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第六十六話 あなたが一緒なら
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「ルナ! しっかりしなさい!」
「い、いたい……苦しい……魔力が、奪われる……わたしが、わたしじゃなくなる……絶対許さない……復讐……殺してやる……!」
虚な表情を浮かべるルナの言葉から察するに、魔法で拘束された状態で、魔力を無理やり奪われ、瘴気の魔法を維持しているのですね。同時に、逃げられないように痛みを与え、逃げられなくすると……なんて酷い仕打ちなの!?
「なるほど、聖女を生贄にするというのは、本当だったようだね……サーシャ、すぐに魔法を止めれば、まだ助かるかもしれない!」
「わかりました!」
返事をしたのはいいですが、一体何をどうすれば魔法を止められるのでしょうか。なにか、部屋の中に手がかりは……。
「……あれ、こんな宝石なんて、石像にはまってたでしょうか?」
この部屋には、何回も通っておりましたが、聖女様の石像にこんな宝石があるのは、見たことがございません。
それに、よく調べてみますと、この宝石からとても強くて禍々しい魔力を感じます。そして、それが魔法陣に魔力を提供していることも。部屋の中に残った瘴気のせいで、わかりにくくなっていたのですね。
「これを外せば、魔法の解除が出来るかもしれませんわ!」
「なんだって!? よし、そうと決まればさっそく取り外そう!」
私の代わりに、レナード様が宝石に触れようとした瞬間、何かが割れるような音と共に、レナード様の体が弾き飛ばされ、壁に叩きつけられました。
「レナード様!? 大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。怪我は無いよ」
「ならよかったですわ……それにしても今の力は、一体……?」
「ここにも、魔法を妨害されないための何かが施されているんだろう。ここを守る結界もそうだったが、どれだけ昔の人は用心深かったんだろうね」
元々自爆して、共倒れするためのものと仰っておりましたから、用心深くなるのも仕方がない気はしますわ。
「レナード様、もしこの宝石の守りが、外の結界と同じでしたら、瘴気を利用してるのではないでしょうか?」
「その可能性は高そうだ。サーシャ、何度もすまないが……頼めるかい?」
「はい、お任せください」
私は聖女の魔力を両手に込め、浄化魔法を使いながら宝石を引き抜こうとしました。すると、今までで一番強力な瘴気が、宝石から勢いよく噴射して最後の抵抗をしてきました。
「う、うぐっ……な、なんて瘴気ですの……!?」
体に結界を張っているはずなのに、自分の体の中にどんどんと瘴気が浸食してくのがわかります。このままでは、数分もしないうちに私達は瘴気に侵され、命を失うでしょう。
そうなれば、もう魔法を止められる者がいなくなり、この国に住む民も、生命も、大地も死を迎える……そんなの……そんなの!!
「冗談じゃありません! 絶対に認めませんわ!! 私は聖女として、誰も傷つけさせたりしません!!」
「サーシャ……!!」
「ぐっ……あ、諦めません……!!」
必死に耐えながら、宝石を引き抜こうと頑張りますが、現実とは残酷なもの……私の強い決意とは裏腹に、段々と私は宝石の瘴気に押し戻され、石像から離されてしまいました。
このままでは、私は押し負けてしまう……それでも諦めずに抵抗していると、背中を力強く支えられる感覚を感じました。
「大丈夫、君なら出来るさ! 俺も、持てる力を全て使って、君を支えるよ!」
「レナード様……!」
ああ、このお方はどこまでも私のことを信じてくださるのですね。私、あなたとなら……どんな困難でも乗り越えられますわ!
「いくよ、ちょっと変な感じかもしれないけど、すぐに慣れる!」
「これは……!?」
レナード様の体を通して、私の体の中に大きな魔力が流れ込んできます。もしかしてこれは、レナード様の魔力?
「俺には聖女の魔法は使えないけど、俺の魔力を君に渡すことは出来る! 少しでも役に立ててくれ!」
「ありがとうございます、とても心強いですわ!」
強すぎる瘴気に苦戦をしながらではありましたが、レナード様の献身的なサポートのおかげで、私は再び石像の前まで来ることが出来ました。
「これより、宝石の結界の破壊、そして宝石の破壊をします!」
私は、再び宝石に手を伸ばします。しかし、宝石も最後の抵抗といわんばかりに、瘴気を噴出して抵抗してきますが……頼れる未来の夫が支えられる私には、悪あがきにもなりませんでした。
「これで……終わりです!!」
ついに観念したのか、紫色の宝石は石像から離れ、私の手のひらの上に収まりました。そして、数秒程の沈黙をしてから……さらさらと砂のようになって、どこかへ飛んで行ってしまいました。
「い、いたい……苦しい……魔力が、奪われる……わたしが、わたしじゃなくなる……絶対許さない……復讐……殺してやる……!」
虚な表情を浮かべるルナの言葉から察するに、魔法で拘束された状態で、魔力を無理やり奪われ、瘴気の魔法を維持しているのですね。同時に、逃げられないように痛みを与え、逃げられなくすると……なんて酷い仕打ちなの!?
「なるほど、聖女を生贄にするというのは、本当だったようだね……サーシャ、すぐに魔法を止めれば、まだ助かるかもしれない!」
「わかりました!」
返事をしたのはいいですが、一体何をどうすれば魔法を止められるのでしょうか。なにか、部屋の中に手がかりは……。
「……あれ、こんな宝石なんて、石像にはまってたでしょうか?」
この部屋には、何回も通っておりましたが、聖女様の石像にこんな宝石があるのは、見たことがございません。
それに、よく調べてみますと、この宝石からとても強くて禍々しい魔力を感じます。そして、それが魔法陣に魔力を提供していることも。部屋の中に残った瘴気のせいで、わかりにくくなっていたのですね。
「これを外せば、魔法の解除が出来るかもしれませんわ!」
「なんだって!? よし、そうと決まればさっそく取り外そう!」
私の代わりに、レナード様が宝石に触れようとした瞬間、何かが割れるような音と共に、レナード様の体が弾き飛ばされ、壁に叩きつけられました。
「レナード様!? 大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。怪我は無いよ」
「ならよかったですわ……それにしても今の力は、一体……?」
「ここにも、魔法を妨害されないための何かが施されているんだろう。ここを守る結界もそうだったが、どれだけ昔の人は用心深かったんだろうね」
元々自爆して、共倒れするためのものと仰っておりましたから、用心深くなるのも仕方がない気はしますわ。
「レナード様、もしこの宝石の守りが、外の結界と同じでしたら、瘴気を利用してるのではないでしょうか?」
「その可能性は高そうだ。サーシャ、何度もすまないが……頼めるかい?」
「はい、お任せください」
私は聖女の魔力を両手に込め、浄化魔法を使いながら宝石を引き抜こうとしました。すると、今までで一番強力な瘴気が、宝石から勢いよく噴射して最後の抵抗をしてきました。
「う、うぐっ……な、なんて瘴気ですの……!?」
体に結界を張っているはずなのに、自分の体の中にどんどんと瘴気が浸食してくのがわかります。このままでは、数分もしないうちに私達は瘴気に侵され、命を失うでしょう。
そうなれば、もう魔法を止められる者がいなくなり、この国に住む民も、生命も、大地も死を迎える……そんなの……そんなの!!
「冗談じゃありません! 絶対に認めませんわ!! 私は聖女として、誰も傷つけさせたりしません!!」
「サーシャ……!!」
「ぐっ……あ、諦めません……!!」
必死に耐えながら、宝石を引き抜こうと頑張りますが、現実とは残酷なもの……私の強い決意とは裏腹に、段々と私は宝石の瘴気に押し戻され、石像から離されてしまいました。
このままでは、私は押し負けてしまう……それでも諦めずに抵抗していると、背中を力強く支えられる感覚を感じました。
「大丈夫、君なら出来るさ! 俺も、持てる力を全て使って、君を支えるよ!」
「レナード様……!」
ああ、このお方はどこまでも私のことを信じてくださるのですね。私、あなたとなら……どんな困難でも乗り越えられますわ!
「いくよ、ちょっと変な感じかもしれないけど、すぐに慣れる!」
「これは……!?」
レナード様の体を通して、私の体の中に大きな魔力が流れ込んできます。もしかしてこれは、レナード様の魔力?
「俺には聖女の魔法は使えないけど、俺の魔力を君に渡すことは出来る! 少しでも役に立ててくれ!」
「ありがとうございます、とても心強いですわ!」
強すぎる瘴気に苦戦をしながらではありましたが、レナード様の献身的なサポートのおかげで、私は再び石像の前まで来ることが出来ました。
「これより、宝石の結界の破壊、そして宝石の破壊をします!」
私は、再び宝石に手を伸ばします。しかし、宝石も最後の抵抗といわんばかりに、瘴気を噴出して抵抗してきますが……頼れる未来の夫が支えられる私には、悪あがきにもなりませんでした。
「これで……終わりです!!」
ついに観念したのか、紫色の宝石は石像から離れ、私の手のひらの上に収まりました。そして、数秒程の沈黙をしてから……さらさらと砂のようになって、どこかへ飛んで行ってしまいました。
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