に留学して以来、何も言わない。

 ガラティア王国から、ヴァレリア公爵令嬢と王太子殿下の婚約を知らせる書簡が届いていたが、正式な婚約発表のパーティーなどは、まだ行わないらしい。

 それならば、付け入る隙がある。
王太子も公爵令嬢も、あの国では学園内の寮に入っている。

 さすがに王宮内で保護されていれば、手の出しようもないが、学園寮となれば話は別だ。

 フィリップに付けた隠密部隊には、公爵と年齢の近い者もいる。
 父親が怪我をしたと言えば、令嬢も寮から出てくるだろう。

 人目の付かない位置まで移動したら、あとは薬で意識を失わせれば良い話だ。

 フィリップが事に至れるかどうかはわからないが、別に手を出せなくても構わない。

 拉致さえできれば、あとはどうとでもなる。
フィリップならば口止めする手間が省けるというだけだ。

 見目麗しい令嬢だ。まだ子供故に手を出す気にはなれんが、数年監禁したあとなら、儂の愛妾にしても構わない。

 幽閉していれば、誰の目を気にすることもない。

 ご令嬢のか弱い抵抗など、可愛いものだ。抵抗されるのも楽しめる。
 しばらくは薬漬けにせず、か弱い抵抗を楽しむのもありだな。

 前回は失敗したからな。
抵抗も可愛いと思っていたが、さすがに幽閉まではできずにいたら、まさか自害するとは。

 王妃の従妹だったために、幽閉できなかったのがマズかった。

 だが、婚約者である側近にも、従姉である王妃にも、何があったか打ち明けていなかったのは助かった。

 まぁ、貴族の令嬢が、穢されたなどと言えるものではないのだが。
 しかも相手が従姉の夫だ。
だから、話すわけはないと思っていたのだが、自害するとは思わなかった。

 あれ以来、王妃はずっと塞ぎ込んでいる。仲の良い従妹だったから、相当ショックだったようだ。

 婚約者であった側近も、仕事が手につかなくなり、王宮勤めを辞めた。
 今は領地にこもっているらしい。

 自害の理由を調べる探索は、王家の隠密部隊にやらせたから、最終的に理由不明となった。

 もちろん、身体を調べれば純潔でないこともわかるだろうが、そこは金を掴ませて、証拠としてあげないようにさせた。

 元々、王家の隠密部隊は、儂が国王の手足となるべく発足させたモノだ。

 人には言えない王家の昏い部分を、覆い隠し闇に葬るための部隊である。

 その分、金はかかるが、こういう時には役に立つというものだ。

 
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