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第四十七話 初デートへ
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「なんなのあの人……散々オーウェン様の悪口を言って……!」
エクシノ様が立ち去った後、恐怖で泣きつかれて寝てしまったココちゃんをベッドに寝かせた私は、唇をギュッと噛んだ。
「教会の一件で、俺が事情聴取を受けていたことを聞いて、直接貶しに来たのだろう。あの男はそういう人間だ。剣の腕は悪くないのだが……」
「あんな人が人々を守る騎士だなんて、信じられません。騎士というのは、オーウェン様のような素晴らしい人がなるべきです」
「エリンにそう言ってもらえるとは、光栄だな」
ああもう、思い出すだけで腹立たしいわ。あんな人が騎士を続けられて、オーウェン様のような人が辞めざるを得ない状況にされるなんて、理不尽すぎる!
「それにしても、あの力は一体なんだったんだ……?」
「明らかに人間業ではなかったですよね。昔も使えた……わけがないですよね?」
「もちろんだ」
ただの人間が、何もない地面から突然木を生やすなんて、絶対に不可能なことだ。あの力の正体はなんなのだろう? それに、あの力をどこで手に入れたの?
「少し思ったことがあるんだが」
「もしかして、何か心当たりがあるんですか?」
「いや、心当たりはないんだ。ただ……気を悪くしないでもらいたいんだが、人間離れした力という意味では、エリンの聖女の力も人間離れしていると思ってな」
言われてみれば、確かに普通の薬よりも、飛躍的に高い効果がある薬を作れたり、普通なら見ることも話すことも出来ない精霊様と心を通わせられる聖女の力も、普通ではない。
ひょっとしてエクシノ様には、普通の聖女とは違った特別な力があるとか……?
いやいや、さすがにそれはないだろう。一般的に、聖女はその名の通り女性しかなれないし、そもそも薬を作ることと、精霊様と心を通わせること以外の力なんて、聞いたことがない。
うーん……ダメね。考えても答えが導き出せる気がしないわ。相手は未知の力……普通の考えが及ぶと思えない。
「わからないことを考えても仕方がないですし、みんなケガは無かったんですから、良しとしましょう。それよりも、オーウェン様は大丈夫ですか?」
「俺? ああ、特にケガは無いよ」
「いえ、そういうことではなくて……あの方に酷いことを言われてたので」
「俺は大丈夫だよ。彼のああいう態度は、今に始まったことではない。同期として騎士団に入団してから、執拗に絡んできていたんだ」
「…………」
口では大丈夫と言っていても、本当にそうだとは限らない。そう思って心配する私の手が、オーウェン様の暖かい両手に包まれた。
「心配してくれてありがとう。俺は本当に大丈夫だ。だって、俺には心配してくれる大切な人達が傍にいてくれるからな」
「オーウェン様……私、何があってもオーウェン様の味方です」
「俺も、ずっとエリンの味方だよ。これからも三人で一緒に、アトレを続けていこう」
「……はいっ!」
思い出したくない過去を蒸し返されて、傷ついているはずなのに、私に心配をかけないように明るく振舞うなんて、本当にオーウェン様は優しい方だ。
そんなオーウェン様のことを、私は尊敬しているし、これからも一緒にいたいと思う。それと……本当にカッコよく見える。
それに比べて、エクシノ様にはオーウェン様の爪の垢を煎じて飲ませたいくらい、人間性が酷かったわ。どうしてあれで騎士になれたのだろう? 爵位を持つ家みたいだから、権力でどうにかしたとか?
「んぅ……どうかしたのぉ~?」
あっ……私の返事の声が大きすぎて、ココちゃんを起こしちゃった……。
「ごめんね。起こしちゃったわね」
「だいじょ~ぶ……あれ、どうしてお兄ちゃんと手を繋いでるの?」
「えっ?」
まだ少し寝ぼけているのか、ココちゃんはボーっとオーウェン様と繋いでいる手を眺める。それから数秒後、ココちゃんは突然大きく目を見開いた。
「……もしかしてわたし、おじゃま虫だったかな!? ぐ、ぐぅ~……ぐぅ~……わたしは寝てるよぉ~……だから続きをしてね~……すやぁ」
い、一体どんな勘違いをしたのかしら……? あとココちゃん、その寝たふりはとても可愛いけど、もうちょっと上手くやらないと意味が無いと思う……。
「お前は一体何を言っているんだ……」
「もう、ココちゃんったら……あっ! そうだ! エクシノ様のことで頭がいっぱいで、さっき作った薬をギルドに届けるのを忘れてたわ!」
可愛いココちゃんのことを見ていて癒されたおかげで、少し余裕が出来た私は、さっきまで依頼された薬を作っていたことを思いだした。
「そういえばそうだったな。だが、まだ納品期限まで時間はあるのだろう?」
「一番近い日数でも、三日はありますけど、一日でも早く依頼者に届けたいですから!」
まだ日数があるから、急ぐ必要は無いかもしれないけど、私は薬師として、一日でも早く届けて、治ってもらいたい。
「それじゃあ、ちょっとギルドに行ってきます」
「俺も行くよ」
「大丈夫なんですか?」
「問題ないよ。ココはどうする?」
突然話を振られたココちゃんは、少し考えこんだ後、小さく手をパンっと叩いた。
「うーん……あっ! わたしお留守番でもいいかな? ちょっぴり疲れちゃって」
「大丈夫? やっぱりオーウェン様も残った方が……」
「その方がいいかもしれないな……」
「いいからいいから! ほら……えーっと……一人で静かにお昼寝して、疲れを取りたいから! だから、寄り道してきてもいいから! むしろしてきて!」
「ココ、そんなに昼寝をしたら、夜に眠れなくなるぞ」
「あーもう! いいから行って気分転換してきて――あっ」
……なるほどね。つまりココちゃんは、あんな奴らに絡まれて疲れた私達を気遣って、リフレッシュして来いって言いたいのね。兄妹揃って、本当に優しいんだから。
「それじゃあ、お言葉に甘えて行ってくるよ。なにかあったらすぐに助けを呼ぶか、エリンの薬で撃退するんだよ」
「わかってるよ~。家からは出ないから大丈夫! あ、お昼は適当に済ませるから!」
「……やっぱり心配だわ……」
「も~、わたしはそこまで子供じゃないから! ほら、今日は気分転換デートってことで! いってらっしゃい!」
気分転換だけだと思ってたのに、デートまで付け加えられて動揺していると、ココちゃんに背中を押されて、家を追い出されてしまった。
うぅ、デートなんて言われたら、緊張してしまう……だって、男性とデートなんて……初めてのことだから……カーティス様と婚約を結んでいたとはいえ、たまにお茶を一緒にする程度だったし……。
そんな緊張を抱えながら、チラッとだけオーウェン様のことを見ると、丁度私に手が伸びるところだった。
「デートならエスコートは必要だろう。薬も俺が持っていく」
「あ、ありがとうございます」
「気にするな。さあ、出発しようか」
私とオーウェン様は、手を繋いだまま、ココちゃんに、見送られながら出発した。行き先はいつものギルドなのに、デートも兼ねていると思うと、気分が全然違うな……。
エクシノ様が立ち去った後、恐怖で泣きつかれて寝てしまったココちゃんをベッドに寝かせた私は、唇をギュッと噛んだ。
「教会の一件で、俺が事情聴取を受けていたことを聞いて、直接貶しに来たのだろう。あの男はそういう人間だ。剣の腕は悪くないのだが……」
「あんな人が人々を守る騎士だなんて、信じられません。騎士というのは、オーウェン様のような素晴らしい人がなるべきです」
「エリンにそう言ってもらえるとは、光栄だな」
ああもう、思い出すだけで腹立たしいわ。あんな人が騎士を続けられて、オーウェン様のような人が辞めざるを得ない状況にされるなんて、理不尽すぎる!
「それにしても、あの力は一体なんだったんだ……?」
「明らかに人間業ではなかったですよね。昔も使えた……わけがないですよね?」
「もちろんだ」
ただの人間が、何もない地面から突然木を生やすなんて、絶対に不可能なことだ。あの力の正体はなんなのだろう? それに、あの力をどこで手に入れたの?
「少し思ったことがあるんだが」
「もしかして、何か心当たりがあるんですか?」
「いや、心当たりはないんだ。ただ……気を悪くしないでもらいたいんだが、人間離れした力という意味では、エリンの聖女の力も人間離れしていると思ってな」
言われてみれば、確かに普通の薬よりも、飛躍的に高い効果がある薬を作れたり、普通なら見ることも話すことも出来ない精霊様と心を通わせられる聖女の力も、普通ではない。
ひょっとしてエクシノ様には、普通の聖女とは違った特別な力があるとか……?
いやいや、さすがにそれはないだろう。一般的に、聖女はその名の通り女性しかなれないし、そもそも薬を作ることと、精霊様と心を通わせること以外の力なんて、聞いたことがない。
うーん……ダメね。考えても答えが導き出せる気がしないわ。相手は未知の力……普通の考えが及ぶと思えない。
「わからないことを考えても仕方がないですし、みんなケガは無かったんですから、良しとしましょう。それよりも、オーウェン様は大丈夫ですか?」
「俺? ああ、特にケガは無いよ」
「いえ、そういうことではなくて……あの方に酷いことを言われてたので」
「俺は大丈夫だよ。彼のああいう態度は、今に始まったことではない。同期として騎士団に入団してから、執拗に絡んできていたんだ」
「…………」
口では大丈夫と言っていても、本当にそうだとは限らない。そう思って心配する私の手が、オーウェン様の暖かい両手に包まれた。
「心配してくれてありがとう。俺は本当に大丈夫だ。だって、俺には心配してくれる大切な人達が傍にいてくれるからな」
「オーウェン様……私、何があってもオーウェン様の味方です」
「俺も、ずっとエリンの味方だよ。これからも三人で一緒に、アトレを続けていこう」
「……はいっ!」
思い出したくない過去を蒸し返されて、傷ついているはずなのに、私に心配をかけないように明るく振舞うなんて、本当にオーウェン様は優しい方だ。
そんなオーウェン様のことを、私は尊敬しているし、これからも一緒にいたいと思う。それと……本当にカッコよく見える。
それに比べて、エクシノ様にはオーウェン様の爪の垢を煎じて飲ませたいくらい、人間性が酷かったわ。どうしてあれで騎士になれたのだろう? 爵位を持つ家みたいだから、権力でどうにかしたとか?
「んぅ……どうかしたのぉ~?」
あっ……私の返事の声が大きすぎて、ココちゃんを起こしちゃった……。
「ごめんね。起こしちゃったわね」
「だいじょ~ぶ……あれ、どうしてお兄ちゃんと手を繋いでるの?」
「えっ?」
まだ少し寝ぼけているのか、ココちゃんはボーっとオーウェン様と繋いでいる手を眺める。それから数秒後、ココちゃんは突然大きく目を見開いた。
「……もしかしてわたし、おじゃま虫だったかな!? ぐ、ぐぅ~……ぐぅ~……わたしは寝てるよぉ~……だから続きをしてね~……すやぁ」
い、一体どんな勘違いをしたのかしら……? あとココちゃん、その寝たふりはとても可愛いけど、もうちょっと上手くやらないと意味が無いと思う……。
「お前は一体何を言っているんだ……」
「もう、ココちゃんったら……あっ! そうだ! エクシノ様のことで頭がいっぱいで、さっき作った薬をギルドに届けるのを忘れてたわ!」
可愛いココちゃんのことを見ていて癒されたおかげで、少し余裕が出来た私は、さっきまで依頼された薬を作っていたことを思いだした。
「そういえばそうだったな。だが、まだ納品期限まで時間はあるのだろう?」
「一番近い日数でも、三日はありますけど、一日でも早く依頼者に届けたいですから!」
まだ日数があるから、急ぐ必要は無いかもしれないけど、私は薬師として、一日でも早く届けて、治ってもらいたい。
「それじゃあ、ちょっとギルドに行ってきます」
「俺も行くよ」
「大丈夫なんですか?」
「問題ないよ。ココはどうする?」
突然話を振られたココちゃんは、少し考えこんだ後、小さく手をパンっと叩いた。
「うーん……あっ! わたしお留守番でもいいかな? ちょっぴり疲れちゃって」
「大丈夫? やっぱりオーウェン様も残った方が……」
「その方がいいかもしれないな……」
「いいからいいから! ほら……えーっと……一人で静かにお昼寝して、疲れを取りたいから! だから、寄り道してきてもいいから! むしろしてきて!」
「ココ、そんなに昼寝をしたら、夜に眠れなくなるぞ」
「あーもう! いいから行って気分転換してきて――あっ」
……なるほどね。つまりココちゃんは、あんな奴らに絡まれて疲れた私達を気遣って、リフレッシュして来いって言いたいのね。兄妹揃って、本当に優しいんだから。
「それじゃあ、お言葉に甘えて行ってくるよ。なにかあったらすぐに助けを呼ぶか、エリンの薬で撃退するんだよ」
「わかってるよ~。家からは出ないから大丈夫! あ、お昼は適当に済ませるから!」
「……やっぱり心配だわ……」
「も~、わたしはそこまで子供じゃないから! ほら、今日は気分転換デートってことで! いってらっしゃい!」
気分転換だけだと思ってたのに、デートまで付け加えられて動揺していると、ココちゃんに背中を押されて、家を追い出されてしまった。
うぅ、デートなんて言われたら、緊張してしまう……だって、男性とデートなんて……初めてのことだから……カーティス様と婚約を結んでいたとはいえ、たまにお茶を一緒にする程度だったし……。
そんな緊張を抱えながら、チラッとだけオーウェン様のことを見ると、丁度私に手が伸びるところだった。
「デートならエスコートは必要だろう。薬も俺が持っていく」
「あ、ありがとうございます」
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