109 / 115
第百九話 奪還作戦
しおりを挟む
■オーウェン視点■
城にエリンが残ることが決まった後、俺は荷物を持って城を後にした。
てっきりカーティスの本性を知っている俺を、城を出る前に排除しようとするんじゃないかと警戒していたが、案外素直に城を出れたのは意外だった。
もしかしたら、俺と兵士がぶつかり合って騒ぎになるのを嫌ったのかもしれないな。それか、俺が言いふらしても問題無いと思っているのかもしれない。どう見ても、頭がよさそうには見えないしな……。
「なんにせよ、とにかく計画を実行しなくてはな」
俺は早足で、以前拠点にしていた病院へとやってきた。中は以前と同じように、多くの医療団の人達が忙しそうに行き来していた。
「おや、オーウェンさんじゃありませんか!?」
「メーディン殿、お久しぶりです。ご無事でなによりです」
「おかげさまで、なんとか石化病に侵されずにすんでおります。それよりも、城に連れていかれたと聞いておりましたが、解放されたのですか?」
「ええ、俺だけですが……その辺りの話は後にしましょう。まずは患者のところに案内してください。出来るだけ重症患者だとありがたい」
「は、はあ……こちらです」
メーディン殿の案内についていくと、一つ上の階にある病室へと案内された。そこに寝ていた患者は、相当石化病が進行しているように見える。
「うぅ……お、お母さん……お父さん……」
「よく頑張ったな。もう少しの辛抱だ」
病室の中で一番幼い子供に、エリンが作ってくれた薬を与える。すると、苦しそうに唸っていた子供は、歳相応の愛らしい寝顔に変わった。
「なっ……!? しょ、症状が……!」
「見ての通りです。今まで症状を抑えるために使っていた薬で、治るようになったんです」
本当は、精霊のことを話さないと正しい説明にならないのだが、今は一秒でも時間が惜しい。その辺りは、後で話せばいいだろう。
「この袋の中に、エリンの薬が入っています。数に限りはありますが……重症患者から使っていってください」
「わ、わかりました! すぐに他のスタッフにも共有します!」
慌ただしく出て行ったメーディン殿を見送った俺は、今いる病室の患者全員に薬を使い、症状を改善させた。
この調子でいけば、今も石化病に苦しんでいる人達を全員助けることが出来る……はずなんだが、王族がエリンを独占している現状だと、エリンの薬が行きわたらない。
……やはり、作戦通りにやるしか無さそうだ。一か八かではあるが……やらなければ犠牲者は増え続ける。やるしかない……!
****
城から持ってきたエリンの薬を全て使い切った後、俺は医療団の人間を出来る範囲で集め、事情の説明をした。
「……つまり、病気の原因をなんとかして、病気の力を弱めたから、エリンさんが今まで作っていた、症状を抑える薬で治るようになったと?」
「その通りです」
メーディン殿の質問に、俺は深く頷いてみせる。
ざっくりにとはいえ、石化病の弱体化の話をする時に精霊の話を出してしまったから、集まった人達は信じられないといった様子だった。
精霊という存在自体は認知していても、まさかそれが石化病の原因だなんて、夢にも思わないだろうから、信じられないのも当然だろう。
「なんてことだ……我々が、精霊様のことをただの伝説と思い、気にもしていなかったせいで……と、とりあえず精霊様の話は、今はおいておきましょう。現に今はエリンさんの薬で治っているのですしね。ただ、一つ問題がありまして」
「問題とは?」
「以前、エリンさんから同じ薬の作り方を共有してもらい、我々でそれを調合して患者に投薬していたものがあったので、先ほど再び投薬してみました」
「結果は?」
「少しは改善しましたが……彼女の薬には程遠いです。このままだと、治るより前に耐えきれない患者が増えるでしょう」
そうか……やはり、エリンが聖女の力を付与した薬が必要ということか。
「エリンについてですが、皆様にお話したいことがあります。これから話すことは、全て真実です」
俺の真剣な様子に感化されたのか、部屋の中が一層ピリッとした空気になる。そんな状態で、俺はゆっくりと口を開いた。
「アンデルク国王であるカーティス陛下が、エリンを城に幽閉して、石化病の薬を作らせております。しかし、その薬は自分の金儲けの道具としか思っておらず、国民に渡すつもりは一切無いようです」
俺の告白を聞いた医療団のスタッフ達から、どよめきが沸き起こった。本来なら国と民を守らなければいけない人間が、私利私欲のために動いてると知ったら、誰でもこうなるだろう。
「過去にもアンデルク王家は、幼いエリンの聖女の力に目を付けて、無理やり連れて来た後、薬の勉強および制作をさせていました。エリンはその薬が民に行き渡るものだと思ってたそうですが、全て王家が金儲けに使い、国民の手に渡ることはありませんでした」
「な、なんて酷い……なら、エリンさんを助けなければ!」
「メーディン殿の仰る通りです。このままでは、石化病の薬も行きわたらず、多くの死者が出るでしょう。もし乗り越えられても、腐りきった王家がいては国は衰退します。だから、皆様の力が必要なんです!」
俺はこの部屋にいるスタッフ全員に、一度ずつ目を合わせてから、深々と頭を下げた。
「俺は、エリンを……愛する人を助けたい。そして、腐った王家から、アンデルクの民と未来を守りたい! お願いします、俺に力を貸してください!」
俺の必死のお願いに対して返ってきたのは、沈黙だった。
俺がお願いしてることは、端的に言ってしまえば、国家への反逆だ。それを簡単に了承してもらえるとは思えない。
そう思っていると、突然病院を全てを揺らすような、大きな雄たけびが部屋の中に響き渡った。
「そんなのふざけるな! 国民をバカにするのもいい加減にしろ!!」
「そうよそうよ! 皆で協力して、エリンさんもアンデルクも救いましょう!」
「皆さん、お気持ちはわかりますが、ここは病院ですのでお静かに!」
病院が彼らの雄叫びで揺れる中、メーディン殿の一言で、自分達の置かれている状況を理解したようで、一気に部屋の中は静まり返った。
「オーウェンさん、ここにいる者は、この国と民を愛しております。だからこそ、今の王家を許すことが出来ません。我々も協力させてください!」
「ありがとうございます。では、皆様には今までの業務のほかに、今回の件をとにかく多くの国民に広めてください」
そう切り出してから、俺はエリンに伝えた作戦内容と同じようなことを、スタッフ全員に共有した。
あとは、一般の国民がどれだけ協力してくれるか……作戦に反対の人もいるだろうし、石化病で動けない人もたくさんいるだろうから、こればかりは作戦の実行日にならないとなんともいえないな……。
城にエリンが残ることが決まった後、俺は荷物を持って城を後にした。
てっきりカーティスの本性を知っている俺を、城を出る前に排除しようとするんじゃないかと警戒していたが、案外素直に城を出れたのは意外だった。
もしかしたら、俺と兵士がぶつかり合って騒ぎになるのを嫌ったのかもしれないな。それか、俺が言いふらしても問題無いと思っているのかもしれない。どう見ても、頭がよさそうには見えないしな……。
「なんにせよ、とにかく計画を実行しなくてはな」
俺は早足で、以前拠点にしていた病院へとやってきた。中は以前と同じように、多くの医療団の人達が忙しそうに行き来していた。
「おや、オーウェンさんじゃありませんか!?」
「メーディン殿、お久しぶりです。ご無事でなによりです」
「おかげさまで、なんとか石化病に侵されずにすんでおります。それよりも、城に連れていかれたと聞いておりましたが、解放されたのですか?」
「ええ、俺だけですが……その辺りの話は後にしましょう。まずは患者のところに案内してください。出来るだけ重症患者だとありがたい」
「は、はあ……こちらです」
メーディン殿の案内についていくと、一つ上の階にある病室へと案内された。そこに寝ていた患者は、相当石化病が進行しているように見える。
「うぅ……お、お母さん……お父さん……」
「よく頑張ったな。もう少しの辛抱だ」
病室の中で一番幼い子供に、エリンが作ってくれた薬を与える。すると、苦しそうに唸っていた子供は、歳相応の愛らしい寝顔に変わった。
「なっ……!? しょ、症状が……!」
「見ての通りです。今まで症状を抑えるために使っていた薬で、治るようになったんです」
本当は、精霊のことを話さないと正しい説明にならないのだが、今は一秒でも時間が惜しい。その辺りは、後で話せばいいだろう。
「この袋の中に、エリンの薬が入っています。数に限りはありますが……重症患者から使っていってください」
「わ、わかりました! すぐに他のスタッフにも共有します!」
慌ただしく出て行ったメーディン殿を見送った俺は、今いる病室の患者全員に薬を使い、症状を改善させた。
この調子でいけば、今も石化病に苦しんでいる人達を全員助けることが出来る……はずなんだが、王族がエリンを独占している現状だと、エリンの薬が行きわたらない。
……やはり、作戦通りにやるしか無さそうだ。一か八かではあるが……やらなければ犠牲者は増え続ける。やるしかない……!
****
城から持ってきたエリンの薬を全て使い切った後、俺は医療団の人間を出来る範囲で集め、事情の説明をした。
「……つまり、病気の原因をなんとかして、病気の力を弱めたから、エリンさんが今まで作っていた、症状を抑える薬で治るようになったと?」
「その通りです」
メーディン殿の質問に、俺は深く頷いてみせる。
ざっくりにとはいえ、石化病の弱体化の話をする時に精霊の話を出してしまったから、集まった人達は信じられないといった様子だった。
精霊という存在自体は認知していても、まさかそれが石化病の原因だなんて、夢にも思わないだろうから、信じられないのも当然だろう。
「なんてことだ……我々が、精霊様のことをただの伝説と思い、気にもしていなかったせいで……と、とりあえず精霊様の話は、今はおいておきましょう。現に今はエリンさんの薬で治っているのですしね。ただ、一つ問題がありまして」
「問題とは?」
「以前、エリンさんから同じ薬の作り方を共有してもらい、我々でそれを調合して患者に投薬していたものがあったので、先ほど再び投薬してみました」
「結果は?」
「少しは改善しましたが……彼女の薬には程遠いです。このままだと、治るより前に耐えきれない患者が増えるでしょう」
そうか……やはり、エリンが聖女の力を付与した薬が必要ということか。
「エリンについてですが、皆様にお話したいことがあります。これから話すことは、全て真実です」
俺の真剣な様子に感化されたのか、部屋の中が一層ピリッとした空気になる。そんな状態で、俺はゆっくりと口を開いた。
「アンデルク国王であるカーティス陛下が、エリンを城に幽閉して、石化病の薬を作らせております。しかし、その薬は自分の金儲けの道具としか思っておらず、国民に渡すつもりは一切無いようです」
俺の告白を聞いた医療団のスタッフ達から、どよめきが沸き起こった。本来なら国と民を守らなければいけない人間が、私利私欲のために動いてると知ったら、誰でもこうなるだろう。
「過去にもアンデルク王家は、幼いエリンの聖女の力に目を付けて、無理やり連れて来た後、薬の勉強および制作をさせていました。エリンはその薬が民に行き渡るものだと思ってたそうですが、全て王家が金儲けに使い、国民の手に渡ることはありませんでした」
「な、なんて酷い……なら、エリンさんを助けなければ!」
「メーディン殿の仰る通りです。このままでは、石化病の薬も行きわたらず、多くの死者が出るでしょう。もし乗り越えられても、腐りきった王家がいては国は衰退します。だから、皆様の力が必要なんです!」
俺はこの部屋にいるスタッフ全員に、一度ずつ目を合わせてから、深々と頭を下げた。
「俺は、エリンを……愛する人を助けたい。そして、腐った王家から、アンデルクの民と未来を守りたい! お願いします、俺に力を貸してください!」
俺の必死のお願いに対して返ってきたのは、沈黙だった。
俺がお願いしてることは、端的に言ってしまえば、国家への反逆だ。それを簡単に了承してもらえるとは思えない。
そう思っていると、突然病院を全てを揺らすような、大きな雄たけびが部屋の中に響き渡った。
「そんなのふざけるな! 国民をバカにするのもいい加減にしろ!!」
「そうよそうよ! 皆で協力して、エリンさんもアンデルクも救いましょう!」
「皆さん、お気持ちはわかりますが、ここは病院ですのでお静かに!」
病院が彼らの雄叫びで揺れる中、メーディン殿の一言で、自分達の置かれている状況を理解したようで、一気に部屋の中は静まり返った。
「オーウェンさん、ここにいる者は、この国と民を愛しております。だからこそ、今の王家を許すことが出来ません。我々も協力させてください!」
「ありがとうございます。では、皆様には今までの業務のほかに、今回の件をとにかく多くの国民に広めてください」
そう切り出してから、俺はエリンに伝えた作戦内容と同じようなことを、スタッフ全員に共有した。
あとは、一般の国民がどれだけ協力してくれるか……作戦に反対の人もいるだろうし、石化病で動けない人もたくさんいるだろうから、こればかりは作戦の実行日にならないとなんともいえないな……。
18
お気に入りに追加
1,301
あなたにおすすめの小説
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる