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第六十四話 結婚の挨拶
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付き合い始めてから最初の日曜日。私とサイラス君は、とある場所に向かうために、馬車に揺られていた。
実は、私は事前にお父様に手紙を出して、サイラス君と話したいことがあるから会いたいという旨を伝えたの。
そうしたら、すぐに予定をあけてくれたから、こうしてお父様の好意に甘えて、実家に帰ることになった。
目的はただ一つ。私達の結婚を、お父様に許してもらうことだ。イリス様の時はすぐに許しを貰えたけど、お父様もそうだとは限らない。
「俺の格好、おかしくないか?」
「大丈夫、格好良いわよ」
「ありがとう。エリシアも綺麗だよ」
「あっ……んう……」
馬車のキャビンの中で、近くで座っている私達は、重ねるだけの優しいキスをした。外からは見えないけど、家以外の場所でするのは、いつもよりも緊張する。
そんなことをしている間に、私の実家である、チュレンヌ家の屋敷が見えてきた。
「君の父上と会うのは、随分と久しぶりだな……娘はやらん! って門前払いをされたらどうしよう……」
「大丈夫よ、お父様はそんな怖い人じゃないわ」
「だからこそだよ! 君は一度、結婚で嫌な思いをしている。優しい彼のことだから、君をもう誰かに嫁にやるのなんて、二度と許さん! ってなってもおかしくないだろ……?」
「言いたいことはわかるけど、少なくとも、あなたからギルドにスカウトされたことも、一緒に住むことも、あなたなら大丈夫だって仰ってたわよ」
「仕事とか一緒に住むことは、結婚と違うじゃないか! ああ、許されますように……許されますように……」
いつも前向きなサイラス君にしては、驚く程後ろ向きだ。それほど緊張しているということだろう。
もしかしたら、さっき突然キスしてきたのも、なんとかして緊張を和らげるためだったのかも……?
「百歩譲って、お父様が駄目だと言ったとしても、私が絶対に説得するわ。それこそ、土下座でもしてお願いするから」
「そ、そこまでしなくても……」
「なに言ってるのよ。そこまでしてでも、許しを得たいの。そもそも、結婚出来るなら、土下座なんて安いものよ」
許しを得る代わりに、例えば灼熱の中で一日中土下座しろとか、片腕を差し出せと言われても、私は喜んでするだろう。
お父様がそこまでの要求をすることはないけど、それくらいの覚悟はあるということよ。
「絶対に大丈夫よ。さあ、行きましょう」
「あ、ああ」
私はサイラス君と手を繋いだ馬車を降りると、いつも帰ってきた時と同じように、使用人達に出迎えられた。
その中には、妹のミラもいたのだけれど……。
「お姉様、おかえり……」
「ミラ! どうしたのその顔……?」
私を出迎えてくれたミラは、全然元気がない。なんだかやつれているというか……まるで別人だ。
「ううん、なんでもない……お父様が待ってるから、早く行ってあげて」
「え、ええ……話が終わったら会いに来るから」
「うん……」
明らかに元気がないミラを放っておくのもあれだけだけど、本来の目的を果たさないと。そう考えていると、実家にいた時に私の面倒をよく見てくれていた使用人である、エレーヌがやってきた。
「おかえりなさいませ、エリシア様。お元気そうで何よりですわ」
「ただいま、エレーヌ! あなたも元気そうで良かったわ!」
「おかえりなさいませ。そちらの殿方が、サイラス様ですね。はじめまして、エレーヌと申します」
「はじめまして」
そういえば、エレーヌとサイラス君は、初対面だったわね。サイラス君との付き合いは長いから、既に知り合いだと勘違いしていたわ。
「エリシア様から、彼女が学生の頃から、お話を伺っております。とても明るくて人当たりの良い、素晴らしい殿方で、一緒にいると楽しいと」
「ちょ、ちょっとエレーヌ!?」
「確か……ごほん、マグナス様に何を言われても、あの人だけは一緒にいてくれるの! 本当に優しくて、素敵な殿方なのよ! と、興奮気味に仰っておりました」
「わ、わー! わー!!」
私の恥ずかしい過去をバラされたくなくて、必死に抵抗をしてみるけど、既に遅かった。
「もうっ! いいから早くお父様のところに案内して頂戴!」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
我ながら、あまりにも強引ではあったものの、なんとか話を逸らすことに成功した。
まだ本番はこれからだというのに、なんだかどっと疲れたわ……。
「エリシア、さっきのって、君が今言ったことじゃないよな?」
「もちろんよ。自分からあんな恥ずかしい暴露をする趣味はないもの」
「なら、あれは君の真似だよな? 凄すぎるだろ……本人が喋っているようにしか聞こえなかった」
あれ、これってもしかして、エレーヌのモノマネの技術力が高すぎて、私の恥ずかしい話が、あまり頭に残っていない可能性があるかも? あぁよかった……。
「ところでエリシア……話は変わるんだが……君の妹って、あんな感じの女性だったか……? 前に会った時は、もっと元気一杯だったと思うんだが……」
「サイラス君の想像通りの子よ。正直、私もビックリしているの。前に会った時は、いつも通りだったのに……一体何があったのかしら……?」
お父様の待つ部屋に向かう途中、サイラス君が投げかけてきた言葉に、私は首を傾げる。
これから大切な話をしにいくのに、ミラのことが頭から離れない。大切な妹が豹変していたら、姉として心配するのは当然だもの。
……駄目、今は無理にでも気にしないようにしなきゃ。これで、もしミラを気にしてるせいでちゃんと話が出来なかったら、それを聞いたミラが余計に元気を無くしちゃう。
「ご主人様。エリシア様とサイラス様がお見えです」
「ああ、通してくれ」
応接室にやってくると、いつもと変わらないお父様が出迎えてくれた。さっきミラと会ったばかりだから、いつも通りのお父様を見て、安心感を覚えた。
「おかえり、エリシア。そしてサイラス、随分と大きくなったな。うむ、とても逞しくなった!」
「お、お褒めの言葉、大変恐縮でございます!」
「お父様、さっそくなのですが……」
「はやる気持ちはわかるが、とりあえず座りなさい」
はやくお父様に結婚の話をしたくて、立ったまま話をするところだった。もう少し落ち着かないとね。
「今日は、結婚の件で話をしに来たのだろう?」
「実は私達……って、えっ?」
おかしい、どうして完全に言い当てられたの? 私、わかるようなことは何も伝えていないのに……。
「どうしてご存じなのですか!?」
「実は、エリシアが家を出てから、イリス殿と懇意にしてもらっていてな。何度も会食を開いているのだ。つい先日も会食をしたのだが、その際にイリス殿から二人が交際を始めたことを聞いたのだ」
そんな話、イリス様から全然聞いたことがなかったから、驚きを隠せない。どうやら、それはサイラス君も同じのようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「えっと、それなら話は早いと言いますか、母上から話を伺っているとは思いますが……彼女とお付き合いをさせていただいております。将来的には、結婚も考えておりまして……その、チュレンヌ卿! 彼女を俺にください!」
サイラス君は、天井に向かって飛び上がるくらいの勢いで立ち上がり、床に頭をめり込ませる勢いで土下座をして、お父様にお願いをした――
実は、私は事前にお父様に手紙を出して、サイラス君と話したいことがあるから会いたいという旨を伝えたの。
そうしたら、すぐに予定をあけてくれたから、こうしてお父様の好意に甘えて、実家に帰ることになった。
目的はただ一つ。私達の結婚を、お父様に許してもらうことだ。イリス様の時はすぐに許しを貰えたけど、お父様もそうだとは限らない。
「俺の格好、おかしくないか?」
「大丈夫、格好良いわよ」
「ありがとう。エリシアも綺麗だよ」
「あっ……んう……」
馬車のキャビンの中で、近くで座っている私達は、重ねるだけの優しいキスをした。外からは見えないけど、家以外の場所でするのは、いつもよりも緊張する。
そんなことをしている間に、私の実家である、チュレンヌ家の屋敷が見えてきた。
「君の父上と会うのは、随分と久しぶりだな……娘はやらん! って門前払いをされたらどうしよう……」
「大丈夫よ、お父様はそんな怖い人じゃないわ」
「だからこそだよ! 君は一度、結婚で嫌な思いをしている。優しい彼のことだから、君をもう誰かに嫁にやるのなんて、二度と許さん! ってなってもおかしくないだろ……?」
「言いたいことはわかるけど、少なくとも、あなたからギルドにスカウトされたことも、一緒に住むことも、あなたなら大丈夫だって仰ってたわよ」
「仕事とか一緒に住むことは、結婚と違うじゃないか! ああ、許されますように……許されますように……」
いつも前向きなサイラス君にしては、驚く程後ろ向きだ。それほど緊張しているということだろう。
もしかしたら、さっき突然キスしてきたのも、なんとかして緊張を和らげるためだったのかも……?
「百歩譲って、お父様が駄目だと言ったとしても、私が絶対に説得するわ。それこそ、土下座でもしてお願いするから」
「そ、そこまでしなくても……」
「なに言ってるのよ。そこまでしてでも、許しを得たいの。そもそも、結婚出来るなら、土下座なんて安いものよ」
許しを得る代わりに、例えば灼熱の中で一日中土下座しろとか、片腕を差し出せと言われても、私は喜んでするだろう。
お父様がそこまでの要求をすることはないけど、それくらいの覚悟はあるということよ。
「絶対に大丈夫よ。さあ、行きましょう」
「あ、ああ」
私はサイラス君と手を繋いだ馬車を降りると、いつも帰ってきた時と同じように、使用人達に出迎えられた。
その中には、妹のミラもいたのだけれど……。
「お姉様、おかえり……」
「ミラ! どうしたのその顔……?」
私を出迎えてくれたミラは、全然元気がない。なんだかやつれているというか……まるで別人だ。
「ううん、なんでもない……お父様が待ってるから、早く行ってあげて」
「え、ええ……話が終わったら会いに来るから」
「うん……」
明らかに元気がないミラを放っておくのもあれだけだけど、本来の目的を果たさないと。そう考えていると、実家にいた時に私の面倒をよく見てくれていた使用人である、エレーヌがやってきた。
「おかえりなさいませ、エリシア様。お元気そうで何よりですわ」
「ただいま、エレーヌ! あなたも元気そうで良かったわ!」
「おかえりなさいませ。そちらの殿方が、サイラス様ですね。はじめまして、エレーヌと申します」
「はじめまして」
そういえば、エレーヌとサイラス君は、初対面だったわね。サイラス君との付き合いは長いから、既に知り合いだと勘違いしていたわ。
「エリシア様から、彼女が学生の頃から、お話を伺っております。とても明るくて人当たりの良い、素晴らしい殿方で、一緒にいると楽しいと」
「ちょ、ちょっとエレーヌ!?」
「確か……ごほん、マグナス様に何を言われても、あの人だけは一緒にいてくれるの! 本当に優しくて、素敵な殿方なのよ! と、興奮気味に仰っておりました」
「わ、わー! わー!!」
私の恥ずかしい過去をバラされたくなくて、必死に抵抗をしてみるけど、既に遅かった。
「もうっ! いいから早くお父様のところに案内して頂戴!」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
我ながら、あまりにも強引ではあったものの、なんとか話を逸らすことに成功した。
まだ本番はこれからだというのに、なんだかどっと疲れたわ……。
「エリシア、さっきのって、君が今言ったことじゃないよな?」
「もちろんよ。自分からあんな恥ずかしい暴露をする趣味はないもの」
「なら、あれは君の真似だよな? 凄すぎるだろ……本人が喋っているようにしか聞こえなかった」
あれ、これってもしかして、エレーヌのモノマネの技術力が高すぎて、私の恥ずかしい話が、あまり頭に残っていない可能性があるかも? あぁよかった……。
「ところでエリシア……話は変わるんだが……君の妹って、あんな感じの女性だったか……? 前に会った時は、もっと元気一杯だったと思うんだが……」
「サイラス君の想像通りの子よ。正直、私もビックリしているの。前に会った時は、いつも通りだったのに……一体何があったのかしら……?」
お父様の待つ部屋に向かう途中、サイラス君が投げかけてきた言葉に、私は首を傾げる。
これから大切な話をしにいくのに、ミラのことが頭から離れない。大切な妹が豹変していたら、姉として心配するのは当然だもの。
……駄目、今は無理にでも気にしないようにしなきゃ。これで、もしミラを気にしてるせいでちゃんと話が出来なかったら、それを聞いたミラが余計に元気を無くしちゃう。
「ご主人様。エリシア様とサイラス様がお見えです」
「ああ、通してくれ」
応接室にやってくると、いつもと変わらないお父様が出迎えてくれた。さっきミラと会ったばかりだから、いつも通りのお父様を見て、安心感を覚えた。
「おかえり、エリシア。そしてサイラス、随分と大きくなったな。うむ、とても逞しくなった!」
「お、お褒めの言葉、大変恐縮でございます!」
「お父様、さっそくなのですが……」
「はやる気持ちはわかるが、とりあえず座りなさい」
はやくお父様に結婚の話をしたくて、立ったまま話をするところだった。もう少し落ち着かないとね。
「今日は、結婚の件で話をしに来たのだろう?」
「実は私達……って、えっ?」
おかしい、どうして完全に言い当てられたの? 私、わかるようなことは何も伝えていないのに……。
「どうしてご存じなのですか!?」
「実は、エリシアが家を出てから、イリス殿と懇意にしてもらっていてな。何度も会食を開いているのだ。つい先日も会食をしたのだが、その際にイリス殿から二人が交際を始めたことを聞いたのだ」
そんな話、イリス様から全然聞いたことがなかったから、驚きを隠せない。どうやら、それはサイラス君も同じのようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「えっと、それなら話は早いと言いますか、母上から話を伺っているとは思いますが……彼女とお付き合いをさせていただいております。将来的には、結婚も考えておりまして……その、チュレンヌ卿! 彼女を俺にください!」
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