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第六十二話 イチャイチャ
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丘の上で、二人きりの時間を堪能した私達は、一旦町の方に戻り、そのまま家に帰るルートで動いていた。
そんな中、サイラス様が難しい顔をして、何かを考えているようだった。
「どうかしたの?」
「なあ、こうして無事に付き合うことになったし、昔みたいに呼んでくれないか?」
もっと凄いことを考えているものだと思ったら、思ったよりも重要度は高くなさそうだ。
「駄目よ、いくら恋人になったといっても、あなたの方が爵位もギルドの立場も上なのよ」
「爵位とか立場とか関係ない! 俺は、楽しかったあの頃の様に呼ばれたいんだ! 呼んでくれないなら、さっきの告白は……な、無し……に……うぅ……」
段々と言葉尻が弱くなり、表情も驚く程暗くなっている。
私に何とかお願いを聞いてもらうために、無理に言いたくもないことを言っているのがバレバレだ。
「もう、そんな顔しないでよ……サイラス君」
「あっ……! も、もう一回!」
「サイラス君」
「くぅぅぅぅ……感動で涙が溢れて、前が全く見えない……!」
「力が入り過ぎて、目が完全に閉じちゃってるじゃないの。もうっ、サイラス君ってば……」
この感動だ! という流れも、最初は大げさでは? とか、なんでそこから抱きしめるの!? とか、色々思っていたけど、今では可愛いと思っちゃうし、いつでも抱きしめてほしいって思ってしまう。
……人間って、ここまで変わるものなのね。自分のことなのに、自分が一番驚いちゃった。
「ほら、そろそろ帰らないと、明日に響くわよ?」
「そうだな。あ、そうだ! 付き合うことになったんだから、添い寝してもいいのでは!?」
「えぇ!?」
今までなら、付き合っていない男女がやることじゃないと言えたけど、今ではそれは通用しない。ついでに言うと、私……私の方が、一緒に寝たい。
もちろん、結婚するまで何かするつもりは無いわよ? だた、好きな人と一緒にいたいってだけで……。
「……いい、けど。変なことは駄目だからね」
「いいのか!? やった~! もちろん変なことはしないから、安心してくれ!」
基本的に、サイラス君は私に愛情を伝えるためなら、どんなことでも進んでやるタイプだけど、超えてはいけないラインは弁えている。だから、変なことを言われても、安心して一緒にいられたのよ。もちろん、これからもね。
****
無事に家に帰ってきた私達が、まず最初にしたことは、イリス様への報告だ。
付き合うことになったことも、将来的に結婚を考えていることも、ちゃんと伝えないと、それこそ不義理ってものでしょう?
「まあまあ、おめでとう! よかったわねぇ、サイラス」
「ありがとうございます、母上」
「それで、結婚式はいつにするの?」
「もうちょっと仕事が落ち着いたらにしようって、ここに来る途中にエリシアと話し合いました」
なるべく早く結婚したいのは山々だけど、軌道に乗っているギルドを放っといて結婚式をするなんて、私達には出来なかった。
「わかったわ。とりあえず、今日は疲れたでしょう。話はまた今度、ゆっくり聞かせてちょうだい」
「わかりました。失礼します」
イリス様の好意に甘えて部屋を出た後、いつもなら途中で別れるのだが、今日は一緒に私の部屋へとやってきた。
「あー……改めて一緒に寝るってなると、緊張するなぁ」
「私なんて、心臓バクバクすぎて、寝られるか怪しいところよ……」
「駄目そうなら、二人で睡眠導入効果があるハーブティーでも飲めばいいさ。エリシア、ちょっと着替えるから、待っててくれ」
「じゃあ外に出てるわね」
「いや、いいよ。廊下は寒いからね。見られて困るものじゃないし」
「そう……? それじゃあ……」
使用人に服を持ってきてもらったサイラス君は、遠慮なく着替え始めた。
「…………」
なるべく見ないようにはしているけど、欲に勝てなくて、チラチラと見てしまう。
前に怪我をして治療をした時にも思ったけど、サイラス君の体はがっしりしている。細身の体に、筋肉がみっちり入っているっていうか、引き締まってるっていうか……格好よすぎて……。
このままではまずい、ちょっと違うことをして、思考をリセットしよう。そうね……一人しりとりでもしていよう。リンゴ、ゴマ、マンゴー……。
「お待たせ。んじゃ、俺は外に出てるな」
「あなたも中にいて良いのよ?」
「んなぁ!? そ、そ、それはまずいのではございませんか!?」
「慌てすぎて、口調がおかしくなってるわよ。近い将来には一糸纏わぬ姿を見るのだから、別に構わないでしょ?」
いつもは私が慌てさせられる立場だけど、今は私がサイラス君をからかって、慌てさせる番だ。
「構うって! 心の準備が!」
「……ふふっ、ふふふふふふっ! サイラス君、焦り過ぎ! 冗談に決まってるじゃない」
「……なんだ、冗談か……」
「そういう可愛いところも好きよ」
完全に私にしてやられたサイラス君は、少し不貞腐れた顔をさせて、不機嫌さをアピールしていた。
いつもは明るくて格好良いのに、たまに可愛いところを見せてくるの、凄くずるいと思うのよね。
****
「お待たせ。さあ、もう寝ましょ」
「そうだな」
寝間着に着替えた後、先に私がベッドに寝転がり、すぐにサイラス君がベッドに寝転がる。キングサイズのベッドとはいえ、いつも一人で寝ていたから、少し狭くは感じる。
……でも、狭いからこそ密着できるってことよね……えへへ。
「ほら、こっちこっち」
サイラス君は軽く私のことを抱きしめながら、頭を優しく撫でてくれた。それがなんとも心地よくて、自然と目を細めていた。
「寝にくくないか?」
「ちょっぴり。少し調節するわね」
互いに誰かと一緒に寝た経験なんて無いから、手探りでベストな状態を模索する。
その結果、抱きしめ合っていると寝にくいから、ちゃんと寝る時は背中から抱きしめてもらう形に落ち着いた。
とはいっても、それはあくまで本気で寝る時の姿勢だ。今はまだイチャイチャしていたいから、向き合って抱きしめ合い――
「ふふっ……ちゅっ」
こんな感じで、サイラス君とゆったりとした、甘くて濃密な時間を過ごす。
明日は仕事なのだから、適度に切り上げて寝ないといけないんだけど、もうちょっと、もうちょっとが続いて……もう何分もキスをしたり休憩したりを繰り返してる。
私って、こんなに意志が弱かったのかしら……今までは、何とか理性で気持ちを抑えていたけど、付き合うようになってから、自分でも引くくらい、サイラス君に好き好き攻撃をしてる気がする。
そんな中、サイラス様が難しい顔をして、何かを考えているようだった。
「どうかしたの?」
「なあ、こうして無事に付き合うことになったし、昔みたいに呼んでくれないか?」
もっと凄いことを考えているものだと思ったら、思ったよりも重要度は高くなさそうだ。
「駄目よ、いくら恋人になったといっても、あなたの方が爵位もギルドの立場も上なのよ」
「爵位とか立場とか関係ない! 俺は、楽しかったあの頃の様に呼ばれたいんだ! 呼んでくれないなら、さっきの告白は……な、無し……に……うぅ……」
段々と言葉尻が弱くなり、表情も驚く程暗くなっている。
私に何とかお願いを聞いてもらうために、無理に言いたくもないことを言っているのがバレバレだ。
「もう、そんな顔しないでよ……サイラス君」
「あっ……! も、もう一回!」
「サイラス君」
「くぅぅぅぅ……感動で涙が溢れて、前が全く見えない……!」
「力が入り過ぎて、目が完全に閉じちゃってるじゃないの。もうっ、サイラス君ってば……」
この感動だ! という流れも、最初は大げさでは? とか、なんでそこから抱きしめるの!? とか、色々思っていたけど、今では可愛いと思っちゃうし、いつでも抱きしめてほしいって思ってしまう。
……人間って、ここまで変わるものなのね。自分のことなのに、自分が一番驚いちゃった。
「ほら、そろそろ帰らないと、明日に響くわよ?」
「そうだな。あ、そうだ! 付き合うことになったんだから、添い寝してもいいのでは!?」
「えぇ!?」
今までなら、付き合っていない男女がやることじゃないと言えたけど、今ではそれは通用しない。ついでに言うと、私……私の方が、一緒に寝たい。
もちろん、結婚するまで何かするつもりは無いわよ? だた、好きな人と一緒にいたいってだけで……。
「……いい、けど。変なことは駄目だからね」
「いいのか!? やった~! もちろん変なことはしないから、安心してくれ!」
基本的に、サイラス君は私に愛情を伝えるためなら、どんなことでも進んでやるタイプだけど、超えてはいけないラインは弁えている。だから、変なことを言われても、安心して一緒にいられたのよ。もちろん、これからもね。
****
無事に家に帰ってきた私達が、まず最初にしたことは、イリス様への報告だ。
付き合うことになったことも、将来的に結婚を考えていることも、ちゃんと伝えないと、それこそ不義理ってものでしょう?
「まあまあ、おめでとう! よかったわねぇ、サイラス」
「ありがとうございます、母上」
「それで、結婚式はいつにするの?」
「もうちょっと仕事が落ち着いたらにしようって、ここに来る途中にエリシアと話し合いました」
なるべく早く結婚したいのは山々だけど、軌道に乗っているギルドを放っといて結婚式をするなんて、私達には出来なかった。
「わかったわ。とりあえず、今日は疲れたでしょう。話はまた今度、ゆっくり聞かせてちょうだい」
「わかりました。失礼します」
イリス様の好意に甘えて部屋を出た後、いつもなら途中で別れるのだが、今日は一緒に私の部屋へとやってきた。
「あー……改めて一緒に寝るってなると、緊張するなぁ」
「私なんて、心臓バクバクすぎて、寝られるか怪しいところよ……」
「駄目そうなら、二人で睡眠導入効果があるハーブティーでも飲めばいいさ。エリシア、ちょっと着替えるから、待っててくれ」
「じゃあ外に出てるわね」
「いや、いいよ。廊下は寒いからね。見られて困るものじゃないし」
「そう……? それじゃあ……」
使用人に服を持ってきてもらったサイラス君は、遠慮なく着替え始めた。
「…………」
なるべく見ないようにはしているけど、欲に勝てなくて、チラチラと見てしまう。
前に怪我をして治療をした時にも思ったけど、サイラス君の体はがっしりしている。細身の体に、筋肉がみっちり入っているっていうか、引き締まってるっていうか……格好よすぎて……。
このままではまずい、ちょっと違うことをして、思考をリセットしよう。そうね……一人しりとりでもしていよう。リンゴ、ゴマ、マンゴー……。
「お待たせ。んじゃ、俺は外に出てるな」
「あなたも中にいて良いのよ?」
「んなぁ!? そ、そ、それはまずいのではございませんか!?」
「慌てすぎて、口調がおかしくなってるわよ。近い将来には一糸纏わぬ姿を見るのだから、別に構わないでしょ?」
いつもは私が慌てさせられる立場だけど、今は私がサイラス君をからかって、慌てさせる番だ。
「構うって! 心の準備が!」
「……ふふっ、ふふふふふふっ! サイラス君、焦り過ぎ! 冗談に決まってるじゃない」
「……なんだ、冗談か……」
「そういう可愛いところも好きよ」
完全に私にしてやられたサイラス君は、少し不貞腐れた顔をさせて、不機嫌さをアピールしていた。
いつもは明るくて格好良いのに、たまに可愛いところを見せてくるの、凄くずるいと思うのよね。
****
「お待たせ。さあ、もう寝ましょ」
「そうだな」
寝間着に着替えた後、先に私がベッドに寝転がり、すぐにサイラス君がベッドに寝転がる。キングサイズのベッドとはいえ、いつも一人で寝ていたから、少し狭くは感じる。
……でも、狭いからこそ密着できるってことよね……えへへ。
「ほら、こっちこっち」
サイラス君は軽く私のことを抱きしめながら、頭を優しく撫でてくれた。それがなんとも心地よくて、自然と目を細めていた。
「寝にくくないか?」
「ちょっぴり。少し調節するわね」
互いに誰かと一緒に寝た経験なんて無いから、手探りでベストな状態を模索する。
その結果、抱きしめ合っていると寝にくいから、ちゃんと寝る時は背中から抱きしめてもらう形に落ち着いた。
とはいっても、それはあくまで本気で寝る時の姿勢だ。今はまだイチャイチャしていたいから、向き合って抱きしめ合い――
「ふふっ……ちゅっ」
こんな感じで、サイラス君とゆったりとした、甘くて濃密な時間を過ごす。
明日は仕事なのだから、適度に切り上げて寝ないといけないんだけど、もうちょっと、もうちょっとが続いて……もう何分もキスをしたり休憩したりを繰り返してる。
私って、こんなに意志が弱かったのかしら……今までは、何とか理性で気持ちを抑えていたけど、付き合うようになってから、自分でも引くくらい、サイラス君に好き好き攻撃をしてる気がする。
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