20 / 69
第二十話 貴族なんて自分勝手で当たり前さ
しおりを挟む
「はい、終わりましたわ」
「ありがとうございます、聖女様」
この村の瘴気を浄化し、結界も張り終えてから数日後、私はマリーちゃんの家でお世話になりながら、まだ治療が完了していない村人達の治療にあたっていました。
残っている方々は症状が軽い方なのもあり、私のことを見る程の余裕があったようで、私の赤い目に気づいて怯える人もいらっしゃいましたが、私が皆様を治してきた実績を知っているので、あまり強く言えなさそうな感じでしたわ。
とはいっても、そんな反応をするのはごく一部で、たくさんのお方は私に感謝を述べ、とても親しく接してくださいました。
「ふう……レナード様、次の患者の所に参りましょう」
「その必要は無い」
「え? どうしてですか?」
「今の人が、最後の患者だからさ」
「ほ、本当ですか!? やりましたわ……ばんざーい! ばんざーい!」
ここに来た時は、多くの人が瘴気に侵されてしまっていたのに、今はもうその苦しみから解放された。そう思ったら嬉しくて、レナード様の前で子供のように飛び跳ねてしまいましたわ。
「おお、無邪気に喜ぶサーシャも良い! 俺もつられて、天に届いてしまうほど飛び上がってしまいそうだよ!」
「れ、レナード様もお喜びになられているのはわかりましたから、飛んでいかないでください!」
普通に考えたらそんなことは不可能ですが、レナード様なら本当にやってしまいそうな、謎の信頼感があるのが不思議ですわ。
「おっと、喜ぶのは良いが、まずは今日までたくさん働いたサーシャを、屋敷で休ませなくちゃな。村の人に挨拶をしたら、屋敷に通話石で連絡して、迎えに来てもらおう」
「わかりました。それでは……」
真っ先に挨拶をするのに浮かんだ相手は、やはりここに来てからずっと交流をしている、マリーちゃんでした。
村の皆様が元気になったと伝えたら、きっと無邪気に喜んでくれるでしょう。今からその姿を見るのが、楽しみですわ。
「戻りました~!」
「あっ! おかえり~!」
レナード様と一緒にマリーちゃんの家に帰ると、マドレーヌ様と一緒に出迎えてくれました。その隣には、見覚えのある男性のご老人も立っておりました。
「おや……あなたは、村長様ではありませんか! もうお体はよろしいのですか?」
「ええ。おかげさまで、歩けるほどには回復しました」
このご老人は、この村の一番の年長者であり、長を務めているお方だ。瘴気のせいでとても具合が悪くなってしまい、治療が終わっても動けずにいたのですが、どうやら歩けるくらいには回復したようですね。本当に良かったです。
「ご無理はされないでくださいね。私の魔法で治療をしたとはいえ、体力を回復することはできませんから」
「心配いりませんぞ。衰えたとはいえ、まだまだ若い者には負けるつもりはありませんからな」
どうやら嘘とかではなく、本当に元気みたいでよかったですわ。
「今日はね、ママと一緒に栄養たっぷりスープを作ったの! 村長さんも食べていって!」
「ワシもいいのかね?」
「ええ。快気祝いということで……どうでしょうか、サーシャさん、レナードさん」
断る理由なんて何もないので、快く了承し、五人で食卓を囲むことになりました。
食事なんて、パーティーとかじゃなければ、いつもレナード様と二人だけだったので、とても新鮮ですわ。
「ふう、おいしい」
いたって普通の野菜スープなのですが、マドレーヌ様が愛情を込めて作ってくださったのか、とってもおいしいですわ!
「……村長、聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「もちろんですぞ」
「今回は、我々がここに来たから良かったですが……国には救援要請は出さなかったのですか?」
レナード様の質問を聞いた村長様は、どこか不機嫌そうに表情を曇らせながら、レナード様の質問に答え始めました。
「出しました。しかし取り合ってもらえませんでした。そんな辺境の村に裂く人員も費用も無いと、断られてしまいました」
「…………」
国のお抱えの聖女に診てもらえるのは、権力のある人間や大金を払った人間だけなのは、嫌というほど知っていますが、村一つが被害にあっているのなら、助かるのが国としてのあり方のはずなのに……。
「しかたなく、我々はこの村を捨てて逃げだそうとしましたが、瘴気の境目の所で見張りをしていた国の兵に追い返されてしまいました。無理に逃げれば、その場で処刑するとまで言われましてね」
国からしたら、瘴気を抱えた人間なんて、村から出したくない……その気持ちはわからなくもありません。
しかし、元はといえば、瘴気が領土に発生することがあり得ません。なぜなら、国のお抱えの聖女がそれを管理し、維持しているからです。それが何かしらの理由で不備が出たから、こうなったのではありませんか。
仮に国に落ち度がなくても、助けてあげるのが当然ではありませんか!
「まあ、そうでしょうね。彼らがやるはずが無い。権力者なんて、自分達以外の人間など、どうなってもいいと思っている連中ばかりですからね。別に驚く程のことでもありません」
そんなことはないと言いたいですが、その通りすぎて何も言えませんわ……。
「辺境の村なんて、あっても無くてもいい、それよりも重要なのは、瘴気を外部に持ち込まれないようにすること。そして、自分達の管理不足を外部に漏らさないようにすること。だから村人を隔離した。俺達が来た時に兵がいなかったのは、村人にはもう助けを呼ぶ力も、逃げる力も残されていないと判断した……全て憶測ですが、そんなところでしょう」
それが正しいとすると、国の上層部は自分達のミスは隠して、罪もない村人を見殺しにしようとしてたってことですの!? 最低すぎて、吐き気を催してしまいそうですわ!
「考えたって仕方がないさ。彼らがやらないなら、俺達がすればいい……そうだろう?」
「……はい、その通りです!」
「さて、馬車が来るまで少し時間がかかるようだが、何をしていようか……そうだ、互いに愛を囁き合うのはどうだろうか!」
「皆様の前で、何を仰ってるのですか!? それはまたの機会に!」
「またのってことは、今じゃなければいいんだな! くぅ……! 今から楽しみすぎて、眩暈がしてきたよ!」
瘴気という重圧から解放されたからなのか、レナード様の調子が以前のようになっているのは、きっと気のせいではないでしょう。
「その~……そうですわ! このままジッとしているのもあれですし、調子が悪くなった人がいないか、最後にもう一度見回りをしましょう!」
「その心がけは素晴らしいが、この数日で相当疲れただろう?」
「そうだよ、休んだ方がいいよ~!」
「今は時間に追われていませんから、大丈夫です。それに、おいしいスープのおかげで疲れなんてどこかに行ってしまいましたから! では皆様、行ってまいります!」
私はレナード様の手を引っ張って、マリーちゃんの家を後にしました。
仮にも私達は、この村に治療をしに来ているのだから、観光気分のような発言は適切ではないでしょう。でも、こう言った方が、きっとレナード様が納得してくれると思ったのです。
「……全く君という人は。わかった。君がそう言うなら、一緒に村を――うっ!?」
「れ、レナード様?」
「すまない、少し用事を思い出したから、席を外すよ。すぐに戻ってくるから、ここで待っててくれるか?」
「わかりましたわ。あの……私も一緒の方が良いですか?」
「いや、むしろ俺一人の方が都合がいいかな。それじゃあ、また後で」
家を出てから間も無く、まるでその場から逃げるように、レナード様は私の元を早足で去っていきました。
どうかしたのかしら……もしかして、私の発言が気に障ってしまったのでしょうか? もっと適切な言葉があったかもしれません……こんなことなら、もっと会話の練習をしておくべきでしたわ……。
「くくっ、あれが噂の聖女とやらか。ここにいるという噂を聞いた時は半信半疑だったが、本当だったとはな」
「アニキぃ、ホントにやるんすか? 瘴気が無くなってて、楽々潜入できたとはいえ……あいつ、例の赤い目を持ったバケモノですぜ?」
「馬鹿野郎、なにビビってやがる! こっちには、現地人の仲間がいるんだぜ!」
「へへっ、お任せください。あんな赤い目のバケモノを村から連れてってくれるなら、いくらでも協力しますよ」
「ありがてぇ。聖女で悪魔の子なんてレアな人間、物好きに高値で売れるに決まってるからな。さっさと行くぞ!」
「ありがとうございます、聖女様」
この村の瘴気を浄化し、結界も張り終えてから数日後、私はマリーちゃんの家でお世話になりながら、まだ治療が完了していない村人達の治療にあたっていました。
残っている方々は症状が軽い方なのもあり、私のことを見る程の余裕があったようで、私の赤い目に気づいて怯える人もいらっしゃいましたが、私が皆様を治してきた実績を知っているので、あまり強く言えなさそうな感じでしたわ。
とはいっても、そんな反応をするのはごく一部で、たくさんのお方は私に感謝を述べ、とても親しく接してくださいました。
「ふう……レナード様、次の患者の所に参りましょう」
「その必要は無い」
「え? どうしてですか?」
「今の人が、最後の患者だからさ」
「ほ、本当ですか!? やりましたわ……ばんざーい! ばんざーい!」
ここに来た時は、多くの人が瘴気に侵されてしまっていたのに、今はもうその苦しみから解放された。そう思ったら嬉しくて、レナード様の前で子供のように飛び跳ねてしまいましたわ。
「おお、無邪気に喜ぶサーシャも良い! 俺もつられて、天に届いてしまうほど飛び上がってしまいそうだよ!」
「れ、レナード様もお喜びになられているのはわかりましたから、飛んでいかないでください!」
普通に考えたらそんなことは不可能ですが、レナード様なら本当にやってしまいそうな、謎の信頼感があるのが不思議ですわ。
「おっと、喜ぶのは良いが、まずは今日までたくさん働いたサーシャを、屋敷で休ませなくちゃな。村の人に挨拶をしたら、屋敷に通話石で連絡して、迎えに来てもらおう」
「わかりました。それでは……」
真っ先に挨拶をするのに浮かんだ相手は、やはりここに来てからずっと交流をしている、マリーちゃんでした。
村の皆様が元気になったと伝えたら、きっと無邪気に喜んでくれるでしょう。今からその姿を見るのが、楽しみですわ。
「戻りました~!」
「あっ! おかえり~!」
レナード様と一緒にマリーちゃんの家に帰ると、マドレーヌ様と一緒に出迎えてくれました。その隣には、見覚えのある男性のご老人も立っておりました。
「おや……あなたは、村長様ではありませんか! もうお体はよろしいのですか?」
「ええ。おかげさまで、歩けるほどには回復しました」
このご老人は、この村の一番の年長者であり、長を務めているお方だ。瘴気のせいでとても具合が悪くなってしまい、治療が終わっても動けずにいたのですが、どうやら歩けるくらいには回復したようですね。本当に良かったです。
「ご無理はされないでくださいね。私の魔法で治療をしたとはいえ、体力を回復することはできませんから」
「心配いりませんぞ。衰えたとはいえ、まだまだ若い者には負けるつもりはありませんからな」
どうやら嘘とかではなく、本当に元気みたいでよかったですわ。
「今日はね、ママと一緒に栄養たっぷりスープを作ったの! 村長さんも食べていって!」
「ワシもいいのかね?」
「ええ。快気祝いということで……どうでしょうか、サーシャさん、レナードさん」
断る理由なんて何もないので、快く了承し、五人で食卓を囲むことになりました。
食事なんて、パーティーとかじゃなければ、いつもレナード様と二人だけだったので、とても新鮮ですわ。
「ふう、おいしい」
いたって普通の野菜スープなのですが、マドレーヌ様が愛情を込めて作ってくださったのか、とってもおいしいですわ!
「……村長、聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「もちろんですぞ」
「今回は、我々がここに来たから良かったですが……国には救援要請は出さなかったのですか?」
レナード様の質問を聞いた村長様は、どこか不機嫌そうに表情を曇らせながら、レナード様の質問に答え始めました。
「出しました。しかし取り合ってもらえませんでした。そんな辺境の村に裂く人員も費用も無いと、断られてしまいました」
「…………」
国のお抱えの聖女に診てもらえるのは、権力のある人間や大金を払った人間だけなのは、嫌というほど知っていますが、村一つが被害にあっているのなら、助かるのが国としてのあり方のはずなのに……。
「しかたなく、我々はこの村を捨てて逃げだそうとしましたが、瘴気の境目の所で見張りをしていた国の兵に追い返されてしまいました。無理に逃げれば、その場で処刑するとまで言われましてね」
国からしたら、瘴気を抱えた人間なんて、村から出したくない……その気持ちはわからなくもありません。
しかし、元はといえば、瘴気が領土に発生することがあり得ません。なぜなら、国のお抱えの聖女がそれを管理し、維持しているからです。それが何かしらの理由で不備が出たから、こうなったのではありませんか。
仮に国に落ち度がなくても、助けてあげるのが当然ではありませんか!
「まあ、そうでしょうね。彼らがやるはずが無い。権力者なんて、自分達以外の人間など、どうなってもいいと思っている連中ばかりですからね。別に驚く程のことでもありません」
そんなことはないと言いたいですが、その通りすぎて何も言えませんわ……。
「辺境の村なんて、あっても無くてもいい、それよりも重要なのは、瘴気を外部に持ち込まれないようにすること。そして、自分達の管理不足を外部に漏らさないようにすること。だから村人を隔離した。俺達が来た時に兵がいなかったのは、村人にはもう助けを呼ぶ力も、逃げる力も残されていないと判断した……全て憶測ですが、そんなところでしょう」
それが正しいとすると、国の上層部は自分達のミスは隠して、罪もない村人を見殺しにしようとしてたってことですの!? 最低すぎて、吐き気を催してしまいそうですわ!
「考えたって仕方がないさ。彼らがやらないなら、俺達がすればいい……そうだろう?」
「……はい、その通りです!」
「さて、馬車が来るまで少し時間がかかるようだが、何をしていようか……そうだ、互いに愛を囁き合うのはどうだろうか!」
「皆様の前で、何を仰ってるのですか!? それはまたの機会に!」
「またのってことは、今じゃなければいいんだな! くぅ……! 今から楽しみすぎて、眩暈がしてきたよ!」
瘴気という重圧から解放されたからなのか、レナード様の調子が以前のようになっているのは、きっと気のせいではないでしょう。
「その~……そうですわ! このままジッとしているのもあれですし、調子が悪くなった人がいないか、最後にもう一度見回りをしましょう!」
「その心がけは素晴らしいが、この数日で相当疲れただろう?」
「そうだよ、休んだ方がいいよ~!」
「今は時間に追われていませんから、大丈夫です。それに、おいしいスープのおかげで疲れなんてどこかに行ってしまいましたから! では皆様、行ってまいります!」
私はレナード様の手を引っ張って、マリーちゃんの家を後にしました。
仮にも私達は、この村に治療をしに来ているのだから、観光気分のような発言は適切ではないでしょう。でも、こう言った方が、きっとレナード様が納得してくれると思ったのです。
「……全く君という人は。わかった。君がそう言うなら、一緒に村を――うっ!?」
「れ、レナード様?」
「すまない、少し用事を思い出したから、席を外すよ。すぐに戻ってくるから、ここで待っててくれるか?」
「わかりましたわ。あの……私も一緒の方が良いですか?」
「いや、むしろ俺一人の方が都合がいいかな。それじゃあ、また後で」
家を出てから間も無く、まるでその場から逃げるように、レナード様は私の元を早足で去っていきました。
どうかしたのかしら……もしかして、私の発言が気に障ってしまったのでしょうか? もっと適切な言葉があったかもしれません……こんなことなら、もっと会話の練習をしておくべきでしたわ……。
「くくっ、あれが噂の聖女とやらか。ここにいるという噂を聞いた時は半信半疑だったが、本当だったとはな」
「アニキぃ、ホントにやるんすか? 瘴気が無くなってて、楽々潜入できたとはいえ……あいつ、例の赤い目を持ったバケモノですぜ?」
「馬鹿野郎、なにビビってやがる! こっちには、現地人の仲間がいるんだぜ!」
「へへっ、お任せください。あんな赤い目のバケモノを村から連れてってくれるなら、いくらでも協力しますよ」
「ありがてぇ。聖女で悪魔の子なんてレアな人間、物好きに高値で売れるに決まってるからな。さっさと行くぞ!」
409
お気に入りに追加
2,009
あなたにおすすめの小説

本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。

令嬢は大公に溺愛され過ぎている。
ユウ
恋愛
婚約者を妹に奪われた伯爵家令嬢のアレーシャ。
我儘で世間知らずの義妹は何もかも姉から奪い婚約者までも奪ってしまった。
侯爵家は見目麗しく華やかな妹を望み捨てられてしまう。
そんな中宮廷では英雄と謳われた大公殿下のお妃選びが囁かれる。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。


兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる