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契約
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精霊様との契約は、その精霊様の真名を教えていただき、自分の血を1滴、精霊様に捧げるのだそうです。
真名?シンというのは本当のお名前ではないのでしょうか?
『僕の名前はシン=アヴァテア・アリグナク。この名は、ルーナが僕を呼びたい時に、心の中で呼んで。必ず駆けつけるから』
私は頷くと、人差し指にぷつりと針を刺しました。
小さな血玉が出来た指を差し出すと、シン様はその指を抱えるようにして、血を飲まれます。
小さな舌で傷あとをペロリと舐めた後、シン様は私の頬へと抱きついて来られました。
『やっと・・・やっと契約できた!これでルーナを助けられる』
シン様の、私を思いやる言葉に涙が出そうです。
私を溺愛して下さるお父様やお母様という家族以外の方に、こんな風に言ってもらったのは初めてです。
「ありがとうございます、シン様」
『ルーナがお礼を言うことなんて何もないよ。ルーナは僕の大切な愛し子なんだから!絶対、ルーナのこと幸せにするからね』
「ふふっ、ありがとうございます。まるでプロポーズみたいですわ」
シン様がとてつもなく年上なことはわかってますけど、見た目が幼い子供に見えるせいか、すごく微笑ましい感じがします。
『ええっ?ルーナにプロポーズしちゃったら、ソルに・・・』
「?」
『いや、なんでもない。それよりルーナ。そろそろ部屋に入って眠らないと風邪ひくよ』
なんでしょう?先ほど、ガラティア王太子殿下の名前が聞こえた気がしたのですが。聞き間違いかしら?
でも、シン様のおっしゃる通りです。そろそろ眠らないと、ミナに迷惑をかけてしまいますわ。
「シン様とは、夜でないと会えませんの?」
『もう契約したから、いつでも会えるよ!ルーナが心の中で呼んでくれたら、どこへでも駆けつける!それに・・・明日また会えるよ』
「明日・・・ですか?」
『うん!また明日ね!ルーナ、おやすみ』
そう言うと、私の返事も聞かずに、シン様はフッとお姿を消してしまわれました。
私が心の中でお名前を呼んだら、いつでもどこへでも駆けつけて下さる。
そんな存在が、家族以外にできたことが、とても嬉しくて仕方ありません。
そして、あの巻き戻しをシン様が私を助けたいがためにしてくださっていたことも。
私は幸せ者です。
お父様とお母様に愛していただき、月の精霊王様であるシン様に大切に思っていただいているのです。
そして、私のために太陽の精霊王様とガラティア王国王太子殿下にまでご助力いただいたなんて。
私の中で、何度もフィリップ様に断罪された辛い思い出は、溶けていくようでした。
真名?シンというのは本当のお名前ではないのでしょうか?
『僕の名前はシン=アヴァテア・アリグナク。この名は、ルーナが僕を呼びたい時に、心の中で呼んで。必ず駆けつけるから』
私は頷くと、人差し指にぷつりと針を刺しました。
小さな血玉が出来た指を差し出すと、シン様はその指を抱えるようにして、血を飲まれます。
小さな舌で傷あとをペロリと舐めた後、シン様は私の頬へと抱きついて来られました。
『やっと・・・やっと契約できた!これでルーナを助けられる』
シン様の、私を思いやる言葉に涙が出そうです。
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「ありがとうございます、シン様」
『ルーナがお礼を言うことなんて何もないよ。ルーナは僕の大切な愛し子なんだから!絶対、ルーナのこと幸せにするからね』
「ふふっ、ありがとうございます。まるでプロポーズみたいですわ」
シン様がとてつもなく年上なことはわかってますけど、見た目が幼い子供に見えるせいか、すごく微笑ましい感じがします。
『ええっ?ルーナにプロポーズしちゃったら、ソルに・・・』
「?」
『いや、なんでもない。それよりルーナ。そろそろ部屋に入って眠らないと風邪ひくよ』
なんでしょう?先ほど、ガラティア王太子殿下の名前が聞こえた気がしたのですが。聞き間違いかしら?
でも、シン様のおっしゃる通りです。そろそろ眠らないと、ミナに迷惑をかけてしまいますわ。
「シン様とは、夜でないと会えませんの?」
『もう契約したから、いつでも会えるよ!ルーナが心の中で呼んでくれたら、どこへでも駆けつける!それに・・・明日また会えるよ』
「明日・・・ですか?」
『うん!また明日ね!ルーナ、おやすみ』
そう言うと、私の返事も聞かずに、シン様はフッとお姿を消してしまわれました。
私が心の中でお名前を呼んだら、いつでもどこへでも駆けつけて下さる。
そんな存在が、家族以外にできたことが、とても嬉しくて仕方ありません。
そして、あの巻き戻しをシン様が私を助けたいがためにしてくださっていたことも。
私は幸せ者です。
お父様とお母様に愛していただき、月の精霊王様であるシン様に大切に思っていただいているのです。
そして、私のために太陽の精霊王様とガラティア王国王太子殿下にまでご助力いただいたなんて。
私の中で、何度もフィリップ様に断罪された辛い思い出は、溶けていくようでした。
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