逆行令嬢は何度でも繰り返す〜もう貴方との未来はいらない〜

みおな

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伝承の真実《ソル視点》

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『あ。無事に契約できたみたい』

 僕の周囲を飛び回っていたアルビナが、嬉しそうに報告して来た。

 アルビナは、金色の髪と瞳をした、太陽の精霊王だ。

 我がガラティア王国には精霊が多くいる。
平民には見えない者が多いけど、貴族の多くは魔力を持って生まれるからか、ほとんどが精霊を認識している。

 それは当然のことで、元々魔力とは精霊たちが自分が気に入った人間に『気まぐれ』に貸し与えた力に過ぎない。

 精霊から貸し与えられているものだから、精霊を認識することができるのも当然だというのが、この国の魔力を持っている者の認識だ。

 そういう風に、この国の魔法学園で魔力持ちたちは教えられるのだから。

 それは決して間違いではない。
だが、全てでもない。

 それは、遠いー
悠久の彼方、このガラティア王国が生まれた時に遡る。

 精霊とはー
草木や動物、無生物、人工物などに宿っているとされる存在である。

 万物の根源を成している精霊たちは、この世界に多く存在していた。

 だが、人の多くはその地を開拓し、またある者は自然を荒らし、多くの精霊たちが失われていった。

 それに悲しんだ太陽の精霊王は、この地から姿を隠してしまった。
 日が上らなくなった世界は、木々が枯れ、動物が死に、人の命も失われていく。

 失われていく同胞たちに、悲しんだ月の精霊王が己の力を削って世界を照らそうとするが、その淡い癒しの力では全てを照らしきることは出来ず、彼自身が力尽きようとしていた。

 その時に現れた1組の神が、月の精霊王に力を注いだ。
 対であるために、身を隠したまま力を失いつつある太陽の精霊王や、枯れゆく自然たちにも。

 そして、全ての力を注いだことで、神たちはその身を輪廻の輪へと投じることになった。

 神であることを捨て、人の身になる神たちに、太陽と月の精霊王たちは懺悔した。
 自分たちのせいで神でなくなることを詫びた。

 だが1組の神たちは、自分たちは人も精霊たちも全てを守るのが役目なのだと微笑み、これからもこの世界を守って欲しいと願って神としての役目を終えたのだ。

 直に神の力を得たことで、他の精霊たちよりも強い力を持った太陽と月の精霊王は、自分たちを、そして同胞たちを助けてくれた神の生まれ変わりを待った。

 そして、人として生まれ変わった神たちに、加護を与え、自分たちの愛し子として守り抜くことにしたのだ。

 太陽と月の精霊王の加護を受けた人間、それがこのガラティア王国の初代国王夫妻である。
 精霊王たちの魔力を授けられた初代の血を受け継いだ子孫、それがガラティア王国の王族であり、貴族たちなのだ。

 それが、太陽と月の精霊王の愛し子にのみ伝えられる、伝承の真実なのだ。





 
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