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第四十七話 新たな力を求めて
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「…………」
私を抱きしめながら話してくれた内容は、私にとって衝撃でした。
レナード様の村のことが……聞いてるだけでつらすぎて……涙がこぼれてしましました。当事者だったレナード様の悲しみは、私には計り知れません。
逃げてる時も心細かったでしょうし、疲労でボロボロになって……そんな状況で、私と会ったんですわね。
しっかり聞いたのに、やっぱり記憶は戻っていないみたいです。何とも歯がゆいけど、私達の過去を知れたのは良かったです。
「レナード様、貴重なお話しをしてくださり、ありがとうございます。私はそろそろ行きますので、ゆっくりしていてください」
「まだ休んだ方がいいんじゃないか?」
「大丈夫です!」
「………………わかった。ありがとう、サーシャ」
「必ず私が治しますから、これからも一緒に幸せになりましょうね」
私はレナード様にキスをしてから、部屋から勢いよく飛び出すと、全力疾走でクラージュ家の書庫へとやってきました。
ここにはまだ多くの本があるので、もしかしたら治療の手がかりがあると思って、再び来たのですが……。
「みつからない……」
探しても探しても、有用そうな情報が見つかりません。これでは、私が治る手立てを見つける前に、レナード様は……!
「そんなの嫌……どうして私はこんなに弱いの……私がもっと力があれば、レナード様を治せるのに……もっと! もっと!! も……きゃあ!」
私の力への渇望に反応するように、何もない所から赤く光る、ぽわぽわしたものが出てきました。
このぽわぽわは、一体何なのかしら……悪意があるようには感じませんが……そう思っていると、ぽわぽわは部屋の中を飛び回り、最終的に書庫の端っこで埃をかぶっている本のところで止まりました。
「もしかして、その本を読めってことかしら? え~っと……これは、古い歴史の本ですわね……」
本の内容を簡単に要約すると、昔の聖女が力を欲する時、聖女しかたどり着けない神々の祭壇という場所で一人で赴いて試練を受けて、認められると新たな力を手に入れていた――そんな文言が書いてありました。
「もしかして、ここにいって試練を受ければ、レナード様が助かる方法を見つかるかもしれない! この本の内容が本当かどうかはわかりませんが……このままでは、確実にレナード様は助からない……一か八か、行ってみましょう!」
私は、急いで使用人に動きやすい服に身支度をしてもらい、馬車の用意もしてもらいました。そして、間髪入れずに馬車に乗りこみました。
……レナード様勝手に外出することをお許しください。私は必ず、あなたを治す力を手に入れてきますから、もう少しだけ待っててください!
****
「ここが……?」
本には、祭壇は深い森の中にあると記載されてましたのに、目の前に広がっているのは砂漠でした。
「サーシャ様、本当に行かれるのですか……?」
「レナード様を治す手立てがあるのなら、砂漠でも関係ありませんわ」
「いけません! あまりも危険です!」
「危険でも、私がやらなければレナード様は助けられないのです!」
ここまで連れて来て下さった御者の制止を振り切って、砂漠を進もうとすると、御者は私の手を強く掴んできました。
「離してください! 私はレナード様を……!」
「サーシャ様、これを使ってください」
御者が渡してくれたのは、水の魔力が込められた、青い魔石でした。
「これを使うと、熱から身を守る泡が出てきます。これを利用して、熱さを凌いでください。魔石から飲み水を出して飲むことも可能ですが、この石に蓄えている魔力には限りがあるので、気を付けてください」
「あ、ありがとうございます」
「それと、これもお持ちください。私が持っているこの石と共鳴して、私がいる方角がわかるようになりものです。これがあれば、帰りに迷子にならずに済みます」
私にもう一つの意志を手渡しながら、御者は深々と溜息を漏らしました。
「本当は、私もお供したいのですが……」
「ここに来るまでにお話しましたが、一人で祭壇に向かわないといけないのです。それに、あなたを巻き込むわけにはまいりませんもの。では……行ってまいります」
私は御者と別れて、広大な砂漠を一人歩きだしました。本当は何人か連れていった方が安全なのでしょうが、本には試練は一人で行くように書いてありましたの。
不安ではありますが、レナード様のためと思えば、これくらい問題ありません。早く祭壇を見つけなくては――そう意気込んだのは良かったですが。
「はぁ……はぁ……」
歩いても歩いても、あるのは砂ばかり。それに加えて、魔法の守りがあるのに、確実に熱が私の体力を奪ってくるせいで、足元がフラフラしてきました。
元々数日にわたる治療のせいで、体力が無い状態でしたので、より一層過酷に感じます。
「……でも、レナード様は……もっとおつらい思いをしてきたのだから……私だって、負けませんわ!」
どこにあるかもわからない祭壇を求めて、一歩一歩確実に砂漠を進んで行く。
道中で砂嵐に襲われたり、こんな所に本当に祭壇があるのかという不安に襲われたりもしましたが、それでもめげずに探索を続けていると……いつの間にか、辺りは暗くなっていました。
「へくしっ! 夜の砂漠は冷えると聞いていましたが……まさか、ここまでとは思いませんでしたわ……」
あれだけ暑かった砂漠が、今では震える程寒くなっております。この気温の変化についていけるほど、私の体は丈夫ではありません。
「早く探さないといけないのに……体が、動きませんわ……それに、凄く眠い……」
広大な砂漠の中で、私は力尽きてその場で座り込んでしまいました。
あまりにも軽率だった。しっかり休んで体力を回復するとか、砂漠とわかった段階で引き返して準備をするとか、いくらでもやりようはありましたのに、はやる気持ちを抑えられなくて、全てを疎かににした結果が、この有様だなんて……。
「だ、駄目よサーシャ……こんな所で寝たら……今もレナード様は苦しんでいるんだから……今頑張らないで、いつ頑張るの……」
自分を鼓舞しても、体は全く伴いません。それどころか、私を嘲笑うかのように、睡魔がどんどんと私に襲い掛かってきます。
「あき、らめません……わ……たし……レナード様、待っててください……えっ?」
僅かに残った気力だけで立ち上がろうとした瞬間、突然私の前には、書庫で見た赤いぽわぽわが出てきました。
「あなた、どうしてここに……」
私の疑問に答えるように、ぽわぽわは私の周りを一周してから、どこかに向かってゆっくりと飛んでいきました。
……ひょっとして、私を案内してくれているのかしら? さっきも本を見つけてくれましたし、きっとそうですわ!
「ぽわぽわさん、私を導いてくださいませ……!」
残っているわずかな体力と気力を振り絞り、ぽわぽわの後を追いかけます。私の状態をわかってくれているのか、ぽわぽわの動きがゆっくりなのが、とてもありがたいです。
「はぁ……はぁ……」
体力は相変わらず限界ですが、動いているおかげで寒さが少し和らいできました。これなら、もう少し動けそうですわ。
「……これは……?」
ゆっくりぽわぽわの後を追いかけていると、大きな岩のような所でぽわぽわが止まりました。
一見すると、何の変哲もない岩ですが、周りは砂だらけなのにここだけ岩があるのはおかしな話です。きっとここに、なにかあるのでしょう。
「……調べても、なにもありませんわね……」
考えるのよ、私。きっとここには、聖女しか行けない祭壇への手がかりがあるはず……ちょっとまって、聖女……?
「もしかして、聖女しか行けないって……」
私は残った体力を使って、聖女の魔法を岩に向かって使ってみました。すると、岩が眩い光を放ち始めると同時に、辺りから地響きが起こり始めた。
「一体何が……きゃっ!!」
目の前で起こった現象に驚いて、思わずその場で尻餅をついてしまいました。
なぜなら、先程光り始めた岩がせり上がり、その岩が地下へと伸びる入口となったからです――
私を抱きしめながら話してくれた内容は、私にとって衝撃でした。
レナード様の村のことが……聞いてるだけでつらすぎて……涙がこぼれてしましました。当事者だったレナード様の悲しみは、私には計り知れません。
逃げてる時も心細かったでしょうし、疲労でボロボロになって……そんな状況で、私と会ったんですわね。
しっかり聞いたのに、やっぱり記憶は戻っていないみたいです。何とも歯がゆいけど、私達の過去を知れたのは良かったです。
「レナード様、貴重なお話しをしてくださり、ありがとうございます。私はそろそろ行きますので、ゆっくりしていてください」
「まだ休んだ方がいいんじゃないか?」
「大丈夫です!」
「………………わかった。ありがとう、サーシャ」
「必ず私が治しますから、これからも一緒に幸せになりましょうね」
私はレナード様にキスをしてから、部屋から勢いよく飛び出すと、全力疾走でクラージュ家の書庫へとやってきました。
ここにはまだ多くの本があるので、もしかしたら治療の手がかりがあると思って、再び来たのですが……。
「みつからない……」
探しても探しても、有用そうな情報が見つかりません。これでは、私が治る手立てを見つける前に、レナード様は……!
「そんなの嫌……どうして私はこんなに弱いの……私がもっと力があれば、レナード様を治せるのに……もっと! もっと!! も……きゃあ!」
私の力への渇望に反応するように、何もない所から赤く光る、ぽわぽわしたものが出てきました。
このぽわぽわは、一体何なのかしら……悪意があるようには感じませんが……そう思っていると、ぽわぽわは部屋の中を飛び回り、最終的に書庫の端っこで埃をかぶっている本のところで止まりました。
「もしかして、その本を読めってことかしら? え~っと……これは、古い歴史の本ですわね……」
本の内容を簡単に要約すると、昔の聖女が力を欲する時、聖女しかたどり着けない神々の祭壇という場所で一人で赴いて試練を受けて、認められると新たな力を手に入れていた――そんな文言が書いてありました。
「もしかして、ここにいって試練を受ければ、レナード様が助かる方法を見つかるかもしれない! この本の内容が本当かどうかはわかりませんが……このままでは、確実にレナード様は助からない……一か八か、行ってみましょう!」
私は、急いで使用人に動きやすい服に身支度をしてもらい、馬車の用意もしてもらいました。そして、間髪入れずに馬車に乗りこみました。
……レナード様勝手に外出することをお許しください。私は必ず、あなたを治す力を手に入れてきますから、もう少しだけ待っててください!
****
「ここが……?」
本には、祭壇は深い森の中にあると記載されてましたのに、目の前に広がっているのは砂漠でした。
「サーシャ様、本当に行かれるのですか……?」
「レナード様を治す手立てがあるのなら、砂漠でも関係ありませんわ」
「いけません! あまりも危険です!」
「危険でも、私がやらなければレナード様は助けられないのです!」
ここまで連れて来て下さった御者の制止を振り切って、砂漠を進もうとすると、御者は私の手を強く掴んできました。
「離してください! 私はレナード様を……!」
「サーシャ様、これを使ってください」
御者が渡してくれたのは、水の魔力が込められた、青い魔石でした。
「これを使うと、熱から身を守る泡が出てきます。これを利用して、熱さを凌いでください。魔石から飲み水を出して飲むことも可能ですが、この石に蓄えている魔力には限りがあるので、気を付けてください」
「あ、ありがとうございます」
「それと、これもお持ちください。私が持っているこの石と共鳴して、私がいる方角がわかるようになりものです。これがあれば、帰りに迷子にならずに済みます」
私にもう一つの意志を手渡しながら、御者は深々と溜息を漏らしました。
「本当は、私もお供したいのですが……」
「ここに来るまでにお話しましたが、一人で祭壇に向かわないといけないのです。それに、あなたを巻き込むわけにはまいりませんもの。では……行ってまいります」
私は御者と別れて、広大な砂漠を一人歩きだしました。本当は何人か連れていった方が安全なのでしょうが、本には試練は一人で行くように書いてありましたの。
不安ではありますが、レナード様のためと思えば、これくらい問題ありません。早く祭壇を見つけなくては――そう意気込んだのは良かったですが。
「はぁ……はぁ……」
歩いても歩いても、あるのは砂ばかり。それに加えて、魔法の守りがあるのに、確実に熱が私の体力を奪ってくるせいで、足元がフラフラしてきました。
元々数日にわたる治療のせいで、体力が無い状態でしたので、より一層過酷に感じます。
「……でも、レナード様は……もっとおつらい思いをしてきたのだから……私だって、負けませんわ!」
どこにあるかもわからない祭壇を求めて、一歩一歩確実に砂漠を進んで行く。
道中で砂嵐に襲われたり、こんな所に本当に祭壇があるのかという不安に襲われたりもしましたが、それでもめげずに探索を続けていると……いつの間にか、辺りは暗くなっていました。
「へくしっ! 夜の砂漠は冷えると聞いていましたが……まさか、ここまでとは思いませんでしたわ……」
あれだけ暑かった砂漠が、今では震える程寒くなっております。この気温の変化についていけるほど、私の体は丈夫ではありません。
「早く探さないといけないのに……体が、動きませんわ……それに、凄く眠い……」
広大な砂漠の中で、私は力尽きてその場で座り込んでしまいました。
あまりにも軽率だった。しっかり休んで体力を回復するとか、砂漠とわかった段階で引き返して準備をするとか、いくらでもやりようはありましたのに、はやる気持ちを抑えられなくて、全てを疎かににした結果が、この有様だなんて……。
「だ、駄目よサーシャ……こんな所で寝たら……今もレナード様は苦しんでいるんだから……今頑張らないで、いつ頑張るの……」
自分を鼓舞しても、体は全く伴いません。それどころか、私を嘲笑うかのように、睡魔がどんどんと私に襲い掛かってきます。
「あき、らめません……わ……たし……レナード様、待っててください……えっ?」
僅かに残った気力だけで立ち上がろうとした瞬間、突然私の前には、書庫で見た赤いぽわぽわが出てきました。
「あなた、どうしてここに……」
私の疑問に答えるように、ぽわぽわは私の周りを一周してから、どこかに向かってゆっくりと飛んでいきました。
……ひょっとして、私を案内してくれているのかしら? さっきも本を見つけてくれましたし、きっとそうですわ!
「ぽわぽわさん、私を導いてくださいませ……!」
残っているわずかな体力と気力を振り絞り、ぽわぽわの後を追いかけます。私の状態をわかってくれているのか、ぽわぽわの動きがゆっくりなのが、とてもありがたいです。
「はぁ……はぁ……」
体力は相変わらず限界ですが、動いているおかげで寒さが少し和らいできました。これなら、もう少し動けそうですわ。
「……これは……?」
ゆっくりぽわぽわの後を追いかけていると、大きな岩のような所でぽわぽわが止まりました。
一見すると、何の変哲もない岩ですが、周りは砂だらけなのにここだけ岩があるのはおかしな話です。きっとここに、なにかあるのでしょう。
「……調べても、なにもありませんわね……」
考えるのよ、私。きっとここには、聖女しか行けない祭壇への手がかりがあるはず……ちょっとまって、聖女……?
「もしかして、聖女しか行けないって……」
私は残った体力を使って、聖女の魔法を岩に向かって使ってみました。すると、岩が眩い光を放ち始めると同時に、辺りから地響きが起こり始めた。
「一体何が……きゃっ!!」
目の前で起こった現象に驚いて、思わずその場で尻餅をついてしまいました。
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