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第四十九話 努力の結果
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資料を集めた後、再び製薬に入ってから、一ヶ月の時が過ぎた。
約束の時まで、あと半月に迫る中、私は製薬班の人達と知識を出し合い、多くの薬を作った。そして今、製薬班の作業場の机に置かれた、たくさん置かれている小さなガラス板の前に立っていた。
このガラス板には、ルーイン病の病原体が潜む血液をつけてある。ここに作った薬をつけてから数日間放置し、どういう反応があるかを確認しているの。
その中で、有効そうなものは、実験用のマウスに投与しているのだけど、今のところは十分な成果が出ていない。今回のが全て失敗したら……もう時間が足りない。
「ごくり……一つずつ確認していきましょう」
製薬班の人が、薬を使ったガラス板を、顕微鏡で一つずつ確認するのを、固唾を飲みながら見守る。
この薬達は、目標のために何年もかけて勉強した月日と、この二ヶ月ちょっとの間、寝る間も惜しんで、私の知識と、製薬班のみんなの多くの知識を集めて作った――私達の努力と知恵の結晶だ。
「一番……バツ。二番……バツ。三番……バツ」
「…………」
次々と悪い結果を突き付けられていくごとに、心臓がキュッと締め付けられるような、言いようのない苦しみが襲い掛かってくる。
そんな私の不安を消すように、隣に立って結果を見守るサイラス様に、手をギュッと掴まれた。
「大丈夫だ。絶対にうまくいっている」
「サイラス様……」
「積み重ねた努力は裏切らない。それは、君もよく知っているだろう?」
努力……私は、薬師になって多くの人を救いたくて、たくさん勉強をした。今回だって、メアリー様のお父様を助けるために、沢山努力をしたわ。
でも、現実は非情だ。努力を重ねて作った薬達は、悉くバツ判定をされて、いつの間にか最後の一つになっていた。
「お願い……お願い……!」
必死にお祈りしながら見守っていると、確認をしていた男性職員が、勢いよく顔を上げた。
「こ、これは……これを見てほしいっす!」
「……えっ……こ、これって……」
今までとは明らかに違う態度を取る男性の職員を見て、もしかしてと思い、急いで最後のガラス板を顕微鏡を覗くと、あれだけ活発に動いていたルーイン病の病原体が、完全に活動を停止していた。
「せ、成功した……? 私の目がおかしくなっているだけ?」
「僕にも確認させてください」
私の代わりに、レージュ様が冷静に顕微鏡を確認すると、切れ長な目を大きく見開かせながら、口を開いた。
「……成功だ!」
「成功……や、やったの……!?」
まだ現実を受け入れられない私とは対照的に、製薬室がみんなの喜びの雄たけびに包まれる。
それを聞いて、本当にうまくいったことを理解して……その場にペタンっと座り込んでしまった。
ああ、よかった……これでマグナス様との勝負がどうあれ、メアリー様のお父様は助かる……あ、あれ……? 安心したら、涙が溢れ出て……。
「みんな、落ち着け! 確かにみんなが作った新薬は、ルーイン病に効果があった! けど、まだ感染した生き物に投与して、同じ様に効果があるかはわかっていない! それに、生き物に投薬したら、どんな副作用があるかわからない!」
良くも悪くも、親しみやすくて人の上に立つ感じがしないサイラス様が、私を立たせてから、珍しく声を張り上げる。すると、喜ぶみんなの顔が、再び引き締まった。
「喜びたい気持ちはよくわかる! 俺だって、エリシアを思い切り抱きしめながら、踊りたいのを必死に我慢しているくらいだ!」
ちょっ、もうっ! こういう時くらい、そういう恥ずかしい台詞はいいから!
「だが、ここで油断して全てが水の泡になったら、ずっと後悔することになる! だからみんな、引き続き通常業務もこなしつつ、ルーイン病の薬の製薬も怠らないでくれ!」
サイラス様の号令の元、みんなが腕を突き上げて返事をする。
……そうよね。まだ患者が完治したわけでは無いのだから、喜んで泣いてる場合じゃない。しっかりしなきゃ。
「エリシア、大丈夫か? すまないみんな、少しエリシアを借りていくよ」
みんなの返事を聞く前に、サイラス様は私をギルド長室に連れてくると、ハンカチで私の涙を優しく拭ってくれた。
「ごめんな。せっかく喜びに浸っていたのに、水を差すようなことを言ってしまった」
「どうして謝るの? サイラス様の言っていたことは、全部正しかった。そもそも、謝るのは私の方よ。まだ終わったわけでもないのに、子供みたいに泣いちゃうだなんて、本当に情けないわ」
「それこそ謝る必要は無いだろう。エリシアは、このギルドで一番、ルーイン病を完治させるために動いてくれていたのだから」
サイラス様は、深い慈悲が込められた優しい声色で私を労ってくれたが、私の顔を見て、ハッとしたような表情をした。
「……エリシア、その目のクマ……」
「えっ? あっ……!」
もしかして、涙で濡れてしまったところを、ハンカチで拭かれたのもあって、クマを隠すためのお化粧が崩れちゃった……?
これは、完全に油断していた。サイラス様に変に心配をかけないように誤魔化していたのに。
「やっぱりちゃんと寝ていなかったんだな。まったく、そういう頑張り屋なところも好きだが、隠してまで頑張るのは、あまりいただけないな」
「うっ……あ、あなただって……」
「そうやって、また話題を自分から逸らそうとする。今回はその手には乗らないからな」
「……ごめんなさい」
サイラス様の凄みに負けて、素直に謝罪をすると、サイラス様の手が私の頭に乗り、そのままワシャワシャと撫でた。
「人に心配をかけた俺が、こんなことを言える立場じゃないのはわかってるけどさ。あまり無茶はしないようには」
「わかったわ」
「よし、それじゃあ今日はもう帰って休むこと。これはギルド長命令だ!」
「えっ、でも……ううん、わかった。お言葉に甘えて、今日は早退させてもらうわ」
今日もこのまま仕事を続けるつもりだったのだけど、これで仕事をしたら、サイラス様の話を聞いていないことになっちゃうわよね。
「今日は俺も早く帰るよ。だから、久しぶりに一緒に食事をしよう」
「それはいいわね。楽しみにしているわ。それじゃあ、また後で」
私はサイラス様と別れ、軽い足取りで屋敷への帰路につく。いつもは馬車だけど、今日はいつもと違う時間の帰宅だから、馬車は用意されていない。
でも、徒歩でも全然帰れる距離だし、何よりも今はとても気分が良い。心がだいぶ軽くなっていて、余裕も生まれている。
「そうだ、最近仕事のことばかり考えてて、家族に手紙を送ってなかったわ。ちょうど時間があいているし、最近のことを手紙に書きましょう」
そうと決まれば、綺麗な便せんを買ってこなきゃ。そう思った私は、踵を返して商店街の方に歩きだした――
――その後、ルーイン病の新薬をマウスに投与してから一週間の間、毎日経過を観察し、体内で増殖している病原体が死滅し、減っているかの確認を行い続けた。
一日、また一日と経つごとに、マウスの中から病原体の数は減っていき、残っていた菌も、活動を停止させていき……一週間経った頃には、ルーイン病は完全に沈黙した。
そう……私達は、ルーイン病に打ち勝ったのだ。
約束の時まで、あと半月に迫る中、私は製薬班の人達と知識を出し合い、多くの薬を作った。そして今、製薬班の作業場の机に置かれた、たくさん置かれている小さなガラス板の前に立っていた。
このガラス板には、ルーイン病の病原体が潜む血液をつけてある。ここに作った薬をつけてから数日間放置し、どういう反応があるかを確認しているの。
その中で、有効そうなものは、実験用のマウスに投与しているのだけど、今のところは十分な成果が出ていない。今回のが全て失敗したら……もう時間が足りない。
「ごくり……一つずつ確認していきましょう」
製薬班の人が、薬を使ったガラス板を、顕微鏡で一つずつ確認するのを、固唾を飲みながら見守る。
この薬達は、目標のために何年もかけて勉強した月日と、この二ヶ月ちょっとの間、寝る間も惜しんで、私の知識と、製薬班のみんなの多くの知識を集めて作った――私達の努力と知恵の結晶だ。
「一番……バツ。二番……バツ。三番……バツ」
「…………」
次々と悪い結果を突き付けられていくごとに、心臓がキュッと締め付けられるような、言いようのない苦しみが襲い掛かってくる。
そんな私の不安を消すように、隣に立って結果を見守るサイラス様に、手をギュッと掴まれた。
「大丈夫だ。絶対にうまくいっている」
「サイラス様……」
「積み重ねた努力は裏切らない。それは、君もよく知っているだろう?」
努力……私は、薬師になって多くの人を救いたくて、たくさん勉強をした。今回だって、メアリー様のお父様を助けるために、沢山努力をしたわ。
でも、現実は非情だ。努力を重ねて作った薬達は、悉くバツ判定をされて、いつの間にか最後の一つになっていた。
「お願い……お願い……!」
必死にお祈りしながら見守っていると、確認をしていた男性職員が、勢いよく顔を上げた。
「こ、これは……これを見てほしいっす!」
「……えっ……こ、これって……」
今までとは明らかに違う態度を取る男性の職員を見て、もしかしてと思い、急いで最後のガラス板を顕微鏡を覗くと、あれだけ活発に動いていたルーイン病の病原体が、完全に活動を停止していた。
「せ、成功した……? 私の目がおかしくなっているだけ?」
「僕にも確認させてください」
私の代わりに、レージュ様が冷静に顕微鏡を確認すると、切れ長な目を大きく見開かせながら、口を開いた。
「……成功だ!」
「成功……や、やったの……!?」
まだ現実を受け入れられない私とは対照的に、製薬室がみんなの喜びの雄たけびに包まれる。
それを聞いて、本当にうまくいったことを理解して……その場にペタンっと座り込んでしまった。
ああ、よかった……これでマグナス様との勝負がどうあれ、メアリー様のお父様は助かる……あ、あれ……? 安心したら、涙が溢れ出て……。
「みんな、落ち着け! 確かにみんなが作った新薬は、ルーイン病に効果があった! けど、まだ感染した生き物に投与して、同じ様に効果があるかはわかっていない! それに、生き物に投薬したら、どんな副作用があるかわからない!」
良くも悪くも、親しみやすくて人の上に立つ感じがしないサイラス様が、私を立たせてから、珍しく声を張り上げる。すると、喜ぶみんなの顔が、再び引き締まった。
「喜びたい気持ちはよくわかる! 俺だって、エリシアを思い切り抱きしめながら、踊りたいのを必死に我慢しているくらいだ!」
ちょっ、もうっ! こういう時くらい、そういう恥ずかしい台詞はいいから!
「だが、ここで油断して全てが水の泡になったら、ずっと後悔することになる! だからみんな、引き続き通常業務もこなしつつ、ルーイン病の薬の製薬も怠らないでくれ!」
サイラス様の号令の元、みんなが腕を突き上げて返事をする。
……そうよね。まだ患者が完治したわけでは無いのだから、喜んで泣いてる場合じゃない。しっかりしなきゃ。
「エリシア、大丈夫か? すまないみんな、少しエリシアを借りていくよ」
みんなの返事を聞く前に、サイラス様は私をギルド長室に連れてくると、ハンカチで私の涙を優しく拭ってくれた。
「ごめんな。せっかく喜びに浸っていたのに、水を差すようなことを言ってしまった」
「どうして謝るの? サイラス様の言っていたことは、全部正しかった。そもそも、謝るのは私の方よ。まだ終わったわけでもないのに、子供みたいに泣いちゃうだなんて、本当に情けないわ」
「それこそ謝る必要は無いだろう。エリシアは、このギルドで一番、ルーイン病を完治させるために動いてくれていたのだから」
サイラス様は、深い慈悲が込められた優しい声色で私を労ってくれたが、私の顔を見て、ハッとしたような表情をした。
「……エリシア、その目のクマ……」
「えっ? あっ……!」
もしかして、涙で濡れてしまったところを、ハンカチで拭かれたのもあって、クマを隠すためのお化粧が崩れちゃった……?
これは、完全に油断していた。サイラス様に変に心配をかけないように誤魔化していたのに。
「やっぱりちゃんと寝ていなかったんだな。まったく、そういう頑張り屋なところも好きだが、隠してまで頑張るのは、あまりいただけないな」
「うっ……あ、あなただって……」
「そうやって、また話題を自分から逸らそうとする。今回はその手には乗らないからな」
「……ごめんなさい」
サイラス様の凄みに負けて、素直に謝罪をすると、サイラス様の手が私の頭に乗り、そのままワシャワシャと撫でた。
「人に心配をかけた俺が、こんなことを言える立場じゃないのはわかってるけどさ。あまり無茶はしないようには」
「わかったわ」
「よし、それじゃあ今日はもう帰って休むこと。これはギルド長命令だ!」
「えっ、でも……ううん、わかった。お言葉に甘えて、今日は早退させてもらうわ」
今日もこのまま仕事を続けるつもりだったのだけど、これで仕事をしたら、サイラス様の話を聞いていないことになっちゃうわよね。
「今日は俺も早く帰るよ。だから、久しぶりに一緒に食事をしよう」
「それはいいわね。楽しみにしているわ。それじゃあ、また後で」
私はサイラス様と別れ、軽い足取りで屋敷への帰路につく。いつもは馬車だけど、今日はいつもと違う時間の帰宅だから、馬車は用意されていない。
でも、徒歩でも全然帰れる距離だし、何よりも今はとても気分が良い。心がだいぶ軽くなっていて、余裕も生まれている。
「そうだ、最近仕事のことばかり考えてて、家族に手紙を送ってなかったわ。ちょうど時間があいているし、最近のことを手紙に書きましょう」
そうと決まれば、綺麗な便せんを買ってこなきゃ。そう思った私は、踵を返して商店街の方に歩きだした――
――その後、ルーイン病の新薬をマウスに投与してから一週間の間、毎日経過を観察し、体内で増殖している病原体が死滅し、減っているかの確認を行い続けた。
一日、また一日と経つごとに、マウスの中から病原体の数は減っていき、残っていた菌も、活動を停止させていき……一週間経った頃には、ルーイン病は完全に沈黙した。
そう……私達は、ルーイン病に打ち勝ったのだ。
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