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第七十八話 期待の声
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無事に挨拶回りを終えた後、会場の隅でサイラス君と休んでいると、シャンパンの入ったグラスを提供された。
それとほぼ同時に、今日のパーティーの司会を務める初老の男性が、会場の壇上に上がり、ゴホンと咳ばらいをする。
「みなさま、本日はお忙しい中お集まりくださり、誠にありがとうございます。これより、国王陛下のお誕生日を祝して、宴を開かせていただきます。では、乾杯の前に、国王陛下からお言葉をいただきます」
「うむ。本日は、余の生誕を祝うために集ってくれたこと、心より礼をさせてほしい――」
壇上の上に、真っ白な長い髪に立派な口ひげ、貫禄と威厳を感じる風貌が特徴的な男性が立ち、挨拶を始める。
貴族といえど、国王様にお会いできる機会は、とても少ない。だから、多くの貴族は国王様に気に入ってもらい、色々と良くしてもらうために、機会をうかがっている人が多い。
私やサイラス君は、そういうのには興味が無いから、他の貴族の人達が挨拶が終わった頃に、ゆっくりと挨拶をさせていただくつもりだ。
「――以上を持って、余から皆への挨拶とさせてもらう」
「国王陛下様、ありがとうございました。では、このまま乾杯の音頭を取らせていただきます。皆様、グラスはお手にお持ちでしょうか?」
先程配られたグラスのことを言っているのだろう。私達は持っていると示すために、少しだけ掲げると、周りの人達も同じ様に掲げた。
「それでは……国王陛下様のご誕生を祝して、乾杯!」
司会の人の音頭と、グラスをぶつけ合う音が、宴の始まりを合図する。会場は多くの人達の話し声に包まれ始めた。
「レージュ君、レージュ君! このお料理、とってもおいしいよ! はい、あーん!」
「ミラ、自分で食べられるから……ほら、周りの人も見てるし……」
「いいじゃん、あたし達の仲の良さを見せつけちゃおうよ!」
あらあら、ミラってば本当に大胆ね。奥手な私の妹とは思えないくらいだわ。私もあれだけ積極的だったら、もう少し早くサイラス君とお付き合いできたのにね。
「ほう、なるほど……エリシア?」
「やらないわよ」
「…………」
「そ、そんな悲しそうな顔しないでよ……」
即座に察して断りを入れると、サイラス君はみるみると落ち込んでいってしまった。
それを見かねた私は、用意されていた料理をお皿に取り分けると、なるべく見られないように自分の体を壁にして、サイラス君の口元に運んであげた。
……なんだか私、以前に比べて、サイラス君に相当甘くなったような気がする。事情を知っている人が聞いたら、今更何を言っているんだって言われそうだけど。
「エリシアに食べさせてもらうと、おいしさが倍増するなぁ……!」
「ちょ、ちょっと。そんな泣くほどのようなことでもないでしょう。ほら、こっち向いて」
あーんをしたうえに泣きだすだなんて、さすがに周りの視線が怖い。そう思っていると、誰かが私の後ろに立った気配を感じて振り返る。
「話には聞いていたが、エリシアもミラも、仲睦まじいようでなによりだ」
「お、お父様!? えーっと、これは……その、国王様の挨拶に間にあって良かったですね! あ、あはは……」
「思った以上に、公務が早く終わってな」
今日は、お父様は別のお仕事があるため、少し遅れると聞いていた。それを利用して、咄嗟に露骨な話題逸らしに使ってしまった。
「こんばんは、チュレンヌ卿」
「こんばんは。今日も娘と親しくしてくれること、礼を言うぞ」
「いえ、そんな! お礼を言われるようなことではありませんよ! エリシアを愛することは、俺にとって呼吸をするのと同じくらい、当然のことですから!」
「ちょ、恥ずかしいことを言わないでよ、もうっ!」
これ以上は、恥ずかしすぎて死んじゃうから! もう顔から火が出そうだから! 帰ったらいくらでも言って良いから、せめて人前は控えてー!
「それは頼もしいな。そうだ、先程玄関でイリス殿とお会いしてな。知り合いと話してくるから、合流するのは少し遅くなるとのことだ」
「そうでしたか。わざわざお伝えしていただき、ありがとうございます」
それだけ伝えると、お父様は知り合いの人のところへと向かっていく。それと入れかわるように、今度は想定外の人がやってきた。
その人とは……まさかの、国王様だった。
「そなたらが、エリシアとサイラスかね?」
「こ、国王様!? えっと……は、はい! その通りでございます!」
「本日はこのような素敵な宴にご招待していただき、誠にありがとうございます」
多くの貴族の人達に、ひっきりなしに挨拶をされていたはずの国王様が、わざわざ私達のところに来て、声をかけてくれた衝撃は凄まじく、なんて喋ればいいかわからない。
一方、サイラス君は驚く程冷静に感謝の言葉を伝え、深々と頭を下げた。
「かしこまる必要も、緊張する必要も無い。余は、最近目覚ましい活躍をしているそなた達に、労いの言葉をかけに来たのだ」
「国王様が直々にですか!? 光栄ですわ!」
「うむ。多くの民を救っているそなたたちの活躍……この国を治めるものとして、深く感謝しておる。これからも、余のため人のために精進するといい」
国王様が自ら私達に期待の言葉を投げかけてくれた……それは、周りの貴族達も衝撃だったようで、動揺の声が上がっている。
中には、国王様に声をかけられたことを妬む言葉も聞こえてくるが、今の私はいっぱいいっぱいで、気にする余裕なんて無い。
「はい。国王陛下のご期待に添えられるよう、身を粉にして働く所存でございます」
「期待しておるぞ。では、宴を楽しんでくれたまえ」
終始威厳を保ったまま、国王様は私達の前から去っていった。
話を始めてから数分も経っていないのに、なんだかどっと疲れちゃった……さっきまでサイラス君とイチャイチャしていたのが、嘘みたいだ。
「ふぅ……驚いたな。エリシアとイチャイチャしてることを、叱りに来たのかと思ったよ」
「さすがに、一国の王様がそんなことを言うとは思えないわよ……でも、気持ちはわかるわ。私なんか、驚きすぎて頭の中が真っ白だったもの」
こちらから話しかけたり、事前に話しかけてくることがわかっていれば、心の準備が出来ていたけど、それがない状態で一国の王様と話すなんて、私には難しいわ。
「……あっ」
驚きと妬みの言葉が聞こえてくる中、マグナス様と再び目が合った。
……おかしい、私の知っているマグナス様なら、国王様に声をかけてもらえたところを見たら、気に入らなくて態度に出るはずだ。
なのに、今のマグナス様からは余裕を感じる。やつれているせいか、気味が悪くも感じるわ。
……今のマグナス様には、あまり関わらない方が良さそうね。なにをされるか、わかったものじゃないわ。
「エリシア、少し部屋の隅っこにいようか。ここは少々居心地が悪い」
「ええ、そうしま――」
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
サイラス君の言葉に賛同する私の言葉を遮るように、悲鳴が会場の中に響き渡る。
明らかにただごとじゃない。そう思って悲鳴を上げた女性の元に向かうと、若い男性が血を吐いて倒れていた。
しかも、倒れたのはその男性だけではなく、何人もの人たちが、同じ症状でバタバタと倒れていった。
その中には、国王様やイリス様、そして……レージュ様の姿もあった。
それとほぼ同時に、今日のパーティーの司会を務める初老の男性が、会場の壇上に上がり、ゴホンと咳ばらいをする。
「みなさま、本日はお忙しい中お集まりくださり、誠にありがとうございます。これより、国王陛下のお誕生日を祝して、宴を開かせていただきます。では、乾杯の前に、国王陛下からお言葉をいただきます」
「うむ。本日は、余の生誕を祝うために集ってくれたこと、心より礼をさせてほしい――」
壇上の上に、真っ白な長い髪に立派な口ひげ、貫禄と威厳を感じる風貌が特徴的な男性が立ち、挨拶を始める。
貴族といえど、国王様にお会いできる機会は、とても少ない。だから、多くの貴族は国王様に気に入ってもらい、色々と良くしてもらうために、機会をうかがっている人が多い。
私やサイラス君は、そういうのには興味が無いから、他の貴族の人達が挨拶が終わった頃に、ゆっくりと挨拶をさせていただくつもりだ。
「――以上を持って、余から皆への挨拶とさせてもらう」
「国王陛下様、ありがとうございました。では、このまま乾杯の音頭を取らせていただきます。皆様、グラスはお手にお持ちでしょうか?」
先程配られたグラスのことを言っているのだろう。私達は持っていると示すために、少しだけ掲げると、周りの人達も同じ様に掲げた。
「それでは……国王陛下様のご誕生を祝して、乾杯!」
司会の人の音頭と、グラスをぶつけ合う音が、宴の始まりを合図する。会場は多くの人達の話し声に包まれ始めた。
「レージュ君、レージュ君! このお料理、とってもおいしいよ! はい、あーん!」
「ミラ、自分で食べられるから……ほら、周りの人も見てるし……」
「いいじゃん、あたし達の仲の良さを見せつけちゃおうよ!」
あらあら、ミラってば本当に大胆ね。奥手な私の妹とは思えないくらいだわ。私もあれだけ積極的だったら、もう少し早くサイラス君とお付き合いできたのにね。
「ほう、なるほど……エリシア?」
「やらないわよ」
「…………」
「そ、そんな悲しそうな顔しないでよ……」
即座に察して断りを入れると、サイラス君はみるみると落ち込んでいってしまった。
それを見かねた私は、用意されていた料理をお皿に取り分けると、なるべく見られないように自分の体を壁にして、サイラス君の口元に運んであげた。
……なんだか私、以前に比べて、サイラス君に相当甘くなったような気がする。事情を知っている人が聞いたら、今更何を言っているんだって言われそうだけど。
「エリシアに食べさせてもらうと、おいしさが倍増するなぁ……!」
「ちょ、ちょっと。そんな泣くほどのようなことでもないでしょう。ほら、こっち向いて」
あーんをしたうえに泣きだすだなんて、さすがに周りの視線が怖い。そう思っていると、誰かが私の後ろに立った気配を感じて振り返る。
「話には聞いていたが、エリシアもミラも、仲睦まじいようでなによりだ」
「お、お父様!? えーっと、これは……その、国王様の挨拶に間にあって良かったですね! あ、あはは……」
「思った以上に、公務が早く終わってな」
今日は、お父様は別のお仕事があるため、少し遅れると聞いていた。それを利用して、咄嗟に露骨な話題逸らしに使ってしまった。
「こんばんは、チュレンヌ卿」
「こんばんは。今日も娘と親しくしてくれること、礼を言うぞ」
「いえ、そんな! お礼を言われるようなことではありませんよ! エリシアを愛することは、俺にとって呼吸をするのと同じくらい、当然のことですから!」
「ちょ、恥ずかしいことを言わないでよ、もうっ!」
これ以上は、恥ずかしすぎて死んじゃうから! もう顔から火が出そうだから! 帰ったらいくらでも言って良いから、せめて人前は控えてー!
「それは頼もしいな。そうだ、先程玄関でイリス殿とお会いしてな。知り合いと話してくるから、合流するのは少し遅くなるとのことだ」
「そうでしたか。わざわざお伝えしていただき、ありがとうございます」
それだけ伝えると、お父様は知り合いの人のところへと向かっていく。それと入れかわるように、今度は想定外の人がやってきた。
その人とは……まさかの、国王様だった。
「そなたらが、エリシアとサイラスかね?」
「こ、国王様!? えっと……は、はい! その通りでございます!」
「本日はこのような素敵な宴にご招待していただき、誠にありがとうございます」
多くの貴族の人達に、ひっきりなしに挨拶をされていたはずの国王様が、わざわざ私達のところに来て、声をかけてくれた衝撃は凄まじく、なんて喋ればいいかわからない。
一方、サイラス君は驚く程冷静に感謝の言葉を伝え、深々と頭を下げた。
「かしこまる必要も、緊張する必要も無い。余は、最近目覚ましい活躍をしているそなた達に、労いの言葉をかけに来たのだ」
「国王様が直々にですか!? 光栄ですわ!」
「うむ。多くの民を救っているそなたたちの活躍……この国を治めるものとして、深く感謝しておる。これからも、余のため人のために精進するといい」
国王様が自ら私達に期待の言葉を投げかけてくれた……それは、周りの貴族達も衝撃だったようで、動揺の声が上がっている。
中には、国王様に声をかけられたことを妬む言葉も聞こえてくるが、今の私はいっぱいいっぱいで、気にする余裕なんて無い。
「はい。国王陛下のご期待に添えられるよう、身を粉にして働く所存でございます」
「期待しておるぞ。では、宴を楽しんでくれたまえ」
終始威厳を保ったまま、国王様は私達の前から去っていった。
話を始めてから数分も経っていないのに、なんだかどっと疲れちゃった……さっきまでサイラス君とイチャイチャしていたのが、嘘みたいだ。
「ふぅ……驚いたな。エリシアとイチャイチャしてることを、叱りに来たのかと思ったよ」
「さすがに、一国の王様がそんなことを言うとは思えないわよ……でも、気持ちはわかるわ。私なんか、驚きすぎて頭の中が真っ白だったもの」
こちらから話しかけたり、事前に話しかけてくることがわかっていれば、心の準備が出来ていたけど、それがない状態で一国の王様と話すなんて、私には難しいわ。
「……あっ」
驚きと妬みの言葉が聞こえてくる中、マグナス様と再び目が合った。
……おかしい、私の知っているマグナス様なら、国王様に声をかけてもらえたところを見たら、気に入らなくて態度に出るはずだ。
なのに、今のマグナス様からは余裕を感じる。やつれているせいか、気味が悪くも感じるわ。
……今のマグナス様には、あまり関わらない方が良さそうね。なにをされるか、わかったものじゃないわ。
「エリシア、少し部屋の隅っこにいようか。ここは少々居心地が悪い」
「ええ、そうしま――」
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
サイラス君の言葉に賛同する私の言葉を遮るように、悲鳴が会場の中に響き渡る。
明らかにただごとじゃない。そう思って悲鳴を上げた女性の元に向かうと、若い男性が血を吐いて倒れていた。
しかも、倒れたのはその男性だけではなく、何人もの人たちが、同じ症状でバタバタと倒れていった。
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