私のことはお気になさらず

みおな

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愚か者と妄想

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 私が何を言っても、全く伝わってる気がしない。

 あの人、どうしてあんなにポジティブに考えられるの?

 ど、どうすればいいの?
ものすごくものすごく、ものすごーく気持ち悪いんだけど。

 ヴィル様の腕に縋り付くと、ヴィル様の大きな手がポンポンと私を落ち着かせるように、手の上で動いた。

 なんていうのかしら・・・
ものすごく安心できるわ。

「ヴィル様・・・大好きです」

「・・・ああ」

 ヴィル様は、あまり愛の言葉を口にされない。

 多分、元婚約者様とのことがあったからだと思う。

 それでも、私の言葉に頷いてくれるし、行動で示してくれる。

「ティア!聞いただろう?この男はティアの愛を受け取るだけ受け取って、返そうとしない!目を覚ますんだ!」

 目の前で、ケレス様が何か喚いてるけど、もうスルーでもいいわよね?

 大体、私が自分のことを好きだと、愛しているとさっき言ってなかった?

 それなのに、私の愛をヴィル様が受け取るだけ受け取ってると言うの?

 私はどこかの誰かと違って、愛の大安売りをしたりしてないわよ。

 そんな軽い想いの愛だから、あっちにもこっちにもいい顔しようとするから、信用できないんじゃない!

「・・・不安にさせているか?」

 ヴィル様が、その黒い瞳を私に向ける。

 本当に綺麗な瞳。
私が今日身につけているブラックダイヤモンドよりも、深くて煌めいていると思う。

 そして、あんな人の戯言なのに、私の気持ちを気遣ってくれるのね。

 嬉しい。

「いいえ、ヴィル様。ヴィル様のお気持ちはちゃんと伝わっておりますわ。私の勘違いではありませんよね?」

「ああ」

 ドレスだって、今回は王妃様とお母様に譲ったからと宝飾品はヴィル様が準備して下さった。

 ヴィル様の瞳と髪のお色の宝飾品で、しかも中々王族でも持っていないという一級品よ。

 お母様と王妃様が褒めていたから、間違いないわ。

「ティア!いい加減に・・・」

「いい加減にするのはお前だ、ケレス・タービン。カバヤン伯爵令嬢が成人する三ヶ月後までは領地で軟禁だと伝えたはずだが?誰の手引きで、ここにやって来た?いや、答えはいらん。カバヤン伯爵夫妻・・・夫の伯爵が、娘を平民にために、お前とブルーム侯爵令嬢との縁を繋ぎ直そうとしていたことは調べが付いている。まぁ伯爵も、お前の妄想に騙されていたようだがな」

 しつこく言い寄ろうとするケレス様の言葉を遮ったのは、国王陛下だった。

 え?嘘でしょ。
下された決定が、覆されるわけないじゃない。

 覆されることがあるとしたら、それが冤罪の場合くらいだし、もしそうなら陛下の方が責任を取ることになるわよ。

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