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第三十九話 プレゼントを求めて
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クラージュ家の屋敷を出発してから一時間ほどで、私を乗せた馬車は大きな町にある、とあるお店へとやってきました。
ここに来る途中に御者から伺ったのですが、ここはこの辺りではとても有名なお店で、多くのお方が依頼に来るそうです。
「ご到着いたしました。このお店の店主は、とても職人気質で気難しいお方ですので、お気をつけて」
「わかりました。では、行ってまいります」
緊張で高鳴る胸を抑えながら、ゆっくりとお店の中に入ると、中には目を見張るような、綺麗なドレスやタキシードが展示されておりました。
私は服に詳しいわけではございませんが、そんな私が服を拝見しただけで感動してしまうくらい、このお店に並んでいる品の品質は高いですわ……!
「あ、あの~……どなたかいらっしゃいませんか?」
「…………」
誰もいないお店の中で、おずおずと声をかけてみると、奥から腰が大きく曲がった、お年をとても召した男性が出てきました。
いかにも頑固そうなその男性を見ていると、思わず身構えてしまうような凄みがございます。
「はじめまして。本日はとある物を売っていただきたくて参りました」
「うちは一見の客は断ってるんだ。わかったらさっさと帰んな。しっしっ」
き、来てから一分もしないうちに衝撃の展開になったのですが!? いつもなら、それなら仕方がないと引き下がるのですが、事情が事情なので、引き下がるわけにはまいりませんわ!
「私は、クラージュ家の者です。当主であるジェラール様が、長年懇意にしているお店と伺ってまいりました」
「ほう。あんた、ジェラールの旦那の……だが、旦那の家にあんたのような人間がいるとは、聞いたことがないな」
「最近、クラージュ家でお世話になるようになりましたの」
「信用できねーな。クラージュ家の名前を利用しているようにしか聞こえん」
……確かに、いきなりそんなことを言われたら、そう思うのも無理はありません。何か証明できるものがあればよいのですが、そんな都合のいい物は持ち合わせておりません。
こうなったら、なんとかして信じてもらうためにも、誠心誠意対応いたしましょう。
「事情があって家を出て、ジェラール様のご子息様であるレナード様と婚約をして、クラージュ家で生活するようになりましたの」
「レナードの坊ちゃんと結婚だぁ? 随分と大きく出たな……まあいい。そこまで言うなら、ちょっと待ってろ。いいか、クラージュ家の名を騙っておいて逃げたら……わかってるな」
凄みのある顔で睨まれた私は、覚悟を決めて頷き、その場から一歩も動かずに待っていると、数分程で彼が戻ってきました。
「待たせたな。今、旦那と通話石で連絡を取ってきた。あんたの名前を聞かせてくれ」
「サーシャ・メルヴェイと申します」
「旦那が言っていた名前だな」
ジェラール様、このお方と通話が出来る通話石をお持ちでしたのね。それに、今頃はきっと外でお仕事をされているはずなのに、わざわざ対応してくれて……今度帰ってきた際に、お礼を伝えませんとね。
「嬢ちゃん、疑って悪かった。最近、適当な嘘をついてこの店の品を買い、他の場所で高値で転売する馬鹿が多くてな」
「まあ、そんな不届き者がいるだなんて、許せませんわね」
このお方が丹精込めて作ったものを、汚い商売に使われてしまうだなんて、絶対に許されない行為ですわ。
「まったくだ。んで、今日は何の用だ?」
「そうでした……このお店は、とても質の良い服を仕立ててくれると耳にしております。そして、その服に合った、高品質なハンカチも作ってくださると」
「その通りだ。服を仕立ててほしいのか? それとも、ハンカチを売ってほしいのか?」
彼の問いかけに、私は小さく頷いてみせました。
「レナード様が本日お誕生日なので、ハンカチをプレゼントにしようと思いまして」
「おいおい、そういうのは事前に依頼を出しておくもんだろ。そうすりゃ、坊ちゃんに合う一品が作れたんだが」
「か、返す言葉もございませんわ……実は、お誕生日のことは、昨晩お聞きしたもので……」
痛いところを突かれてしまいましたわ。彼のおっしゃる通り、普通はこういうのは事前に依頼を出して、時間をかけて素晴らしい品にしてもらうのが普通ですわ……。
「なるほどなぁ。ハンカチか……今ある品の中なら、こいつとかどうだ?」
「わぁ……とても綺麗な刺繍がされたハンカチでございますわ!」
お花の刺繍がされた、美しいレースのハンカチとの出会いは、私に衝撃を与えました。それくらい、このハンカチは美しく、まるで芸術品のようでしたわ!
「最近の作品の中でも、かなりの自信作でな。このバラの刺繍なんか、かなり細部までこだわって作ってんだよ」
「素晴らしい腕ですのね。私、感服いたしました」
「伊達に六十年はやってねえってな。んで、買うか?」
「……ちなみに、こちらのお値段は?」
「そうだな……これくらいでどうだ?」
彼から提示された金額は、私の想定していたよりも、いくらか低いものでした。これにはさすがに驚きを隠せませんわ。
「こんなにお安くしていただいてよろしいのですか!?」
「旦那には昔から世話になってるのと、嬢ちゃんを嘘つき呼ばわりした詫びさ」
「そんな、私は全然気にしておりませんわ」
「嬢ちゃんが気にしなくても、ワシの職人魂が気にすんのよ」
初めてニカッと笑った彼を見ていると、せっかくの好意を無下にするのは、なんだか申し訳なく感じてきますわ。
「んで、どうする?」
「……わかりました。あなたのご厚意に甘えることにいたしますわ」
「交渉成立だな。プレゼント用にラッピングと、ハンカチの微調整をしてやっから、ちょっとまってな」
「はい、よろしくお願いいたします」
ふう、気難しい職人様を相手に、どうなることかと思ってましたが、無事に購入できて良かったです。あとは、明日このプレゼントを渡すだけですわ……!
「ふふっ、喜んでくれるかしら……」
「おう、待たせたな……って、なにニヤニヤしながら突っ立ってんだ?」
「ふぇっ!?」
しまった、妄想をしているところを見られてしまいましたわ……恥ずかしすぎます……!
「な、なんでもございませんわ! えっと、こちら代金です!」
「おう、確かに。旦那と坊ちゃんにもよろしく伝えておいてくれ」
「わかりましたわ!」
居心地が悪くなってしまった私は、逃げるようにお店を後にしました。
私としたことが、なんてはしたない所を見せてしまったのでしょう……これは、しばらく引きずってしまうかもしれません……。
ここに来る途中に御者から伺ったのですが、ここはこの辺りではとても有名なお店で、多くのお方が依頼に来るそうです。
「ご到着いたしました。このお店の店主は、とても職人気質で気難しいお方ですので、お気をつけて」
「わかりました。では、行ってまいります」
緊張で高鳴る胸を抑えながら、ゆっくりとお店の中に入ると、中には目を見張るような、綺麗なドレスやタキシードが展示されておりました。
私は服に詳しいわけではございませんが、そんな私が服を拝見しただけで感動してしまうくらい、このお店に並んでいる品の品質は高いですわ……!
「あ、あの~……どなたかいらっしゃいませんか?」
「…………」
誰もいないお店の中で、おずおずと声をかけてみると、奥から腰が大きく曲がった、お年をとても召した男性が出てきました。
いかにも頑固そうなその男性を見ていると、思わず身構えてしまうような凄みがございます。
「はじめまして。本日はとある物を売っていただきたくて参りました」
「うちは一見の客は断ってるんだ。わかったらさっさと帰んな。しっしっ」
き、来てから一分もしないうちに衝撃の展開になったのですが!? いつもなら、それなら仕方がないと引き下がるのですが、事情が事情なので、引き下がるわけにはまいりませんわ!
「私は、クラージュ家の者です。当主であるジェラール様が、長年懇意にしているお店と伺ってまいりました」
「ほう。あんた、ジェラールの旦那の……だが、旦那の家にあんたのような人間がいるとは、聞いたことがないな」
「最近、クラージュ家でお世話になるようになりましたの」
「信用できねーな。クラージュ家の名前を利用しているようにしか聞こえん」
……確かに、いきなりそんなことを言われたら、そう思うのも無理はありません。何か証明できるものがあればよいのですが、そんな都合のいい物は持ち合わせておりません。
こうなったら、なんとかして信じてもらうためにも、誠心誠意対応いたしましょう。
「事情があって家を出て、ジェラール様のご子息様であるレナード様と婚約をして、クラージュ家で生活するようになりましたの」
「レナードの坊ちゃんと結婚だぁ? 随分と大きく出たな……まあいい。そこまで言うなら、ちょっと待ってろ。いいか、クラージュ家の名を騙っておいて逃げたら……わかってるな」
凄みのある顔で睨まれた私は、覚悟を決めて頷き、その場から一歩も動かずに待っていると、数分程で彼が戻ってきました。
「待たせたな。今、旦那と通話石で連絡を取ってきた。あんたの名前を聞かせてくれ」
「サーシャ・メルヴェイと申します」
「旦那が言っていた名前だな」
ジェラール様、このお方と通話が出来る通話石をお持ちでしたのね。それに、今頃はきっと外でお仕事をされているはずなのに、わざわざ対応してくれて……今度帰ってきた際に、お礼を伝えませんとね。
「嬢ちゃん、疑って悪かった。最近、適当な嘘をついてこの店の品を買い、他の場所で高値で転売する馬鹿が多くてな」
「まあ、そんな不届き者がいるだなんて、許せませんわね」
このお方が丹精込めて作ったものを、汚い商売に使われてしまうだなんて、絶対に許されない行為ですわ。
「まったくだ。んで、今日は何の用だ?」
「そうでした……このお店は、とても質の良い服を仕立ててくれると耳にしております。そして、その服に合った、高品質なハンカチも作ってくださると」
「その通りだ。服を仕立ててほしいのか? それとも、ハンカチを売ってほしいのか?」
彼の問いかけに、私は小さく頷いてみせました。
「レナード様が本日お誕生日なので、ハンカチをプレゼントにしようと思いまして」
「おいおい、そういうのは事前に依頼を出しておくもんだろ。そうすりゃ、坊ちゃんに合う一品が作れたんだが」
「か、返す言葉もございませんわ……実は、お誕生日のことは、昨晩お聞きしたもので……」
痛いところを突かれてしまいましたわ。彼のおっしゃる通り、普通はこういうのは事前に依頼を出して、時間をかけて素晴らしい品にしてもらうのが普通ですわ……。
「なるほどなぁ。ハンカチか……今ある品の中なら、こいつとかどうだ?」
「わぁ……とても綺麗な刺繍がされたハンカチでございますわ!」
お花の刺繍がされた、美しいレースのハンカチとの出会いは、私に衝撃を与えました。それくらい、このハンカチは美しく、まるで芸術品のようでしたわ!
「最近の作品の中でも、かなりの自信作でな。このバラの刺繍なんか、かなり細部までこだわって作ってんだよ」
「素晴らしい腕ですのね。私、感服いたしました」
「伊達に六十年はやってねえってな。んで、買うか?」
「……ちなみに、こちらのお値段は?」
「そうだな……これくらいでどうだ?」
彼から提示された金額は、私の想定していたよりも、いくらか低いものでした。これにはさすがに驚きを隠せませんわ。
「こんなにお安くしていただいてよろしいのですか!?」
「旦那には昔から世話になってるのと、嬢ちゃんを嘘つき呼ばわりした詫びさ」
「そんな、私は全然気にしておりませんわ」
「嬢ちゃんが気にしなくても、ワシの職人魂が気にすんのよ」
初めてニカッと笑った彼を見ていると、せっかくの好意を無下にするのは、なんだか申し訳なく感じてきますわ。
「んで、どうする?」
「……わかりました。あなたのご厚意に甘えることにいたしますわ」
「交渉成立だな。プレゼント用にラッピングと、ハンカチの微調整をしてやっから、ちょっとまってな」
「はい、よろしくお願いいたします」
ふう、気難しい職人様を相手に、どうなることかと思ってましたが、無事に購入できて良かったです。あとは、明日このプレゼントを渡すだけですわ……!
「ふふっ、喜んでくれるかしら……」
「おう、待たせたな……って、なにニヤニヤしながら突っ立ってんだ?」
「ふぇっ!?」
しまった、妄想をしているところを見られてしまいましたわ……恥ずかしすぎます……!
「な、なんでもございませんわ! えっと、こちら代金です!」
「おう、確かに。旦那と坊ちゃんにもよろしく伝えておいてくれ」
「わかりましたわ!」
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