36 / 97
第三十六話 告白をするなら
しおりを挟む
■サイラス視点■
「お前、ずっとそれを眺めてるな」
エリシアからプレゼントをもらった翌日、花瓶に移した花束を見つめていたら、部屋にやってきたレージュに苦笑いをされた。
「うおっ、ビックリした。急に入ってくるなって」
「何度もノックしたんだが、反応が無かったからいないのかと思ってな」
「そうだったのか? それは悪かったな。全然気づかなかったぜ!」
「ところで、この花言葉の意味は知っているか?」
花言葉? ああ、種類ごとに色々な意味があるってやつか? 俺はそういうことは全然知らないんだよな。
「なんだよ突然。バラは有名だから知ってるけど……この白いのはなんだ? 確か、薬には使わないものだよな?」
「ああ。かすみ草と呼ばれているな。感謝、幸福、無邪気という意味が込められているそうだ」
へえ、この花にそんな意味が込められていたのか。なんだか、エリシアの気持ちが伝わってきて、嬉しくなっちゃうな!
「それじゃあ、このバラにも意味があるのか!? 俺を愛しているとか!」
「ああ、ある。むしろ、僕はそれに驚いている」
そうだよなぁ、あの恥ずかしがりやなエリシアが、プレゼントにそんな想いを込めるなんて……って、あるのかよ!?
「ごくり……どういうことだ?」
「バラは本数や色で意味が異なる。これは僕の憶測だが、わざわざ色を変えてるということは、それぞれに意味があるのではないか?」
「……??」
「赤いバラだけだと、十一本あるだろう? 十一本のバラの意味は……最愛という意味だ」
「さ、最愛!?」
いや、確かにエリシアから愛を伝えられたいとは思ってたさ! これだって、もしかしたらそんな意味があるのかって、ほんの少し期待した!
でも、恥ずかしがり屋のエリシアのことだから、そんなことはないだろうと思っていたのに……さ、最愛って!? ただの偶然か!?
「唯一ある一本の青いバラは、夢が叶う、奇跡という意味がある」
「へ、へぇ~! ギルドを一番にっていうことへのメッセージかぁ! う、嬉しいなぁ!」
色々と衝撃があり過ぎて、意味がわからなくなってきたぞ!? エリシア、なんて素敵で、なんてとんでもないプレゼントをくれたんだ!? 俺は幸せ過ぎて溶けそうなんだが!
「それで、赤と青のバラの本数が……これは……いや、なんでもない」
「お、おいおい! 急になんだよ!」
「何でもないと言っているだろう。さっさと仕事をしろ」
「なんか当たり強くねーか!? あ、彼女のいない歴が年齢だから、妬んでるのか!?」
「喧嘩を売っているのか?」
「い、いやすまん。冗談でも言ってないと、現実を直視できなくて……」
いやさ、俺はずっとエリシアのことが好きで、ずっとアタックしてきた。
そんなエリシアから、こんなストレートなプレゼントだろ? 動揺しない方が無理がある!
「ああ、エリシア……本当に君って人は可愛らしいなぁ! 早く結婚して、本当の家族として一緒に暮らしたいが……そのためには、まず告白が必要だ! そして、告白を成功させるために、世界一のシチュエーションを準備しなければならない!」
「そうだな。それで、何か案でも?」
「俺にそんなことをすぐに考える頭は無い! だから、何ヶ月、何年かけてでもしっかり準備をしないと!」
「まさか、それまで両想いなのに告白しないつもりか?」
「しないっ!」
「……お前は馬鹿なのか……? それに、向こうから先に告白されたらどうするつもりだ?」
えっ? その時は……どうすればいいんだ? エリシアから告白なんてされたら、一秒もかからずに、はいって答える自信しかないぞ。
……エリシアから、告白……えへっ、えへへへへ……想像しただけでにやけが止まらないんだが!
「そもそも、ほとんど告白されているようなものではないか……まあいい、これは二人の問題だ。好きにしてくれ」
「やっぱり当たりが強くないか?」
「気のせいだろう。ほら、さっさと仕事に戻れ。そうじゃないと、また残業になるぞ」
「それは嫌だ! 今日は早く帰って、エリシアと夕食を食べるつもりだったんだからな!」
ギルドのために仕事を頑張るのは当然だが、エリシアのことが加わると、更にやる気が出る。
よーっし! 俺達の目標のため、そしてエリシアに世界一相応しい男になるために、今日も頑張って仕事をしますか!
「赤いバラと青いバラを合わせて、十二本のバラの意味は……付き合ってください。完全に告白じゃないか……やれやれ、それをあいつにそのまま教えるのは簡単だが……僕から伝えても、あいつのためにならないからな……はぁ、さっさと付き合うなり結婚するなりすればいいものを……じれったいものだ」
「お前、ずっとそれを眺めてるな」
エリシアからプレゼントをもらった翌日、花瓶に移した花束を見つめていたら、部屋にやってきたレージュに苦笑いをされた。
「うおっ、ビックリした。急に入ってくるなって」
「何度もノックしたんだが、反応が無かったからいないのかと思ってな」
「そうだったのか? それは悪かったな。全然気づかなかったぜ!」
「ところで、この花言葉の意味は知っているか?」
花言葉? ああ、種類ごとに色々な意味があるってやつか? 俺はそういうことは全然知らないんだよな。
「なんだよ突然。バラは有名だから知ってるけど……この白いのはなんだ? 確か、薬には使わないものだよな?」
「ああ。かすみ草と呼ばれているな。感謝、幸福、無邪気という意味が込められているそうだ」
へえ、この花にそんな意味が込められていたのか。なんだか、エリシアの気持ちが伝わってきて、嬉しくなっちゃうな!
「それじゃあ、このバラにも意味があるのか!? 俺を愛しているとか!」
「ああ、ある。むしろ、僕はそれに驚いている」
そうだよなぁ、あの恥ずかしがりやなエリシアが、プレゼントにそんな想いを込めるなんて……って、あるのかよ!?
「ごくり……どういうことだ?」
「バラは本数や色で意味が異なる。これは僕の憶測だが、わざわざ色を変えてるということは、それぞれに意味があるのではないか?」
「……??」
「赤いバラだけだと、十一本あるだろう? 十一本のバラの意味は……最愛という意味だ」
「さ、最愛!?」
いや、確かにエリシアから愛を伝えられたいとは思ってたさ! これだって、もしかしたらそんな意味があるのかって、ほんの少し期待した!
でも、恥ずかしがり屋のエリシアのことだから、そんなことはないだろうと思っていたのに……さ、最愛って!? ただの偶然か!?
「唯一ある一本の青いバラは、夢が叶う、奇跡という意味がある」
「へ、へぇ~! ギルドを一番にっていうことへのメッセージかぁ! う、嬉しいなぁ!」
色々と衝撃があり過ぎて、意味がわからなくなってきたぞ!? エリシア、なんて素敵で、なんてとんでもないプレゼントをくれたんだ!? 俺は幸せ過ぎて溶けそうなんだが!
「それで、赤と青のバラの本数が……これは……いや、なんでもない」
「お、おいおい! 急になんだよ!」
「何でもないと言っているだろう。さっさと仕事をしろ」
「なんか当たり強くねーか!? あ、彼女のいない歴が年齢だから、妬んでるのか!?」
「喧嘩を売っているのか?」
「い、いやすまん。冗談でも言ってないと、現実を直視できなくて……」
いやさ、俺はずっとエリシアのことが好きで、ずっとアタックしてきた。
そんなエリシアから、こんなストレートなプレゼントだろ? 動揺しない方が無理がある!
「ああ、エリシア……本当に君って人は可愛らしいなぁ! 早く結婚して、本当の家族として一緒に暮らしたいが……そのためには、まず告白が必要だ! そして、告白を成功させるために、世界一のシチュエーションを準備しなければならない!」
「そうだな。それで、何か案でも?」
「俺にそんなことをすぐに考える頭は無い! だから、何ヶ月、何年かけてでもしっかり準備をしないと!」
「まさか、それまで両想いなのに告白しないつもりか?」
「しないっ!」
「……お前は馬鹿なのか……? それに、向こうから先に告白されたらどうするつもりだ?」
えっ? その時は……どうすればいいんだ? エリシアから告白なんてされたら、一秒もかからずに、はいって答える自信しかないぞ。
……エリシアから、告白……えへっ、えへへへへ……想像しただけでにやけが止まらないんだが!
「そもそも、ほとんど告白されているようなものではないか……まあいい、これは二人の問題だ。好きにしてくれ」
「やっぱり当たりが強くないか?」
「気のせいだろう。ほら、さっさと仕事に戻れ。そうじゃないと、また残業になるぞ」
「それは嫌だ! 今日は早く帰って、エリシアと夕食を食べるつもりだったんだからな!」
ギルドのために仕事を頑張るのは当然だが、エリシアのことが加わると、更にやる気が出る。
よーっし! 俺達の目標のため、そしてエリシアに世界一相応しい男になるために、今日も頑張って仕事をしますか!
「赤いバラと青いバラを合わせて、十二本のバラの意味は……付き合ってください。完全に告白じゃないか……やれやれ、それをあいつにそのまま教えるのは簡単だが……僕から伝えても、あいつのためにならないからな……はぁ、さっさと付き合うなり結婚するなりすればいいものを……じれったいものだ」
229
お気に入りに追加
1,397
あなたにおすすめの小説

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します

白い結婚のはずでしたが、王太子の愛人に嘲笑されたので隣国へ逃げたら、そちらの王子に大切にされました
ゆる
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」
オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。
「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」
そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。
「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」
このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。
オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。
愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん!
王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。
冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる