80 / 115
第八十話 ドキドキな食事
しおりを挟む
「わぁ、おいしそう!」
宿屋を一旦後にして、夕食を食べに出かけた私達は、近くにあった酒場にやってきた。そこで、宿屋のご主人がおススメしてくれた料理を注文した。
注文からそれほど待たずに出てきたものは、大きなパンで大きな魚のフライを挟んだ魚サンドに、野菜たっぷりのスープだ。ちなみに、オーウェン様は魚サンドに、コンソメスープだ。
ふんだんに使われたソースと、カラッと揚がったフライの良い香りが、食欲をそそる。スープもゴロゴロした野菜がたくさん入っていて、とても栄養と食べ応えがありそうだ。
「こんな大きなパンにかぶりつくのは、ちょっとはしたないですよね……ナイフとフォークを借りたりできるのでしょうか?」
「ガハハハッ!! 嬢ちゃん、酒場に来て周りを気にしてちゃ、おちおち飯も食えねーぜ!!」
「あ、そ……そうなんですね」
オーウェン様と話をしているつもりだったのに、近くでビールを浴びるように飲んでいた男性が代わりに答えた。
あービックリした……って、さっきの船の船長様じゃない! 隣の席で食事をしていたのに、全然気づかなかった! 急に話しかけられたというのもあるけど、大声だったから尚更ビックリしてしちゃったわ!
「なるほど。アトレ、せっかくの現地の人のアドバイスだ。その通りに食べようじゃないか」
「えぇ!? でも……はしたない姿をオーウェン様に見られてしまいます」
「なら、俺が先に食べるとしよう」
オーウェン様は、本当にナイフもフォークも使わずに、魚サンドを大きな口でかぶりついた。
……今のオーウェン様、なんだかいつもと違ってワイルドな感じで、とっても良かったわ。いつもの落ち着いたオーウェン様も大好きだけど、ワイルドなオーウェン様も好きだ。
「アトレには、俺の姿がはしたなく見えたか?」
「全然! いつもと違うワイルドな姿に、見惚れてしまいました!」
「そ、それはなによりだ……ごほんっ。俺がはしたなく見えなかったのなら、アトレだって大丈夫さ」
「そうでしょうか……わ、わかりました」
オーウェン様の後押しのおかげで、なんとか魚サンドに手を伸ばした私は、出来る限り大きく口を開いて、思い切りかぶりついた。
いつもはこんなに一口で食べないから、口の中が大変なことになっているけど……これは……!
「思った以上にさっぱりしてて、おいしいです! このソースのおかげなのかしら? 揚げ物なのにしつこくないから、いくらでも食べられそう……あっ……その、大丈夫でしたか?」
「…………」
「オーウェン様? や、やっぱりはしたな――」
「いや、違う。小さな口で一生懸命かぶりつこうとするアトレが、あまりにも可愛らしすぎて……新しい何かに目覚めてしまいそうだ」
「あ、あまりにも想定外な反応!?」
……ま、まあとにかく、これでとりあえず食べ進めることが出来る。いっぱい食べて、体力をつけなきゃ。
「オーウェン様! このスープ、すごくおいしいですよ! 一口食べませんか?」
「それじゃあいただこうかな」
「では……あ、ああ、あーん……」
前々からちょっとやってみたかった、あーんを実行に移す。これでスープをオーウェンに飲んでもらうという寸法だ。
こっちはただ差し出しているだけで、こんなに緊張しているんだから、貰う方はもっと緊張するだろう。
そう思っていたのだ……オーウェン様は緊張するどころか、とてもにこやかな笑みで、差し出したスプーンを口に入れた。
……あれ? これって間接キスになるわよね……? あ、あーんがしたいってことしか頭になくて、全然気づかなかった……恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。
本人と直接キスをしてるのに、何を言ってるんだって思われるかもしれないけど、恥ずかしいものは恥ずかしいの!
「顔が赤いが、どうかしたのか?」
「な、なんでもありませんよ! あはは……それで、おいしいですか?」
「うん、これもおいしいな。この酒場の料理は、どれも素晴らしい」
「わ、私も素晴らしいと思います。でも……」
「でも?」
「その……私はオーウェン様の作る料理が一番おいしいと思います」
改めて言うのは恥ずかしいけど、やっぱり私はオーウェン様の料理がこの世界で一番おいしいと思う。
料理の腕が高いというのもあるけど、なんていうか……オーウェン様の料理は、愛情を感じられて、何倍もおいしく感じられるの。け、決してオーウェン様に惚れちゃったからとかじゃないわよ?
「それはとても光栄だな。それなら、これからもアトレにとっての一番になりつづけるためにも、寝る間も惜しんで腕を磨かないといけないな」
「えぇ!? ダメですよ、ちゃんと睡眠はとらないと!」
「冗談さ。ちゃんと睡眠はとるよ。ああ、一番になり続けるのは本当だけどな」
「もう、オーウェン様ったら……」
こういう何気ない会話の中でも、私への気持ちを伝えてくるオーウェン様の愛情や優しさが、好きで好きでたまらない。なんとかだらしない顔をしないようにしてるけど、ちゃんと表情に出さずにいられてるだろうか……?
こういう時は、とりあえず話題を変えるべきだ。そうじゃないと、このままではいつかは私が耐えられなくなって、公共の場でだらしない顔になってしまうもの。
「お二人さん、ずいぶんと見せつけてくれるじゃねーの! おかげさんで、飲んでる酒が砂糖水かと思うくらいだぜ!」
「おや、船長殿。これは大変失礼した」
「ひっく……謝る必要はねーよ! 船乗りなんてしてると、こういう甘酸っぱいものが全くねーからよ! いいもん見させてもらったわ! あーあ、いつになったら俺様のところに、こんな人形さんみたいな可愛い女が来るんだー!?」
「なに言ってんすか船長、そんな強面で彼女が出来る未来なんて、絶対ありえないっすよ!」
「やかましいわ! 部下なら少しは上司を持ち上げやがれ!」
船長様は、口では怒っている雰囲気だけど、とても楽しそうに笑いながら、これまた楽しそうに笑う部下の方の頭にゲンコツをめり込ませた。
突然絡んできたけど、終始楽しそうな船長様を見ていると、なんだか元気がもらえる気がする。
「そうだ、いいものを見せてもらった礼に、一杯奢らせてくれや!」
「そんな、申し訳ないですよ」
「気にすんなって嬢ちゃん! こういう場では、遠慮はむしろ失礼になるんだぜ!」
「そうなんですか!?」
「失礼になるかはわからないが、せっかくの好意を無下にするのも申し訳ないな。アトレ、ご馳走になろう」
「……わかりました」
「よっしゃ、そうこなくっちゃな! おーい注文だー!」
終始押されぱなっしではあったが、とりあえず奢ってもらうことになってから数分後、私達の前に一つずつ飲み物が置かれた。
私の方は紫色の飲み物が、オーウェン様の方は黄金色でシュワシュワした飲み物だった。
「この辺りでは有名なビールだ! あ、もしかして兄ちゃんは酒飲めないか?」
「問題ありませんよ。普段は飲みませんが、飲めないわけではないので」
「私のは、ぶどうジュースですか?」
「おう! これもこの町では人気の飲み物で、特に女のファンが多いからよ!」
もしお酒だったら、一度も飲んだことが無いし、ちゃんと飲みきれるか不安に思ってたけど、至って普通のジュースみたいだし、これなら大丈夫そうだ。
「わあ、ちょっとだけ独特な香りだけど、甘くておい……し……?」
口の中にぶどうの芳醇な香りが広がったとほぼ同時に、頭がグルグルし始め、オーウェン様の顔が三つに見えはじめた。
それどころか、周りの景色もぐにゃぐにゃするし、なんだか体がどんどん熱くなって……な、なにこれぇ……?
宿屋を一旦後にして、夕食を食べに出かけた私達は、近くにあった酒場にやってきた。そこで、宿屋のご主人がおススメしてくれた料理を注文した。
注文からそれほど待たずに出てきたものは、大きなパンで大きな魚のフライを挟んだ魚サンドに、野菜たっぷりのスープだ。ちなみに、オーウェン様は魚サンドに、コンソメスープだ。
ふんだんに使われたソースと、カラッと揚がったフライの良い香りが、食欲をそそる。スープもゴロゴロした野菜がたくさん入っていて、とても栄養と食べ応えがありそうだ。
「こんな大きなパンにかぶりつくのは、ちょっとはしたないですよね……ナイフとフォークを借りたりできるのでしょうか?」
「ガハハハッ!! 嬢ちゃん、酒場に来て周りを気にしてちゃ、おちおち飯も食えねーぜ!!」
「あ、そ……そうなんですね」
オーウェン様と話をしているつもりだったのに、近くでビールを浴びるように飲んでいた男性が代わりに答えた。
あービックリした……って、さっきの船の船長様じゃない! 隣の席で食事をしていたのに、全然気づかなかった! 急に話しかけられたというのもあるけど、大声だったから尚更ビックリしてしちゃったわ!
「なるほど。アトレ、せっかくの現地の人のアドバイスだ。その通りに食べようじゃないか」
「えぇ!? でも……はしたない姿をオーウェン様に見られてしまいます」
「なら、俺が先に食べるとしよう」
オーウェン様は、本当にナイフもフォークも使わずに、魚サンドを大きな口でかぶりついた。
……今のオーウェン様、なんだかいつもと違ってワイルドな感じで、とっても良かったわ。いつもの落ち着いたオーウェン様も大好きだけど、ワイルドなオーウェン様も好きだ。
「アトレには、俺の姿がはしたなく見えたか?」
「全然! いつもと違うワイルドな姿に、見惚れてしまいました!」
「そ、それはなによりだ……ごほんっ。俺がはしたなく見えなかったのなら、アトレだって大丈夫さ」
「そうでしょうか……わ、わかりました」
オーウェン様の後押しのおかげで、なんとか魚サンドに手を伸ばした私は、出来る限り大きく口を開いて、思い切りかぶりついた。
いつもはこんなに一口で食べないから、口の中が大変なことになっているけど……これは……!
「思った以上にさっぱりしてて、おいしいです! このソースのおかげなのかしら? 揚げ物なのにしつこくないから、いくらでも食べられそう……あっ……その、大丈夫でしたか?」
「…………」
「オーウェン様? や、やっぱりはしたな――」
「いや、違う。小さな口で一生懸命かぶりつこうとするアトレが、あまりにも可愛らしすぎて……新しい何かに目覚めてしまいそうだ」
「あ、あまりにも想定外な反応!?」
……ま、まあとにかく、これでとりあえず食べ進めることが出来る。いっぱい食べて、体力をつけなきゃ。
「オーウェン様! このスープ、すごくおいしいですよ! 一口食べませんか?」
「それじゃあいただこうかな」
「では……あ、ああ、あーん……」
前々からちょっとやってみたかった、あーんを実行に移す。これでスープをオーウェンに飲んでもらうという寸法だ。
こっちはただ差し出しているだけで、こんなに緊張しているんだから、貰う方はもっと緊張するだろう。
そう思っていたのだ……オーウェン様は緊張するどころか、とてもにこやかな笑みで、差し出したスプーンを口に入れた。
……あれ? これって間接キスになるわよね……? あ、あーんがしたいってことしか頭になくて、全然気づかなかった……恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。
本人と直接キスをしてるのに、何を言ってるんだって思われるかもしれないけど、恥ずかしいものは恥ずかしいの!
「顔が赤いが、どうかしたのか?」
「な、なんでもありませんよ! あはは……それで、おいしいですか?」
「うん、これもおいしいな。この酒場の料理は、どれも素晴らしい」
「わ、私も素晴らしいと思います。でも……」
「でも?」
「その……私はオーウェン様の作る料理が一番おいしいと思います」
改めて言うのは恥ずかしいけど、やっぱり私はオーウェン様の料理がこの世界で一番おいしいと思う。
料理の腕が高いというのもあるけど、なんていうか……オーウェン様の料理は、愛情を感じられて、何倍もおいしく感じられるの。け、決してオーウェン様に惚れちゃったからとかじゃないわよ?
「それはとても光栄だな。それなら、これからもアトレにとっての一番になりつづけるためにも、寝る間も惜しんで腕を磨かないといけないな」
「えぇ!? ダメですよ、ちゃんと睡眠はとらないと!」
「冗談さ。ちゃんと睡眠はとるよ。ああ、一番になり続けるのは本当だけどな」
「もう、オーウェン様ったら……」
こういう何気ない会話の中でも、私への気持ちを伝えてくるオーウェン様の愛情や優しさが、好きで好きでたまらない。なんとかだらしない顔をしないようにしてるけど、ちゃんと表情に出さずにいられてるだろうか……?
こういう時は、とりあえず話題を変えるべきだ。そうじゃないと、このままではいつかは私が耐えられなくなって、公共の場でだらしない顔になってしまうもの。
「お二人さん、ずいぶんと見せつけてくれるじゃねーの! おかげさんで、飲んでる酒が砂糖水かと思うくらいだぜ!」
「おや、船長殿。これは大変失礼した」
「ひっく……謝る必要はねーよ! 船乗りなんてしてると、こういう甘酸っぱいものが全くねーからよ! いいもん見させてもらったわ! あーあ、いつになったら俺様のところに、こんな人形さんみたいな可愛い女が来るんだー!?」
「なに言ってんすか船長、そんな強面で彼女が出来る未来なんて、絶対ありえないっすよ!」
「やかましいわ! 部下なら少しは上司を持ち上げやがれ!」
船長様は、口では怒っている雰囲気だけど、とても楽しそうに笑いながら、これまた楽しそうに笑う部下の方の頭にゲンコツをめり込ませた。
突然絡んできたけど、終始楽しそうな船長様を見ていると、なんだか元気がもらえる気がする。
「そうだ、いいものを見せてもらった礼に、一杯奢らせてくれや!」
「そんな、申し訳ないですよ」
「気にすんなって嬢ちゃん! こういう場では、遠慮はむしろ失礼になるんだぜ!」
「そうなんですか!?」
「失礼になるかはわからないが、せっかくの好意を無下にするのも申し訳ないな。アトレ、ご馳走になろう」
「……わかりました」
「よっしゃ、そうこなくっちゃな! おーい注文だー!」
終始押されぱなっしではあったが、とりあえず奢ってもらうことになってから数分後、私達の前に一つずつ飲み物が置かれた。
私の方は紫色の飲み物が、オーウェン様の方は黄金色でシュワシュワした飲み物だった。
「この辺りでは有名なビールだ! あ、もしかして兄ちゃんは酒飲めないか?」
「問題ありませんよ。普段は飲みませんが、飲めないわけではないので」
「私のは、ぶどうジュースですか?」
「おう! これもこの町では人気の飲み物で、特に女のファンが多いからよ!」
もしお酒だったら、一度も飲んだことが無いし、ちゃんと飲みきれるか不安に思ってたけど、至って普通のジュースみたいだし、これなら大丈夫そうだ。
「わあ、ちょっとだけ独特な香りだけど、甘くておい……し……?」
口の中にぶどうの芳醇な香りが広がったとほぼ同時に、頭がグルグルし始め、オーウェン様の顔が三つに見えはじめた。
それどころか、周りの景色もぐにゃぐにゃするし、なんだか体がどんどん熱くなって……な、なにこれぇ……?
19
お気に入りに追加
1,305
あなたにおすすめの小説
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました
鈴宮ソラ
ファンタジー
オラルト伯爵家に生まれたレイは、水色の髪と瞳という非凡な容姿をしていた。あまりに両親に似ていないため両親は彼女を幼い頃から不気味だと虐待しつづける。
レイは考える事をやめた。辛いだけだから、苦しいだけだから。心を閉ざしてしまった。
十数年後。法官として勤めるエメリック公爵によって伯爵の罪は暴かれた。そして公爵はレイの並外れた才能を見抜き、言うのだった。
「私の娘になってください。」
と。
養女として迎えられたレイは家族のあたたかさを知り、貴族の世界で成長していく。
前題 公爵家の養子になりました~最強の氷魔法まで授かっていたようです~
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~
juice
ファンタジー
過去に名家を誇った辺境貴族の生まれで貴族の三女として生まれたミラ。
しかし、才能に嫉妬した兄や姉に虐げられて、ついに家を追い出されてしまった。
彼女は森で草を食べて生き抜き、その時に食べた草がただの草ではなく、ポーションの原料だった。そうとは知らず高級な薬草を食べまくった結果、体にも異変が……。
知らないうちに高価な材料を集めていたことから、冒険者兼薬師見習いを始めるミラ。
新しい街で新しい生活を始めることになるのだが――。
新生活の中で、兄姉たちの嘘が次々と暴かれることに。
そして、聖女にまつわる、実家の兄姉が隠したとんでもない事実を知ることになる。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる